訪れるたびに様相が変わる、再開発で新旧入り混じった街並み

2018年に使用開始された小田急線の東口改札。2026年には、駅前広場(ロータリー)が完成予定(撮影=信藤舞子)。
2018年に使用開始された小田急線の東口改札。2026年には、駅前広場(ロータリー)が完成予定(撮影=信藤舞子)。

改札を抜け駅前の広場に出ると、視界がパッと開ける。近年、駅周辺の景色は大きく変わった。以前は入り組んだ路地にこぢんまりした店が無秩序に軒を連ね、まるでカオス。その中を多種多様な人が行き交い、昼も夜もえも言われぬ強いエネルギーが満ちていた。

小田急線の下北沢方面にあった「開かずの踏切」。電車が次々やってくるラッシュ時には長時間踏切が上がらず、人の流れを妨げていた(撮影=結解喜幸)。
小田急線の下北沢方面にあった「開かずの踏切」。電車が次々やってくるラッシュ時には長時間踏切が上がらず、人の流れを妨げていた(撮影=結解喜幸)。

下北沢の再開発が本格化したのは、2010年代に入ってから。2013年、小田急線が地下化したことで、ある意味名所だった「開かずの踏切」が消えた。旧駅舎にへばりつくようにして立っていた、戦後の闇市がルーツの駅前食品市場も下北沢の象徴とされる場所だったが、2017年に取り壊されてしまった。

そしていよいよ2026年3月末には、2018年から続いていた工事が終わり、下北沢駅前広場が完成するという。

小田急線の連続立体交差事業などを契機に、駅周辺の風景が大きく変わった下北沢。2026年春にはいよいよ駅前広場が完成予定だ。下北沢で生まれ育った旅行写真作家・結解喜幸さんに、幼少期から青春時代までを過ごした“シモキタ”の思い出とともに、現代までの移り変わりの様子を綴ってもらいました。
下北沢には、一番街、南口、しもきた、東会、代沢通り、ピュアロードと6つの商店街がある(撮影=信藤舞子)。
下北沢には、一番街、南口、しもきた、東会、代沢通り、ピュアロードと6つの商店街がある(撮影=信藤舞子)。
街角にひっそりと立つ庚申堂は、江戸時代からずっと道行く人を見守ってきた(撮影=信藤舞子)。
街角にひっそりと立つ庚申堂は、江戸時代からずっと道行く人を見守ってきた(撮影=信藤舞子)。

昔ながらの街並みと最新スポットが混在し、まさに激変の途中にある下北沢。とはいえ、商店街にはまだ古い建物が残っているし、路地にはかつてこの街で暮らした人たちの痕跡を見ることができる。なお、現在「下北沢」というのは正式な町名ではない。明治時代までこの辺りにあった「下北沢村」から取った呼び名だ。

前述した通り、そう呼ばれているエリアは決して広くはなく、気軽にぐるっと徒歩で回れるのがうれしい。立ち並ぶ古着屋に次々入ってみたり、目的の一枚を探し求めてレコードショップをはしごしたり、カフェ巡りをしたり、歩き方は無限大である。

小田急線の線路跡地にできた「下北線路街」には、新たな商業施設が。写真はそのうちの一つ、「BONUS TRACK」(撮影=信藤舞子)。
小田急線の線路跡地にできた「下北線路街」には、新たな商業施設が。写真はそのうちの一つ、「BONUS TRACK」(撮影=信藤舞子)。

ジャンルが多岐にわたる下北沢ならではの音楽シーン

下北沢を歩いていると、レコードショップの袋を提げている人や、ギターケースを担いだ人とすれ違うことが少なくない。カフェや大衆食堂には、購入したレコードを見せ合うグループ、ライブ前の腹ごしらえをしているバンドマンの姿も。

店ごとにロック、パンク、オルタナティブ、ジャズ、ポップス、フォーク、クラブミュージックなど、ジャンルはさまざま。つまり、普段は入らない店に気まぐれに足を踏み入れると、知らない音楽に出合うチャンスがいくらでも落ちているのだ。

茶沢通り沿いにはレコードショップ、古本屋が並び、周辺にはライブハウス、劇場も点在(撮影=信藤舞子)。
茶沢通り沿いにはレコードショップ、古本屋が並び、周辺にはライブハウス、劇場も点在(撮影=信藤舞子)。

