週2日だけ味わえる“小さな驚き”。『La Petite Surprise』

有精卵のカスタードプリン600円、ホットコーヒー500円。

西荻窪駅から少し離れた住宅街の中で、金曜と土曜だけ営業を行うカフェがある。店主の塩見充代さんは、Webライターの仕事がきっかけで出会った菓子職人が作る菓子に影響を受け、自身の店を開くことに。その時に感じた想いを落とし込んでできたスイーツは、どれも優しい味でありながら奥行きのあるものばかり。よく知られた定番のスイーツも塩見さんの手にかかれば、今まで抱いていたイメージを上回る美味しさで驚かされること間違いなしだ。

苺のショートケーキ650円、ホットコーヒー500円。
焼菓子も豊富に揃う。

『La Petite Surprise』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町4-10-11/営業時間:12:00~18:00/定休日:日~木/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩10分

温かい想いをつなぐ屋根裏カフェ。『cafe Cwtch』

本日のデリプレート(ドリンク付き)1200円。

高架下のそばに佇む長屋の屋根裏を活用した小さなカフェスペースには、店主・片桐みのりさんの家族の愛情をあちこちに感じさせるアイテムが並ぶ。「テーブルとベンチ以外にも、刺繍の入った手縫いのクッションやカーテン、それにエプロンまで、すべて家族が作ってくれたんです」。自身の手作りとなる陶器で提供されるデリプレートのベーグルや焼菓子は日替わりのため、どんな味に出合えるのかも楽しみの一つだ。

バナナとチョコチャンクのシナモンマフィン270円、アールグレイと甘夏レモンジャムのスコーン270円、Cwtchオリジナルブレンドコーヒー(アイス)500円。※すべてイートイン価格。
家族や友人の手作りアイテムで構成された空間。

『cafe Cwtch』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-17-7/営業時間:12:00~18:30LO/定休日:木/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

心が喜ぶ飲食の楽しみ方を提供。『浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica』

コーヒー(ホット)500円。生産過程のストーリーを織り交ぜたカードも手作り。

吉祥寺にあるコーヒー店『LIGHT UP COFFEE』を開業した経歴の持ち主が、新たに夫婦でこの店をオープンさせる際に着目したのが“食のセレクトショップ”という視点。ワインやコーヒー、紅茶など、それら一つ一つの専門性とジャンルを越えた横の多様性を組み合わせることで、目指していたビジョンをかたちにさせた。銘柄ごとに生産過程のストーリーを紹介するカードも提供し、「生産者がその液体に込めたメッセージを読み解いてほしい」と店主の相原民人さん。

季節のパフェ1200円。毎月テーマを替えて提供している。
オーナーの相原さん夫妻。

『浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica』店舗詳細

季節の野菜とハーブ・スパイスの魅力。『yuè』

お野菜プレート1300円。週ごとに内容を替えて提供。

料理家・くしまけんじさんがオーナーシェフを勤める「食堂くしま」の跡地に2020年にオープン。当時のままの内装を活かした店内でいただけるのは、ハーブとスパイスを活かしたフードやドリンク。数種類もの野菜を使った週替わりのお野菜プレートをはじめ、旬のフルーツを使ったデザートなどがメニューに並ぶ。「ハーブやスパイスを使った料理とはいえ、複雑な味にならないようにしています」と、店主の越川祐貴さんはレシピ考案の際のこだわりを語る。

季節のフルーツを使ったタルト700円、自家製コーデュアルシロップのソーダ割り700円。
店主の越川さん夫妻。

『yuè』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北5-26-17/営業時間:11:30~17:30LO/定休日:月・火/アクセス:JR西荻窪駅から徒歩12分

国産にこだわった体が喜ぶフルーツサンド。『ogicafe』

フルーツサンド各種 660円~。

季節ごとに旬のフルーツを使ったフルーツサンドを名物にするカフェ。使用するフルーツはすべて国産にこだわり、大人も子供も安心して食べられる素材で作られる。「フルーツサンドをトレイに並べてお客様にお見せすると、皆さん笑顔になってくださいます」と、オーナーの寺田麻美さんは話す。“見て楽しく、体も喜ぶスイーツ”をテーマに、フルーツサンドのほかにも、国産のフルーツをふんだんに使用したスイーツやドリンクを提供する。

ちょっと大きなロールケーキ800円、季節のフルーツソーダ600円。
パティシエの柴田さん。

『ogicafe』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-18-3/営業時間:11:30~18:00/定休日:不定休/アクセス:JR西荻窪駅から徒歩3分

読書を心ゆくまで堪能できる。『fuzkue 西荻窪』

ベイクドチーズケーキ550円、フヅクエ時間ブレンド(hot)770円。

「本を読んで過ごすことに特化した店」をコンセプトにする『fuzkue』の3店舗目として、フランチャイズというかたちで2021年6月にオープンしたばかりの同店。既存の店舗と比べて、店の仕組みやルールなど営業スタイルの違いはないながらも、本棚に並ぶ本のセレクトをはじめ、内装やドリンクメニューに店主の酒井正太さんの趣向をうかがい知ることができる。中でもラム酒は酒井さんが好きなお酒とあって、この店にしかない銘柄も揃えているようだ。

