週2日だけ味わえる“小さな驚き”。『La Petite Surprise』
西荻窪駅から少し離れた住宅街の中で、金曜と土曜だけ営業を行うカフェがある。店主の塩見充代さんは、Webライターの仕事がきっかけで出会った菓子職人が作る菓子に影響を受け、自身の店を開くことに。その時に感じた想いを落とし込んでできたスイーツは、どれも優しい味でありながら奥行きのあるものばかり。よく知られた定番のスイーツも塩見さんの手にかかれば、今まで抱いていたイメージを上回る美味しさで驚かされること間違いなしだ。
『La Petite Surprise』店舗詳細
心が喜ぶ飲食の楽しみ方を提供。『浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica』
吉祥寺にあるコーヒー店『LIGHT UP COFFEE』を開業した経歴の持ち主が、新たに夫婦でこの店をオープンさせる際に着目したのが“食のセレクトショップ”という視点。ワインやコーヒー、紅茶など、それら一つ一つの専門性とジャンルを越えた横の多様性を組み合わせることで、目指していたビジョンをかたちにさせた。銘柄ごとに生産過程のストーリーを紹介するカードも提供し、「生産者がその液体に込めたメッセージを読み解いてほしい」と店主の相原民人さん。
『浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica』店舗詳細
季節の野菜とハーブ・スパイスの魅力。『yuè』
料理家・くしまけんじさんがオーナーシェフを勤める「食堂くしま」の跡地に2020年にオープン。当時のままの内装を活かした店内でいただけるのは、ハーブとスパイスを活かしたフードやドリンク。数種類もの野菜を使った週替わりのお野菜プレートをはじめ、旬のフルーツを使ったデザートなどがメニューに並ぶ。「ハーブやスパイスを使った料理とはいえ、複雑な味にならないようにしています」と、店主の越川祐貴さんはレシピ考案の際のこだわりを語る。
『yuè』店舗詳細
国産にこだわった体が喜ぶフルーツサンド。『ogicafe』
季節ごとに旬のフルーツを使ったフルーツサンドを名物にするカフェ。使用するフルーツはすべて国産にこだわり、大人も子供も安心して食べられる素材で作られる。「フルーツサンドをトレイに並べてお客様にお見せすると、皆さん笑顔になってくださいます」と、オーナーの寺田麻美さんは話す。“見て楽しく、体も喜ぶスイーツ”をテーマに、フルーツサンドのほかにも、国産のフルーツをふんだんに使用したスイーツやドリンクを提供する。
『ogicafe』店舗詳細
読書を心ゆくまで堪能できる。『fuzkue 西荻窪』
「本を読んで過ごすことに特化した店」をコンセプトにする『fuzkue』の3店舗目として、フランチャイズというかたちで2021年6月にオープンしたばかりの同店。既存の店舗と比べて、店の仕組みやルールなど営業スタイルの違いはないながらも、本棚に並ぶ本のセレクトをはじめ、内装やドリンクメニューに店主の酒井正太さんの趣向をうかがい知ることができる。中でもラム酒は酒井さんが好きなお酒とあって、この店にしかない銘柄も揃えているようだ。
『fuzkue 西荻窪』店舗詳細
“衣食住芸”がテーマ。本格焼菓子とコーヒーに舌鼓!『galerie non 西荻窪』
衣・食・住・芸をテーマに、オリジナルの衣服や食器をはじめ、セレクトの家具や雑貨、美術本などを取り扱う。オープンから15年を迎えた2018年に店内をリニューアルし、カフェを併設。豆選びから厳選した『中山珈琲焙煎所』のコーヒーとともに、同店オリジナルの菓子ブランド『ok.goodies』の焼菓子を提供している。パティシエのMAOさんが作る個性豊かなお菓子の中でも、ひつじモチーフのお菓子は看板商品。季節ごとに様々なバリエーションで登場する。
『galerie non 西荻窪』店舗詳細
各地から人々が集う西荻の"波止場"に。『HATOBA COFFEE STAND』
自身のブランド『SUTOA』の服のデザイン、イベント「西荻茶散歩」の運営、さらにはカフェまで始めた國時さん。「服の販売で日本各地に行くと、良くしてもらうことが多くて。今度は自分が西荻に来た人をもてなしたい」。コーヒーのドリップは『アアルトコーヒー』の庄野雄治さんに学び、シナモントーストはサンフランシスコで感動した味を研究して再現。マルティーノ・ガンパーのイスを本人から直接購入するなど、探求心に敬服!
『HATOBA COFFEE STAND』店舗詳細
日本茶とコーヒー2人の"淹れ手"が共演。『Satén japanese tea』
吉祥寺にあった『UNI STAND』の店主・小山和裕さんと『ブルーボトルコーヒー』のバリスタトレーナー・藤岡響さんによる新感覚の日本茶スタンド。2017年、松庵に開店するや否や客の絶えない人気店に! 「テイクアウトも含め、一煎で味と香りを楽しめるよう淹れ方を追求しました」と小山さん。茶器だけでなく、コーヒー器具まで使って巧みに淹れる様子にうっとり。緑茶、抹茶、ほうじ茶、コーヒーと、何度も通って楽しみたい。
『Satén japanese tea』店舗詳細
いつもオープンな西荻の太陽『それいゆ』
総勢18人で店を切り盛り!