レコードショップは、安定の『disk union 下北沢店』、40年以上の歴史を誇る『フラッシュ・ディスク・ランチ』をはじめ、ダンサーからの信頼も厚い『Jazzy Sport Shimokitazawa』、サニーデイ・サービスの曽我部恵一さんが営み、パスタが評判のカフェでもある『CITY COUNTRY CITY』など、10数軒が揃い踏み。筋金入りのレコードマニアだけでなく、昨今の昭和レトロブームからレコードに興味を持った若者まで、間口は広い。

『BASEMENTBAR』でライブをする年齢バンド。圧倒的熱量で観客を魅了した(撮影=半澤則吉)。
『BASEMENTBAR』でライブをする年齢バンド。圧倒的熱量で観客を魅了した(撮影=半澤則吉)。

ライブハウスやライブバーは、実に30軒以上。かつてインディーズバンドとしてステージに立ち、そこから全国区に上り詰めたという、いかにも下北沢らしい逸話がそこかしこに転がっている。

シーンを牽引する立役者のような店もあり、90年代後半、『下北沢SHELTER』は伝説的バンドのHi-STANDARDによってメロコア、メロディパンクのハコとして広く名を知られるようになった。2025年に30周年の節目を迎えた老舗『BASEMENTBAR』は、あえてジャンルを縛らないオールアラウンドなブッキングで、バンド同士の交流にも一役買い、海外のアーティストが出演する日や、高校生バンドと一緒に企画を作ることもある。

プレイヤー、リスナー、あらゆる音楽フォロワー憧れの的である下北沢『SHELTER(シェルター)』。全国的にも知名度が高く、小沢健二の楽曲の歌詞にも登場する。足を運んだことがない人も、その店名は耳にしたことがあるかもしれない。今回はこの歴史あるライブハウスの店長、義村智秋さんにお話をうかがい、店の重ねてきた30年以上の歴史を追体験し、今のライブハウスのスタンスについても考えていく。 ※TOP画像提供:『SHELTER』 ankライブ風景撮影:Akira“TERU”Sugihara
下北沢『BASEMENTBAR(ベースメントバー)』はインディーズの注目バンドから海外ミュージシャンまで、さまざまな音が鳴り響く場所だ。このハコは感度の高い音楽を届け続け、下北沢だけでなく、東京、全国、そして世界から注目される。今回は、店長のクックヨシザワさんに思う存分、語っていただこう。
『440』では、音漏れを聴きに来る人たちのために、わざと少し窓を開けておく日もあるとかないとか(撮影=井原淳一)。
『440』では、音漏れを聴きに来る人たちのために、わざと少し窓を開けておく日もあるとかないとか(撮影=井原淳一)。

フォーク、ロック、ポップスなどのアコースティックサウンドが中心の『440』は、同ビルの地下にある老舗『CLUB251』の系列店として2002年に開業。通りに面した壁一面がガラス窓になっていて、店先でライブの音漏れを目当てにたむろする人々は、下北沢の名風景の一つとなっている。

他にも、ライブハウスとクラブの二毛作で営む『LIVE HAUS』、下北沢駅前の新しいランドマーク「SHIMOKITA FRONT」に入っている、ロフトプロジェクトが手掛けた『Flowers Loft』など、2020年以降にオープンした店も話題に。下北沢では、毎日どこかでライブが行われている。

ライブハウスが密集し、複数の会場を巡るライブサーキットが毎年のように開催される下北沢。雑多なカルチャーがギュッと詰まったこの街を歩けば、必ずと言っていいほど、楽器やレコード屋の袋を持つ人とすれ違う。
『ジャズ喫茶 マサコ』では、アフリカンやアバンギャルドなど、幅広くジャズを聴かせてくれる(撮影=高野尚人)。
『ジャズ喫茶 マサコ』では、アフリカンやアバンギャルドなど、幅広くジャズを聴かせてくれる(撮影=高野尚人)。

そして、下北沢を語る上で欠かせないのがジャズだ。この街にジャズを根付かせたのは、1953年創業の「ジャズ喫茶 マサコ」。2009年に再開発の影響で惜しまれつつ閉店したが、2020年、かつてスタッフとして働いていたmoeさんが、店名を引き継ぎ再オープンした。

