ゑちごや
どの定食にも付くサラダがおいしい
町中華の枠を超えても珍メニューといえる野菜サラダ定食。そのサラダは見た目も美しい。ところが、焼き魚定食を注文すると、野菜サラダ定食のサラダと同じサラダが付いている。聞けばすべての定食にこのサラダは付くのだそうだ。ならば、野菜サラダ定食と名付けられた定食は、しらすおろし定食ではないのか。店主にそれをぶつけると「いや、これは野菜サラダ定食です」と言い張る。なるほど、その自由さこそが町中華らしい。
『ゑちごや』店舗詳細
ことぶき食堂
ここの揚げ物は、反則級の旨さです
客の多くが注文する看板メニューのブタカラはカリッ。町中華のレベルを超えた名物アジフライはサクッ。軽い食感と食べごたえを兼ね備えた味の秘訣を尋ねると、実直なご主人はう~んと考え込んだ。「うちの揚げ物、普通だと思うけどなあ。しいて言えば油の鮮度を保つこと。そこはこだわってます」。定食は、女将さん手製のお新香と、数日ごとに具が変わる味噌汁つき。プロの技術と家庭料理のぬくもりが合体した傑作だ。
『ことぶき食堂』店舗詳細
中華洋食食堂あゆた
先代と共に歩んだ洋食修行のたまもの!
中華鍋を振るう2代目の横で、初代の奥様が洋食を仕上げる。洋食を出す町中華は多いが、初代・2代目共に洋食修業経験のある同店は、本格度が頭ひとつ飛び抜けている。1961年に『萬満亭』の屋号で創業して以来、何度か移転する中で、洋食専門店だった時代もあるそうだ。洋食の多い店の実態に合わせ2015年に改装されたが、クラシックな中華と本格派の洋食、そして味噌汁が付く和洋中の定食の繊細な仕上げは、今も変わらない。
『中華洋食食堂あゆた』店舗詳細
食事処・志野
ご飯が瞬時に消えるおかわり前提定食
「食事処」だが『志野』は立派な町中華だ。河原行靖夫さんのお父さんは中華出身、定食屋として店を開いた後にラーメンもメニューに足した。店の看板は〝ニクシチ〞。一見かなり辛そうだが、ほどよいピリ辛濃厚醤油味で、気づけば白米が消えてなくなるオリジナル料理だ。スパサラで小休止できるのも素敵。しかもおかわりは2回まで無料だ。「おかわり率は80、いや70%かなぁ」と河原さんは謙遜するが、いやいやスゴい飯ドロボーぶりです!
『食事処・志野』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=北尾トロ・下関マグロ・半澤則吉・増山かおり(町中華探検隊) 撮影=山出高士
『散歩の達人』2019年2月号より