ナポリタンやカレーライス、ケーキまで、何を食べてもおいしい。作るのも食べるのも好きというオーナー姉妹がかつて料理教室に通い、行き着いた味は確かだ。「半日かけて抽出するアイスコーヒーも人気」と妹の小松節子さん。1965年に創業し、今では娘2人、スタッフ14人と総勢18人で休みなく23時まで営業中だ。おかげで「いつでもそれいゆがある」という安心感! 懐かしさあふれる雰囲気ながら、いつも活気に満ちている。
『それいゆ』店舗詳細
ジャズが流れる山小屋は西荻の人々の桃源郷!?『どんぐり舎』
店主・河野三郎さんの母と兄が40年以上前に創業。おいしいコーヒーを求めて家族でさまざまな店を飲み歩いた。「味にうるさい兄が自家焙煎を始めたら、それが当たったんです。火事と間違えられたこともあったけどね(笑)」。横浜の販売店から良質なコーヒー豆を取り寄せ、週に3回、朝6時半から焙煎。山小屋風の店内でジャズを聴きながらコーヒーを飲んでいると、時間を忘れてついのんびり……。「シャングリラをもじった」という店名に納得!
『どんぐり舎』店舗詳細
旬の恵みをふんだんに!『cafe ilo』
小さいながら懐は深い店
伏見通り商店街の真新しいビルの一角にある、わずか8席の店。店主の橋上智子さんは天然酵母パンで有名な『ルヴァン』で働いていたが、小麦粉アレルギーになってしまい「グルテンフリーやベジタリアン対応ができる店を開こう」と決意。『HATOBA』や『食堂くしま』のイベントで料理を提供した経験から、場所は自然と西荻に。『えんツコ堂 製パン』の古代小麦を使ったパンや『サウスアベニュー』の中国紅茶など、西荻名物が味わえるのもうれしい。
『cafe ilo』店舗詳細
駅から離れた骨董通りで心安らぐ一汁三菜を『器カフェ 棗』
2016年に地蔵坂交差点の近くにひっそりとオープンした。「芽吹くのが遅い棗のように、ゆっくりと街になじんでいけたら」と店主。アトリエ兼住居だった建物を半年かけて改装し、1階をカフェ、2階は作家ものの器を扱うギャラリーに。店の看板は何といっても、手の込んだ定食。ハンバーグやロールキャベツなどの日替り定食は売り切れてしまう日も。月ごとに味が変わるポテトサラダをはじめ、副菜のおいしさにも感動。貴重な営業日を狙って訪れたい。
『器カフェ 棗』店舗詳細
のんびりムードが心地いいサロン。『JUHA』
大場夫妻が店を始める前、下北沢の名物喫茶『マサコ』閉店が決まった。「少しでも引き継ぎたくて」と、働いていた奥様のゆみさんは、ベンチや椅子、名物あんトーストのレシピを譲り受けた。パンは西荻窪『ぐーちょきパン屋』に変え、ホイップ付きなど、アレンジもするが、元気になる甘さは健在だ。店に漂う音は、主にご主人・俊輔さんがチョイスしたモダンジャズが中心。他にも、2人が愛する映画のポスターや写真、本などが配され、まったり過ごしたくなる。
『JUHA』店舗詳細
お茶も読書も買い物も。『松庵文庫』
思い思いに過ごせる家
音楽家の夫妻が暮らした築90年ほどの木造住宅を改修し、2013年に開店したブックカフェ。居間や音楽室、バスルームは壁を抜いてカフェスペースに、寝室はガラス窓をはめて、店で使われる器や食材、台所道具などを購入できるショップへと生まれ変わった。ドリンク、ランチ、スイーツ、アルコールまで幅広く味わえるので、本を片手にの〜んびり。春は中庭にある樹齢100年のツツジの開花も楽しみだ。
『松庵文庫』店舗詳細
ゆるりと朝の時間を味わう贅沢『LE LIEN』
鳥や葉擦れなど、森の音が響き、朝の光が差し込むなか、店主の近藤祐子さんが鮮やかな手つきでお茶を用意する。季節ごとに約12種の茶葉を揃え、香りを際立たせたり、苦味、旨味を醸したり。「それぞれの茶葉の好きな部分を強調して淹れるんです」。上生菓子や抹茶ババロアなどといただくのもいいが、メニューに朝セットなるものが。粥、ちまき、玄米から選び、主菜、副菜も週替わりからセレクト。茶を喫しながら、滋味深き味を心ゆくまで堪能したい。
『LE LIEN』店舗詳細
大人もはしゃぎたくなる、絵本の世界『ムッチーズカフェ』
店主のムッチさんと絵本専門士のまどかさんは、大学生の頃、将来一緒に店をやろうと約束。4年ほど前に満を持してオープンし、昔懐かしい名作から旬の新作まで、まどかさんセレクトの絵本をずらりと並べている。その中には、教訓や風刺、シニカルな笑いを含んだ、大人だからこそ楽しめるものもたくさん! 物語からヒントを得たというメニューも多く、お題となった絵本はどれか、陳列された中から探し出して答え合わせをしてみるのも面白い。
『ムッチーズカフェ』店舗詳細
取材・文=川端美穂、佐藤さゆり(team まめ)、柿崎真英 撮影=金井塚太郎、木村心保、高野尚人、柿崎真英