『ジャズ喫茶 マサコ』の人気メニュー、クリームチーズ&ハニーマスタードトーストとマサコブレンド(撮影=高野尚人)。
『ジャズ喫茶 マサコ』の人気メニュー、クリームチーズ&ハニーマスタードトーストとマサコブレンド(撮影=高野尚人)。

同じく下北沢を「ジャズの街」たらしめたバー「LADY JANE」のオーナー・大木雄高さんは、かつての『ジャズ喫茶 マサコ』に若い頃よく出入りしていたそう。当時は演劇青年で、ジャズを聴きながら自ら主宰する劇団の台本を練っていたとか。

2025年には、その「LADY JANE」も創業50年の歴史に幕を下ろした。しかし、1973年から続く老舗『Jazzhaus POSY』は2代目が店を引き継ぎ、今も健在。さらに、頻繁にライブを行うバー『No Room For Squares』、音響機器にとことんこだわるジャズ喫茶『tonlist』といった新世代による動きが活発で心強い。

幕を閉じる者がいれば、新たに始める者も。下北沢には複数のジャズスポットがあるが、時代と共に入れ替わってもいる。しかし、バトンは確実につながれてきた。長年この街のジャズ文化を支えた店の店主に話を聞いた。
『ザ・スズナリ』の1階、鈴なり横丁にある『tonlist』。粒立ちのいい音を聴かせてくれるタンノイのスピーカーから、現代のジャズが流れる(撮影=高野尚人)。
『ザ・スズナリ』の1階、鈴なり横丁にある『tonlist』。粒立ちのいい音を聴かせてくれるタンノイのスピーカーから、現代のジャズが流れる(撮影=高野尚人)。
2000 年前後に起きたカフェ・ブーム。BGM にこだわる店も多く、イベントが開かれたり、人気DJ がコンパイルしたカフェ・ミュージックのCDもヒットした。あれから25年。音楽の楽しみ方が多様化した、この令和のカフェ・ミュージックとは?

下北沢を出身地のように語る演劇・映画関係者がいる理由

大ホールで公演するようになってからもここをルーツとし、戻ってきて錦を飾る『本多劇場』出身の劇団は多数(撮影=信藤舞子)。
大ホールで公演するようになってからもここをルーツとし、戻ってきて錦を飾る『本多劇場』出身の劇団は多数(撮影=信藤舞子)。

言うまでもなく、下北沢は「演劇の街」でもある。中心的存在の本多劇場グループは、1981年に鈴なり横丁の2階で始めた『ザ・スズナリ』、若手劇団の登竜門でもある『本多劇場』など、この界隈だけで8軒の劇場を運営している。下北沢には小劇場が多く、演者と観客の距離が近いため、独特の臨場感が味わえると評判。前衛的な演劇、実験的な企画、コント、朗読劇、トークショーなど入れ替わり上演され、当日券が出る公演もあるので、ふらっと入ってみたら思わぬ推しが見つかるかもしれない。

1階はスナックやバーが入る「鈴なり横丁」。アパートだった2階部分を改装し、『ザ・スズナリ』と『シアター711』を造った(撮影=信藤舞子)。
1階はスナックやバーが入る「鈴なり横丁」。アパートだった2階部分を改装し、『ザ・スズナリ』と『シアター711』を造った(撮影=信藤舞子)。

酒場で演劇談義に熱中する役者、スタッフとおぼしきグループを見かけることもある。上記の「LADY JANE」では、大木さんが元演劇畑だったこともあり、夜な夜な深い話がくり広げられていたと聞く。

演劇や映画についてもっと知りたくなったら、『古書ビビビ』『CLARISBOOKS』『B&B』などで、専門書や雑誌のバックナンバーを探すのもおすすめ。その扉の向こうに、サブカルチャーの底なし沼が広がっている。

新旧2つのミニシアター、『K2』『下北沢トリウッド』も重要な存在。『下北沢トリウッド』は「映画館より気軽に観られる映像のライブハウス」をモットーに、若手監督のアニメーションを柱の一つに据え、1999年にスタートした。新海誠監督の商業デビュー作『ほしのこえ』が初公開された場所ということもあり、中高生や、最近ではインバウンド客も増えたようだ。

