港の人たちの胃袋を支え続けて63年『あぶずり食堂』[葉山]

昔ながらのワンタンメン750円、さざえつぼ焼250円(1人1個)、生ビール600円。
昔ながらのワンタンメン750円、さざえつぼ焼250円(1人1個)、生ビール600円。

女将さんは「もともと仲卸で、葉山港に来た人に食べるところが欲しいって言われて」と1959年に開店。定食、丼、 中華と幅広いが、注目は魚介だ。大ぶりのさざえつぼ焼きは磯の香りが濃厚で、ビールを呼ぶ。サッと卵で閉じたさざえ丼、ヒラメやカンパチなど水揚げ次第の煮魚も捨てがたし。週末は香り豊かな近海生マグロの刺し身目当ても多い。正統派ラーメンもしみじみ染みる味わいだ。

サザエが1個まるごと入ったさざえ丼900円(不漁時は品切れ)。カラシがいいアクセントのわかめからしあえ200円。共に目の前の海で捕れた幸で、 酒の肴にもなる。
サザエが1個まるごと入ったさざえ丼900円(不漁時は品切れ)。カラシがいいアクセントのわかめからしあえ200円。共に目の前の海で捕れた幸で、 酒の肴にもなる。
葉山マリーナや漁港関係の人が立ち寄る。
葉山マリーナや漁港関係の人が立ち寄る。
葉山港前。のれんが目印だ。
葉山港前。のれんが目印だ。

『あぶずり食堂』店舗詳細

住所:神奈川県三浦郡葉山町堀内35/営業時間:10:30~14:30/定休日:水/アクセス:JR横須賀線逗子駅から京浜急行バス「葉山」行き約6分の「鐙摺」下車3分

フレンチシェフの独創的アイデア続々『食彩堂』[逗子]

店主の小島さんと焼き飯840円。
店主の小島さんと焼き飯840円。

パリッとした歯触りの中からマデイラソースを絡めたクリーミーなフォアグラがあふれ出す。1994年開店直後からの名物・春巻は地元スーパー『スズキヤ』でも販売する人気の総菜。また週2で佐島漁港へ出かけ、旬魚を目利き。2日ほど寝かせた白身魚は中華風サラダになり、醤油ベースのドレッシングが上品な香りを引き立てる。 「ジャンルにとらわれるのが好きじゃなくて」と、編み出す料理に杯は重なるばかり。

手前から、中華風刺し身サラダ1100円、フォアグラと木ノ子の春巻1本480円、つぶ貝とガーリックバター焼き980円。
手前から、中華風刺し身サラダ1100円、フォアグラと木ノ子の春巻1本480円、つぶ貝とガーリックバター焼き980円。
半地下の店。店内はシンプル・シック。
半地下の店。店内はシンプル・シック。

『食彩堂』店舗詳細

住所:神奈川県逗子市逗子5-7-6/営業時間:11:30~14:00・17:30~22:00/定休日:月(祝の場合は翌火)/アクセス:京急電鉄逗子線逗子・葉山駅から徒歩1分

自然派ワインが進む地元の恵み満載の皿『OHANAYA』[逗子]

本日のお通し440円にも佐島産が(下)。メダイのフリットとパクチーサラダ1540円(中央)、嘉山農園いちごのカルダモンマリネとリコッタチーズ1430円。グラス900円~。
本日のお通し440円にも佐島産が(下)。メダイのフリットとパクチーサラダ1540円(中央)、嘉山農園いちごのカルダモンマリネとリコッタチーズ1430円。グラス900円~。

泡、赤白、ロゼ、オレンジなど、10系統以上揃える自然派ワイン専門バーで、待ち合わせ前や締めの一杯、食事に重宝。気分を伝えるとソムリエの廣田俊己さんが3本ほど見繕(つくろ)ってくれる。佐島産魚介のほか、地元野菜で作る旬菜には在来種や不耕起栽培野菜を用いるアテは、「地産地消です」と、義弟で料理担当の折田幸久さん。果実にスパイスを加えたつまみは、ワインと合わせると華やかな香りが広がっていく。

ソムリエの廣田さん。
ソムリエの廣田さん。
隠れ家感のある店内。
隠れ家感のある店内。

『OHANAYA』店舗詳細

住所:神奈川県逗子市逗子6-5-1 WHITE & GREY 1F/営業時間:16:30~23:00/定休日:不定/アクセス:京急電鉄逗子線逗子・葉山駅から徒歩1分

峠の民藝喫茶でお茶と甘味に感服『日の出園』[葉山]

