エスニック食材店には、上記のようなミックススパイスのほか、カレーのレトルトパックや缶詰などもチラホラ。こうした製品は、スパイスを自分で調合する本気のカレー通はあまり買わないもの。一方で、カレーの知識があまりない人も手を出しにくい……。
というわけで『散歩の達人』2020年9月号では、大特集「自由のカレー」のなかでエスニック食材店のスパイスミックスやレトルトカレー、カレー関連食品を4ページにわたって紹介しました!
本記事では、誌面ではパッケージ写真のみしか紹介できなかったもの・そもそも掲載できなかったものを中心に、その実食レビューを紹介。調理が必要なミックススパイスやペーストは、パッケージのレシピも参考に実際に作ってみました! なお価格は店舗購入時のものです。
ひよこ豆のカレー(インド)
メーカー:MTR
購入価格:270円
新大久保のイスラム横丁では、複数のレトルトカレーが販売されていましたが、種類が豊富で味もピカイチだったのが、インドのMTRというメーカーの製品。あいがけカレーの写真でも触れた「ほうれん草とカッテージチーズカレー」もMTRのカレーで、赤羽のエスニック食材店でも人気という噂を聞きました。上写真のような赤のパッケージが目印です。
このMTRのレトルトカレーは270円で2人前とコスパ良し。見ての通り、「チャナマサラ(ひよこ豆のカレー)」は豆がゴロゴロとたっぷり入っていて、日本の格安レトルトにありがちなパケ写詐欺もありませんでした! 味もほどよいスパイス感はありつつクセはなく、非常に食べやすいです。一度食べて気に入ったら、ぜひ買いだめしておきましょう。
カレーパウダー(ベトナム)
メーカー:VIANCO
購入価格:448円
大久保のタイ食材店で発見し、パッケージの怪しさに惹かれて購入したベトナムのカレー粉。このイラストはおそらく「ベトナム人がイメージするインド人」なのでしょう。袋の裏には「ベトナム風チキンカレー」のレシピが日本語で書かれていたので、その通りに作ってみました。
具材にさつまいもが入るのがこのカレーの1つの特徴で、ベトナムの料理らしくヌクナム(魚醤)も加えます。鶏肉とカレー粉を混ぜて30分ほど置いた後、それを油で炒める……という手順で作るため、そのぶん肉にもしっかり味がつきます(肉の色がやたらと茶色いのも、最初にカレー粉に混ぜたからです)。
なおココナッツミルクも加えるので、さつまいもとの組み合わせも相まって、全体の味は甘め。辛くもなく、ほっとする感じのおいしさです。個性はありますが日本人にも食べやすいカレーといえそうです。
カレ ジャワニーズカレー(インドネシア)
メーカー:bamboe
購入価格:150円
日本には『ジャワカレー』(ハウス食品)という定番のカレールーがありますが、こちらはジャワ島のあるインドネシアで生産されたホントのジャワカレー。ミックススパイスではなくペーストで、肉を炒めた後で水を足す→野菜やペーストを加えて煮込む……という手順で簡単に作れます。
ペーストにはレモングラスも入っているので、ほどよいスパイス感がありつつ爽やかな酸味もあります。簡単に作れるぶん味はあっさりめなので、コクが欲しい人はココナッツミルクを多めに使うといいかもしれません。
グリーンジャックカレー(スリランカ)
メーカー:MD
購入価格:518円
お店で見かけたときに「これは買わねば!」と思った謎すぎるカレー缶詰。写真の解像度の粗さも、名前の「グリーンジャック」とは何なのか……も興味をそそります。
原材料には「ジャックフルーツ」とあります。ジャックフルーツは日本では「パラミツ」とも呼ばれる果物で、東南アジアや南アジアのほか、アフリカ、ブラジルでも栽培。煮物、炒め物などに使われることも多く、菜食主義の人たちのあいだでは肉の代用食にも使われるそうです。
缶から出してみると、想像以上に肉っぽい見た目のものがゴロゴロと入っていました。このジャックフルーツのにぎにぎした果肉の食感は、「繊維感が強めのタケノコ」もしくは「パサついた感じの鶏胸肉」といった感じで、確かに肉の代用食になりそう! なおカレー全体の味は酸味が強めで、なかなかの個性派でした。
チキンカレーマサラ(インド)
メーカー:MDH
価格:270円
ハラルフード店のカレー用のミックススパイスでは、もっとも置かれていることの多かったメーカー『MDH』(インド)。種類が豊富&パッケージの彩りも鮮やかなので、見てるだけでも楽しいです。今回の記事ではチキンカレー用のミックススパイスを購入し、実際に作ってみました。
パッケージ裏には日本語レシピがありましたが、このまま作ると鶏肉が1kg必要。水の量もどう見ても少なめっぽい(鶏肉1kgに対して60ml)ので、ネットで作った人のレシピも参考にしつつ、ヨーグルトや水分を多めで作ってみました。
玉ねぎを飴色に炒めて、トマトを加えて炒め、スパイスを追加して炒め……というスパイスカレーらしい作り方をするカレーは、手間がかかる分やっぱり美味しいです。箱裏のレシピにはなかったニンニクやショウガも加えると、グッと日本人好みの美味しさになります。レトルトと比べるとハードルはグッと上がりますが、カレー好きの人はぜひ挑戦を!
チキンのスパイシーカレー炒め(タイ)
メーカー:OCTA
購入価格:373円
大久保のタイ食材店には、カレー粉やレトルトカレーのほかにもカレー味の食品が色々あったので、その一部も購入してみました。上記の商品は、店内に書かれた日本語の説明によると「チキンのスパイシーカレー炒め」。写真通りの料理なら美味しそうですが、果たして……?
パッケージの写真と比べると肉は小さめでしたが、味はいなば食品のタイカレー缶詰をグッと本場っぽくした感じ。辛さもなかなかのレベルでした。レンジで40秒チンするだけで食べれるのはお手軽ですが、これで300円超えはちょっとお高めかもしれないです。
カップラーメン カレースペシャル味(インドネシア)
メーカー:Mie Sedaap
価格:200円
こちらはインドネシア生産のカレー味のカップラーメン。原材料名を見ると、「ターメリック、ローリエ、ガランガル、レモングラス」などが入っており、日本のカップ麺とは違う味を期待できそうです!
食べてみると、ベースの味は日本のカップヌードルに思いのほか近め。レモングラスの風味が強く、辛さの中にも爽やかな酸味があるのが「東南アジアのカレー味だ~!」という印象でした。コンビニに売っていても1度買ってみたくなるレベルの製品です。
ペナン ホワイトカレーヌードル(マレーシア)
メーカー:My Kuali
価格:196円
こちらはマレーシアのインスタント麺。パッケージの写真では豪華な具材が乗っていますが、もちろん麺とスープの素しか入っていません。なおパッケージ裏には詳しい日本語の説明もありましたが、ペナンの屋台発祥の味だそうです。
作ってみるとスープが真っ赤っ赤! 食べても辛さは猛烈でしたが、ココナッツミルクをたっぷり使っているためクリーミーさもあり、エビの風味も強めです。カロリーもかなり高め(532kcal)で、「マレーシア版の『中本』と『ラーメン二郎』が合体したような味」ともいうべき、パンチ力&ジャンク感満点のウマさでした。これ、日本で店をやったら相当流行りそうです!
なお『散歩の達人』2020年9月号では、ここでは触れていないエスニック食材店の商品も複数紹介しているので、よろしければそちらもご覧ください!
取材・文・撮影(特記以外)=古澤誠一郎