一方の『K2』は、再開発に伴い新しくできた下北沢駅南西口の複合施設「(tefu) lounge」の2階にオープン。界隈の劇場やライブハウスを巻き込んだ「文化のハブ」を目指す。2024年には「BONUS TRACK」内に、映画の台本やシナリオを読める系列店のカフェバー『下北現像所』もでき、新たな映画ファンの入り口となっている。

『下北沢トリウッド』。代表の大槻貴宏さんは、硬派なドキュメンタリーが中心のミニシアター『ポレポレ東中野』も営む(撮影=逢坂 聡)。
『下北沢トリウッド』。代表の大槻貴宏さんは、硬派なドキュメンタリーが中心のミニシアター『ポレポレ東中野』も営む(撮影=逢坂 聡)。
25年の歴史を持つ老舗『下北沢トリウッド』。2020年に新しくできた『K2』。個性的な新旧2つのミニシアターが、街にどんなムーブメントを巻き起こすのか。日本の映画カルチャーにも変革をもたらすかも!?

レアなビンテージも初心者に挑戦しやすいものも揃う古着の街

京王井の頭線の高架下に開業した「ミカン下北」に入った『東洋百貨店 別館』(撮影=信藤舞子)。
京王井の頭線の高架下に開業した「ミカン下北」に入った『東洋百貨店 別館』(撮影=信藤舞子)。

ここ数年でさらに古着店が増えた。2020年頃まで100軒ほどだったが、今では200軒以上になったという。『HOOCHIE COOCHIE』『NEW YORK JOE EXCHANGE』『BIG TIME Shimokitazawa』など、元々あったビンテージのセレクトショップに加え、『古着屋JAM』『グリズリー』といった関西を中心に展開する大型店が続々出店。駅周辺には、手が届きやすい価格帯の店が集まり、若者やインバウンド客で活気づいている。

マニア垂涎の品揃え。『SMOG』には古着好きはもちろん、サッカーファンも足を運ぶ(撮影=信藤舞子)。
マニア垂涎の品揃え。『SMOG』には古着好きはもちろん、サッカーファンも足を運ぶ(撮影=信藤舞子)。

下北沢が「古着の街」として湧いたのは、2004年の「東洋百貨店 本館」開業がきっかけ。ワンフロアの中に、個性が強い古着店、雑貨店といった雑多な店が渾然一体となり、多種多様な「下北沢らしさ」の重要な一つを形成していった。2025年3月、ビル建て替え工事に伴い閉店したが、その少し前、2022年には高架下の複合商業施設「ミカン下北」内に『東洋百貨店 別館』をオープンさせている。本館開業当初からある、オリジナルのサッカーユニフォームに特化した『SMOG』、レディースの国産古着をメインにレトロなデザインのものを集めた『3びきの子ねこ』など、おなじみの店が営業中だ。

「音楽の街」「演劇の街」など、さまざまな異名を持つ下北沢。「古着の街」としてより認知されるようになったのには、2004年に開業した「東洋百貨店 本館」の存在が大きい。ワンフロアの中に古着店、雑貨店といった、こぢんまりした店舗が入り乱れるように軒を連ね、一歩足を踏み入れると、その個性的なラインアップ、物量の多さに買い物客のテンションが上がる。2025年3月、ビル建て替え工事に伴い惜しまれつつ閉店したが、その少し前、2022年には高架下の複合商業施設『ミカン下北』内に、『東洋百貨店 別館』をオープンさせている。

単なる「懐かしい」とは違う、貫禄ある老舗たち

『トロワ・シャンブル』ではオールドビーンズを使用。ネルドリップで深いコクとキレの良さが特徴のコーヒーを淹れてくれる(撮影=鈴木愛子)。
『トロワ・シャンブル』ではオールドビーンズを使用。ネルドリップで深いコクとキレの良さが特徴のコーヒーを淹れてくれる(撮影=鈴木愛子)。

