ゲーム仲間と出会えるのはここ!『16SHOTS』

「テーブル筐体」は、喫茶店にも置いてあった70~90年代を象徴するアイテムで、当時は未来への入り口だった。
「テーブル筐体」は、喫茶店にも置いてあった70~90年代を象徴するアイテムで、当時は未来への入り口だった。
住所:東京都新宿区新宿5-4-1 新宿Qフラットビル203/営業時間:19:30~翌1:00/定休日:日・月(営業日はX[@16SHOTS]で要確認)/アクセス:地下鉄新宿三丁目駅から徒歩5分

今でも新しい仲間はできる

よく思い返してみると、ゲームをすることよりも、ゲームについて話すことのほうが楽しかった時期がある。いわゆる「クソゲー」を掴(つか)んでしまっても、それを笑って楽しめたのは、そこに友達がいたからなのだろう。高校を出て一人暮らしを始めた後も、友達の家でだべる時には延々とゲームをやり続けるなんてこともあった。ゲーム好きなら、誰しもそんな青春の一コマがあったのではないだろうか。

しかし、就職すると人間関係は仕事が中心になり、家族もでき、自然にゲーム友達は減っていく。それどころかゲーム自体、やらなくなってしまう。子供と一緒にゲームができる家庭もあるだろうが、友達と遊んだ時とは少し違う。ネットで友達を作ろうとしてもままならず、新作を始めても独り延々とプレイするしかない、もうそんな年なのか——。

いや、そんなことはない。今でもゲームの話を求めて人が集まる場所はある。その1つがゲームバーだ。特にレトロゲームをコンセプトとした店には、懐かしのゲームやアイテムが置いてあり、それを介して知らない人とでも会話ができる。ある日の『16SHOTS』では『ドルアーガの塔』『グラディウス』『戦場の絆』といったゲームを「魂のゲーム」と言う、25年来のゲーム仲間の集いもあった。個室を貸し切って、PS2のゲームや秘蔵の資料を持ち寄り、レゲー話に花を咲かせていた。

人気メニュー「3DO」は、パナソニックが発売していた同名の家庭用ゲーム機のなかに揚げ物が入っている、驚きの内容。
人気メニュー「3DO」は、パナソニックが発売していた同名の家庭用ゲーム機のなかに揚げ物が入っている、驚きの内容。

店長の安部さんも「自分の本当に好きなゲームの話をしてもらえれば、タイミングにもよりますが、きっと話が合う人はいます」と言ってくれた。

今でも新しい仲間はできる。そう、ずっと信じていたいものである。

ゲームCDが王道から超レア品までいろいろ置いてあり、その多彩さにも驚く。リクエストすればかけてもらえるし、ジャケを見ているだけでも楽しい。
ゲームCDが王道から超レア品までいろいろ置いてあり、その多彩さにも驚く。リクエストすればかけてもらえるし、ジャケを見ているだけでも楽しい。
本・CD・その他「レトロゲームグッズ」も販売しており、注目は近年作られた商品。今だからこそ楽しめるものがいろいろある。
本・CD・その他「レトロゲームグッズ」も販売しており、注目は近年作られた商品。今だからこそ楽しめるものがいろいろある。

ゲーム関連本から話題を見つける

当時、ゲームと共に、関連本を楽しみにしていなかっただろうか? 特にゲーム漫画は、攻略本と並んで多くのキッズが夢中になっていた。年代それぞれに、その時代のゲーム好きが「全員読んだ」と言っても過言ではない作品がある。

まずはなんといっても『ゲームセンターあらし』(すがやみつる著)だろう。石野あらし、通称ゲームセンターあらしが挑戦したゲームは今も人気作品としてゲーム史に残っている。90年代なら『ファミ通(前:ファミコン通信)』に連載されていた『しあわせのかたち』(桜玉吉著)なども人気作品といえるだろう。ゲームというジャンルを越えて、日記漫画の嚆矢(こうし)としても人気のある作品だ。

ゲームそのもののみならず、こういう漫画作品の話題も、新しい友達を作るとっかかりにできそうである。

取材・文=来栖美憂 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年3月号より

1980年代、スマホどころかインターネットも一般には存在していなかった頃。行き場所のない日に足が向かう先が「ゲームセンター」だったという同志は少なくないだろう。『ペンゴ』『パックマン』といったヒット作はもちろん、そこにしかないマイナーゲームもあった。前触れなく新作が入って喜ばせてくれたかと思えば、大好きだったゲームが急に撤去されて世の理不尽さを学習させられることもあった。そんな時代に、突然登場した『ゼビウス』は、今までのゲームとは全く違うものだった。
RPG(ロールプレイングゲーム)とはなにか? 定義は難しいが、物語があり、主人公が成長していくゲームだと言われている。明確ではなくとも、感覚的に理解されている言葉だろう。RPGというジャンルをメジャーにした『ドラゴンクエスト』(以下ドラクエ)のすごさは、徹底的に「親しみやすく、遊びやすくした」ところに集約される。マニアしか知らない、もっと言えばマニアしか理解できないと思われていたものを、『ドラクエ』は面白さの本質を柔軟に伝えてくれたのだ。それゆえ世界的な支持を獲得し、最新作のナンバリングは11を数えるほどだ。さらに、多くのリメイクや派生作品まで生み出している。ゲーム専用機だけでなくPC、スマホも含めて、実に多くのプラットホームで遊べるようになっているのだ。
1980~90年代、電気店の店頭や徐々にでき始めたパソコンショップなどで最先端機器だったパソコン(以下PC)と、そこで動いているゲームを見て強烈な憧れを抱いたキッズは相当数いたはずだ。