お酒のメニューも豊富。
木の温もりを感じる店内。

『fuzkue 西荻窪』店舗詳細

住所:東京都杉並区善福寺1-2-1 シェモア西荻101号/営業時間:11:00~23:00/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩12分

“衣食住芸”がテーマ。本格焼菓子とコーヒーに舌鼓!『galerie non 西荻窪』

ひつじスモア450円、ホットコーヒー350円。

衣・食・住・芸をテーマに、オリジナルの衣服や食器をはじめ、セレクトの家具や雑貨、美術本などを取り扱う。オープンから15年を迎えた2018年に店内をリニューアルし、カフェを併設。豆選びから厳選した『中山珈琲焙煎所』のコーヒーとともに、同店オリジナルの菓子ブランド『ok.goodies』の焼菓子を提供している。パティシエのMAOさんが作る個性豊かなお菓子の中でも、ひつじモチーフのお菓子は看板商品。季節ごとに様々なバリエーションで登場する。

ひつじクッキー310円。(写真=店舗提供)
パティシエのMAOさん。

『galerie non 西荻窪』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北4-3-4-101/営業時間:13:00~19:00/定休日:月/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩6分

各地から人々が集う西荻の"波止場"に。『HATOBA COFFEE STAND』

尾道の無農薬レモンを使用した自家製レモネード620円、シナモントースト360円。

自身のブランド『SUTOA』の服のデザイン、イベント「西荻茶散歩」の運営、さらにはカフェまで始めた國時さん。「服の販売で日本各地に行くと、良くしてもらうことが多くて。今度は自分が西荻に来た人をもてなしたい」。コーヒーのドリップは『アアルトコーヒー』の庄野雄治さんに学び、シナモントーストはサンフランシスコで感動した味を研究して再現。マルティーノ・ガンパーのイスを本人から直接購入するなど、探求心に敬服!

リトアニア雑貨や器も。
『SUTOA』のボーダーシャツを着た國時さん夫妻。二人三脚で店を営んでいる。
1階では服を販売している。

『HATOBA COFFEE STAND』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北5-7-19 2F/営業時間:11:00~18:00/定休日:月・火(2020年より火・水)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩7分

日本茶とコーヒー2人の"淹れ手"が共演。『Satén japanese tea』

抹茶ラテ(ICE)560円。しっかりと茶筅で点てている。

吉祥寺にあった『UNI STAND』の店主・小山和裕さんと『ブルーボトルコーヒー』のバリスタトレーナー・藤岡響さんによる新感覚の日本茶スタンド。2017年、松庵に開店するや否や客の絶えない人気店に! 「テイクアウトも含め、一煎で味と香りを楽しめるよう淹れ方を追求しました」と小山さん。茶器だけでなく、コーヒー器具まで使って巧みに淹れる様子にうっとり。緑茶、抹茶、ほうじ茶、コーヒーと、何度も通って楽しみたい。

あんバタートースト500円、抹茶ラテ(ICE)600円。
「この街の雰囲気が好き」と西荻生まれの藤岡さん(右)。

『Satén japanese tea』店舗詳細

いつもオープンな西荻の太陽『それいゆ』

総勢18人で店を切り盛り!

店の中央には点滴式の抽出器具が4台。

ナポリタンやカレーライス、ケーキまで、何を食べてもおいしい。作るのも食べるのも好きというオーナー姉妹がかつて料理教室に通い、行き着いた味は確かだ。「半日かけて抽出するアイスコーヒーも人気」と妹の小松節子さん。1965年に創業し、今では娘2人、スタッフ14人と総勢18人で休みなく23時まで営業中だ。おかげで「いつでもそれいゆがある」という安心感! 懐かしさあふれる雰囲気ながら、いつも活気に満ちている。

40年近く人気No.1のかぼちゃケーキは260円!
味のあるメニューはオーナーの娘さんによる手描き。
ランチセットのチーズカレー980円。

『それいゆ』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-15-8/営業時間:10:00~ 23:00/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

ジャズが流れる山小屋は西荻の人々の桃源郷!?『どんぐり舎』

ピザトーストセット870円。オレガノとタバスコをかけると大人な味に。

店主・河野三郎さんの母と兄が40年以上前に創業。おいしいコーヒーを求めて家族でさまざまな店を飲み歩いた。「味にうるさい兄が自家焙煎を始めたら、それが当たったんです。火事と間違えられたこともあったけどね(笑)」。横浜の販売店から良質なコーヒー豆を取り寄せ、週に3回、朝6時半から焙煎。山小屋風の店内でジャズを聴きながらコーヒーを飲んでいると、時間を忘れてついのんびり……。「シャングリラをもじった」という店名に納得!