変わっていく景色もあれば、変わらない景色もある。神保町の名店『カフェ・トロワバグ』でネルドリップに魅せられた松崎寛さんが、修業期間を経て、下北沢で『トロワ・シャンブル』を始めたのは1980年だ。天井の太い梁、松の一枚板で作られたカウンターなど、ほとんど開業当時のままだという。1977年創業の『いーはとーぼ』では、年季の入った調度品が味わい深く、本棚には古い蔵書がぎっしりと並ぶ。ジャズやロックが大きめの音量でかかっているのも、昔から変わらない。

飴(あめ)色の光に照らされるコーヒーの湯気とタバコの煙。40年以上の歴史を刻んできた空間の隅々に潜むただならぬ魅力の正体は、一体何なのだろう?
『珉亭』のチャーハンは、食紅で着色された昔ながらの中華のチャーシューの色がご飯に移り、ピンク色に染まっている(撮影=稲垣恵美)。
『珉亭』のチャーハンは、食紅で着色された昔ながらの中華のチャーシューの色がご飯に移り、ピンク色に染まっている(撮影=稲垣恵美)。

1964年から続く老舗町中華『珉亭』も、「下北沢といえば」と言われる一軒。先代のこだわりがそのまま受け継がれた江戸っ子ラーメンや、ひと目で珉亭のものだとわかる特徴的な色をしたチャーハン、通称「赤チャーハン」は地元のソウルフードだ。若かりし日の松重豊さんや甲本ヒロトさんがアルバイトをしていた場所でもあり、壁にはゆかりの有名人のサインがずらり。

名所ともいえる老舗が次々と閉店していくなか、この『珉亭』や、かつての常連客が2代目として店を継いだカレー店『茄子おやじ』がにぎわっているのは、心底うれしい。

変わりゆく下北沢の街で、半世紀以上も変わらずお客を出迎える老舗町中華『珉亭(みんてい)』。先代からのこだわりがそのまま受け継がれた江戸っ子ラーメンは、何世代にもわたって愛され続けている。もはや地元のソウルフードといっても過言ではないだろう。
松重豊氏が監督・脚本を務める『劇映画 孤独のグルメ』。その主題歌を担ったのは、40年来の友人である甲本ヒロト氏だ。二人が出会った下北沢『珉亭(みんてい)』にて、出会いからタッグに至るまでを語っていただいた。
近隣住民の憩いの場となっている北沢川緑道。暗渠となった北沢川の上に高度処理水を流した小川が(撮影=編集部)。
近隣住民の憩いの場となっている北沢川緑道。暗渠となった北沢川の上に高度処理水を流した小川が(撮影=編集部)。
緑に囲まれながらお茶を楽しめるグリーンショップ兼雑貨店兼カフェ『くらうま しもきた』。日本茶は『しもきた茶苑大山』の茶葉を使用。
緑に囲まれながらお茶を楽しめるグリーンショップ兼雑貨店兼カフェ『くらうま しもきた』。日本茶は『しもきた茶苑大山』の茶葉を使用。
「暗渠(あんきょ)」とは、もともとあった川や水路を地下に移したもののこと。都心の多くの川は下水道に転用され、見えない流れとなって今でも地下に存在している。また完全に埋められた単なる川跡も、そこには川の魂が残っていると考えればそこも広義の暗渠である。足元の暗渠に気づけば、見慣れた街がいつもと違って見えてくる!
再開発で日々変化する下北沢。消えゆく景色を恋しく思うが、新たな魅力も生まれているし、お隣の世田谷代田や池ノ上の穏やかな空気には、ホッと和む。今日歩く街には、どんな景色が見えるだろう。

再開発が大詰めを迎えた下北沢は、今まさに過渡期。通りが整備され、例えば『くらうま しもきた』のようなカフェ、スイーツなどの新しいスポットがどんどんとでき、人の流れが大きく変わった。老舗と新スポットの印象にはギャップがあるが、その雑多さ、選択肢の多さもまた街の魅力。毎年10月の「下北沢カレーフェスティバル」などイベントを開催すれば、街を挙げて盛り上がる。

変わってしまうのはさみしくもあるけれど、せっかくならだた憂うだけでなく、新時代の幕開けだと期待したい。どこにでもある景色ではなく、新たな「下北沢らしさ」が、ここからまた形成されるのだと信じて。

取材・文=信藤舞子 イラスト=杉崎アチャ

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