「いつもの」で通じる客も多数。普段遣いの喫茶店
オープンする早朝5時30分から9時までと、ランチタイムが最も忙しいが、常連客が多いのもこの時間だという。
「“いつもの”で通じるお客さんもたくさんいますよ」と、店長の芦澤さん。馴染みの喫茶店でも「いつもの」とはなかなか言えないが、ちょっとかっこよくてうらやましい。この店に来ることが日常になっている人が多くいるという証しだ。
ブレンドコーヒーは、友路有専用に焙煎しているオリジナル。すっきりとした苦味で飲みやすい。
砥部焼のコーヒーカップは一つひとつ手作りで、ぽってりと厚みがあって手に馴染む。ゆっくりとした時間を楽しむのにぴったりだ。
喫茶店定番のナポリタンと焼き魚定食
真っ赤な色のナポリタンが喫茶店らしい。ケチャップでの味付けかと思ったら、自家製のピザソースを使っているという。具はベーコン、玉ねぎ、ピーマンと、エビが入っているのがちょっと贅沢な感じだ。
自家製のソースはコクがあり、なかなか食べごたえのある味。玉ねぎの甘味とピーマンがいいアクセントだ。サラダとスープが付くのでバランスもいい。
パスタやピラフなどの軽食ももちろんいいが、実はこの店、定食がとても充実している。とくに、旬の魚を豊洲から仕入れている焼き魚定食が人気で、メニューはその日によって変わるというのもうれしい。
きちんとした栄養バランスのメニューを提供し、毎日来てもらいたいという店のこだわりだ。
人情味あふれる赤羽の町。日常の中に溶け込む店に
店長になって約8年。浅草と赤羽両方の店を経験してきた。赤羽の特長を聞くと「個性的でパンチのある街」とのこと。奇抜なファッションの人や酔っ払いも多く、最初は戸惑ったという。
「その一方で、すごく人情味もあるんですよ」と話す。常連客の中には、「がんばってるな!」と声をかけてくれる人も。育ててもらってる、という思いが強いと話す。
日常に溶け込んだ「いつもの喫茶店」は、今や貴重。赤羽の街の中で、喫茶店という文化をこれからもつなげていって欲しい。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