緑に覆われた入り口。
丁寧なハンドドリップの味に引かれ、コーヒー豆を買って帰る客も多い。人気のブレンドは、ほろ苦・さんみ・モカの3種類。

『どんぐり舎』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-30-1/営業時間:10:30~22:30/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

旬の恵みをふんだんに!『cafe ilo』

小さいながら懐は深い店

季節の野菜や豆を使ったおかずとポタージュのilo プレート1150円。

伏見通り商店街の真新しいビルの一角にある、わずか8席の店。店主の橋上智子さんは天然酵母パンで有名な『ルヴァン』で働いていたが、小麦粉アレルギーになってしまい「グルテンフリーやベジタリアン対応ができる店を開こう」と決意。『HATOBA』や『食堂くしま』のイベントで料理を提供した経験から、場所は自然と西荻に。『えんツコ堂 製パン』の古代小麦を使ったパンや『サウスアベニュー』の中国紅茶など、西荻名物が味わえるのもうれしい。

橋上さんの気さくな人柄に引かれて通う客も多い。
店のスペースに合わせて特注した木製テーブルが4つ並ぶ。

『cafe ilo』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北4-4-1 102/営業時間:11:00~ 20:00( 金・土は~22:00)/定休日:水・木/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩7分

駅から離れた骨董通りで心安らぐ一汁三菜を『器カフェ 棗』

しっかりと卵の味がするプリン400 円。とろりとした生クリームは上品な味。コーヒー550円。

2016年に地蔵坂交差点の近くにひっそりとオープンした。「芽吹くのが遅い棗のように、ゆっくりと街になじんでいけたら」と店主。アトリエ兼住居だった建物を半年かけて改装し、1階をカフェ、2階は作家ものの器を扱うギャラリーに。店の看板は何といっても、手の込んだ定食。ハンバーグやロールキャベツなどの日替り定食は売り切れてしまう日も。月ごとに味が変わるポテトサラダをはじめ、副菜のおいしさにも感動。貴重な営業日を狙って訪れたい。

爽やかな1階には16席ある。
なつめ定食1210円は、ふんわりジューシーなシュウマイが主役。

『器カフェ 棗』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北4-35-8/営業時間:11:00~ 20:00/定休日:月~木(祝は不定)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩13分

のんびりムードが心地いいサロン。『JUHA』

『マサコ』レシピのあんトースト470円は、生クリーム100円を添えるのがこの店では人気。よく合う。ストロングブレンド590円。

大場夫妻が店を始める前、下北沢の名物喫茶『マサコ』閉店が決まった。「少しでも引き継ぎたくて」と、働いていた奥様のゆみさんは、ベンチや椅子、名物あんトーストのレシピを譲り受けた。パンは西荻窪『ぐーちょきパン屋』に変え、ホイップ付きなど、アレンジもするが、元気になる甘さは健在だ。店に漂う音は、主にご主人・俊輔さんがチョイスしたモダンジャズが中心。他にも、2人が愛する映画のポスターや写真、本などが配され、まったり過ごしたくなる。

『マサコ』OGのゆみさんと、新宿『らんぶる』スタッフだった俊輔さん。
『マサコ』のベンチと椅子が現役。
マサコカップとマッチは大場夫妻が譲り受けた宝物だ。

『JUHA』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南2-25-4/営業時間:10:00~21:00(土・日・祝は~19:00。SNSで事前に要確認)/定休日:月(祝の場合は翌)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩5分

お茶も読書も買い物も。『松庵文庫』

思い思いに過ごせる家

店主の岡﨑友美さんと店員の竹岡さん。柑橘とチョコレートのテリーヌ680円とセットドリンクのTUTUJIブレンド500円がおすすめだ。

音楽家の夫妻が暮らした築90年ほどの木造住宅を改修し、2013年に開店したブックカフェ。居間や音楽室、バスルームは壁を抜いてカフェスペースに、寝室はガラス窓をはめて、店で使われる器や食材、台所道具などを購入できるショップへと生まれ変わった。ドリンク、ランチ、スイーツ、アルコールまで幅広く味わえるので、本を片手にの〜んびり。春は中庭にある樹齢100年のツツジの開花も楽しみだ。

大きな下屋が特徴的。特別な時間を過ごせそう。

『松庵文庫』店舗詳細

住所:東京都杉並区松庵3-12-22/営業時間:11:30~ 21:00(土・日は~ 18:00)/定休日:月・火/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩7分

取材・文=川端美穂、佐藤さゆり(team まめ)、柿崎真英 撮影=金井塚太郎、木村心保、高野尚人、柿崎真英

JR西荻窪駅を中心として北は善福寺川、南は五日市街道あたりまで広がるこの街。「西荻窪」という地名は1970年に廃止され現存しないが、“西荻(ニシオギ)”という街の存在感はむしろ年々増している。吉祥寺駅と荻窪駅の間に位置し、「松庵」など高級住宅地を擁するせいで、中央線の中では比較的上品なイメージで語られることも多い。しかし、ひとたびこのエリアを歩けば、上品などころかかなり個性的な地だということが分かるだろう。店主がそれぞれの哲学を貫く店と、それらを愛してやまない住民が集まる、けっこう熱くてヘンな街なのだ。