かき氷は6月から。宇治金時ミルク850円など、自家製茶の蜜が決め手。
かき氷は6月から。宇治金時ミルク850円など、自家製茶の蜜が決め手。

亡き先代の趣味で建てたお茶専門店は、山側に民藝喫茶を設え、自在鉤(かぎ)、壺、書などを飾る。葉山ショウガ、金色の名島産天草など、地元食材を用いたメニューが目白押しで、シコシコの手作り寒天の風味はこの上なし。これから夏はかき氷の季節。新茶、宇治茶、ほうじ茶など、茶屋お手製の蜜が芳醇(ほうじゅん)で、金時の氷を掘れば、中から北海道小豆を炊いた粒あんとアイスがお目見え。思わず頬が緩む。

2代目の和田政英さんが持つのは名島産天草。母・八重子さん手製の寒天が満載のクリームあんみつ715円は5月末まで(夏季休み)。
2代目の和田政英さんが持つのは名島産天草。母・八重子さん手製の寒天が満載のクリームあんみつ715円は5月末まで(夏季休み)。
峠に立つ。
峠に立つ。

『日の出園』店舗詳細

住所:神奈川県三浦郡葉山町長柄1413-212/営業時間:11:00~17:30LO(茶屋は10:00~18:00)/定休日:水/アクセス:JR横須賀線逗子駅から京浜急行バス「葉桜」行き約5分の「才戸坂上」下車3分

コスタリカ産コーヒーを手に古民家で憩う『カフェテーロ葉山』[葉山]

自家焙煎スペシャルティコーヒー650円~、コスタリカ産オーガニックファインカカオのミニサイズ各100円、地元菓子職人が作ったバスクチーズケーキ550円。
自家焙煎スペシャルティコーヒー650円~、コスタリカ産オーガニックファインカカオのミニサイズ各100円、地元菓子職人が作ったバスクチーズケーキ550円。

大正期築の風格ある古民家を2018年、店主の大下力さんが借りて開店。 「建具も木枠の窓もそのまま。縁側にほら、杉の木が渡してあるんですよ」。 余計な手を加えずに再生させた店で味わえるのは、大下さんが惚れたコスタリカ産スペシャルティコーヒーだ。コスタリカ発祥のハニー製法で精製された豆を農園違いで仕入れ、中深で自家焙煎。コクの奥から軽やかな果実味が立ち上る。

バリスタの安徳さん。
バリスタの安徳さん。

『カフェテーロ葉山』店舗詳細

住所:神奈川県三浦郡葉山町一色1532/営業時間:10:00~18:00/定休日:水/アクセス:JR横須賀線逗子駅から京浜急行バス「長井」行きなど約11分の「葉山大道」下車1分

小坪の海を見渡す山肌の隠れ『カフェシエスタ HIDAMARI cafe La SIESTA del sol』[逗子]

おかずフレンチトースト900円、ローズ・レモネード650円(価格は取材時点のものです)。テラスは2名限定の特等席。
おかずフレンチトースト900円、ローズ・レモネード650円(価格は取材時点のものです)。テラスは2名限定の特等席。

窓の外に誰もが目が釘付け。庭先の眼下に、小坪漁港と大海原が広がっている。 「探していたら見つかるもんです」 とは、店主の野津彰彦さん。築30年の民家の佇まいと景色に惚れ、独自の 「喫茶」を2013年に開店した。パスタや煮込みハンバーグ、ワッフルなどもあるが、メキシコのチーズトーストから着想を得たおかずフレンチトーストは、英国産レモネードと。タバスコをたっぷり利かせれば、ワインにもピッタリ。

靴を脱いで上がると海を望む和室にラグジュアリーなソファが並ぶ。古時計が時を刻む音も心地いい。ランチ目当ても多し。
靴を脱いで上がると海を望む和室にラグジュアリーなソファが並ぶ。古時計が時を刻む音も心地いい。ランチ目当ても多し。
山に張り付く黄色い家が目印。集落の小径を抜けて石段を登るべし。
山に張り付く黄色い家が目印。集落の小径を抜けて石段を登るべし。

『カフェシエスタ HIDAMARI cafe La SIESTA del sol』店舗詳細

住所:神奈川県逗子市小坪4-15-12/営業時間:12:00~日没(取材時点のものです)/定休日:月・火(祝の場合は営業)/アクセス:JR横須賀線逗子駅から京浜急行バス「鎌倉」行き約8分の「小坪海岸」下車5分

取材・文=佐藤さゆり 撮影=オカダタカオ