アクセス
鉄道:JR東京駅からJR総武本線で約2時間の銚子駅下車。同駅から神栖市各所へ関東鉄道バスが運行。東京駅八重洲南口から高速バスも運行。
車:首都高速湾岸線・東京外環自動車道高谷ICから東関東自動車道を利用し、潮来ICまで約75km。同ICから神栖市中心部まで約9km。
どこまでも続く壁画に圧倒されそう『1000人画廊』
鹿島灘に面した全長約6kmにも及ぶ護岸壁面をキャンバスに見立て、公募により選ばれた市民自らが描いた壁画が延々と続く。まちづくりの一環として1990年に旧神栖町で始められた企画で、今なお毎年新たな作品が加わっているのも興味深い。散策がてら、地元愛の詰まった作品群を見て回るのもいいだろう。小高い「海風の見える丘」からは壁画越しに雄大な大海原を見通せる。
千年以上にわたり、この地を見守ってきた古社『息栖(いきす)神社』
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)、香取神宮(千葉県香取市)とともに東国三社(とうごくさんじゃ)と称され、古来より信仰を集めた歴史が今なお息づく。一の鳥居の両脇にある忍潮井(おしおい)は、潮の中から真水が湧く地として古くからあがめられ、日本三霊泉の一つに数えられるほど。縁結びの御利益もある。
茨城県産クインシーメロン使用のメロンパン『パン工房 ファリーナ』
しっとりとした生地と香りに、思わず「おっ!」とうなる究極のメロンパン(オープン価格)が大人気。メロン果汁と果肉を生地に練り込み、こね方と焼き加減に独自の工夫を凝らしているのが秘訣とか。『息栖にぎわいテラス』でも販売。
東国三社の参拝客を多く迎え入れた柏屋旅館跡地に2025年開業した注目スポット『息栖にぎわいテラス』
息栖神社の参道沿いに2025年10月にお目見えした複合観光施設。館内は旬の地元食材やグッズなどを集めた「かみす市場」をはじめ、ピーマンたっぷりナポリタン1180円など気になるメニューもある「おしおいカフェ」、限定販売の神栖メンチカレーライス1298円などを提供する「ゆうひ食堂」も。さらに人気の総菜店、キッズエリアもある。参拝の前後に立ち寄るのに好適で、流し目のイメージキャラクター・カミスココくんをあしらった御朱印帳2000円はここだけの限定販売だ。
特産のピーマンを使ったソフトクリーム!『SONIA COFFEE』
『アートホテル鹿島セントラル』1階のテイクアウトカフェ&ショップ。ここでしか味わえないのが生産量日本一の神栖市産ピーマンを使用したピーマンソフトクリーム400円。甘さと味の濃さで評判のピーマンをすり潰し、種まで丸ごと丁寧に漉こ すことで、より一層風味を引き立たせている。
週替わりランチが評判のぬくもりカフェ『CAFE SERENDIPITY』
「共に管理栄養士の妻と娘が、栄養バランスを考え、心と体にやさしいメニューを心掛けています」とオーナーの小沼洋治さん。A生パスタ、Bカレーなど、C定食系、Dピザに分かれたランチセットは、大半の内容が週替わりで、リピーターが多いのも納得。充実のデザートも外せない。
ぜひとも注文したい極上さば棒寿司『花寿司』
地元客でにぎわう気さくな寿司店。締まりがよく身の厚い極上さば棒寿司は「銚子うめぇもん研究会」特製の純正だれに漬け込むことで生臭さを消して提供。刺し身から揚げ物、一品料理までメニューが多彩で、意外にカレーそばも人気だとか。
おつまみ感覚で味わえる魚介の缶詰を製造『髙木商店』
近隣の港で買い付けた魚を中心に缶詰として加工・販売。「厳選した素材に合うよう味付けを工夫し、試食を繰り返したうえで商品化しています」と髙木俊和専務。醤油で和風に仕上げたアヒージョ風缶詰や国産の赤肉を原料としたクジラの缶詰など、おつまみ感覚で楽しめる。
テイクアウトとイートインの両方に対応『もなcafe』
「パリパリで香ばしい最中(もなか)の皮が自慢です」と店主の細根さん。皮で挟むオリジナルあんは、サクサク食感のハチミツの飴を練り込んだ最中ハニーコムバター×あんこ360円など定番の6種に期間限定が数種加わる。スイーツやドリンクも多彩で、店内でゆったり過ごすのもいい。
工場夜景
旅の終わりに見届ける近未来的風景
国家プロジェクトとして昭和中期から開発が進められた鹿島臨海工業地帯の一角に位置する神栖市。巨大なプラントの様子は市内各所から目にでき、その規模に思わず圧倒される。昼の表情とは異なる幻想的な夜景も魅力で、上空に向けて突き出た煙突から立ち昇る煙には、どこかしら哀愁が漂う。お気に入りのアングルを探す楽しみもある。
街のスケールの大きさを実感
「思いのほか広いんだなあ」と、この旅でいったい何度つぶやいたことだろう。最初に意表を突かれたのは車道の広さだ。訪問前は漠然と素朴な地方都市をイメージしていたが、いきなり片側三車線道路に出迎えられ、しかも大型商業施設やチェーン店、宿泊施設が次から次へと姿を現す。道幅に見合う分の大型トラックも多く行き交い、当初思い描いていたイメージは一気に吹き飛んでしまった。
茨城県のHPによれば、神栖市と隣の鹿嶋市にまたがる鹿島臨海工業地帯には約190もの企業が立地しているとのこと。視線の先に立ちはだかる工場群を目にすると、車道の広さや施設の多さにも合点がいく。
工場群の先にある「1000人画廊」一帯でもスケールの違いを痛感することとなった。どこまでも続くかのような壁画もさることながら、その背後に控える鹿島灘の大海原は果てしなく広い。かたや、利根川や常陸利根川の河川敷に足を運んでみると、やはりそんじょそこらの河川では足元にも及ばない雄大な風景が広がっていた。平坦な土地柄も相まってか、見上げた空の広さも格別だ。
先々で広さを思い知り、夜景観賞で旅を締める
旅の途中、にぎわいのある旧神栖町エリアから旧波崎町エリアへ向かうことを告げると、「波崎までは遠いよ」と何人にも教わり、波崎に到着すると今度は「神栖からは相当時間がかかったでしょ」と苦笑された。そんな言葉が身に染みるほど、移動中は「いったいどれだけ広いんだろう」と驚いたものである。
念のため神栖市の面積を調べたところ、意外にも茨城県内の市町村で十指に入るほどではなかった。それでも肌感覚として広く感じたのは、旧神栖町と旧波崎町が2005年に合併した結果、神栖市の市域がかなり細長くなり、面積のわりには移動に時間がかかるのが、一番の要因に違いない。当初片側三車線だった車道は途中で二車線になり、波崎中心部に着く頃は一車線になっていたのも、市域の広さを物語っている。
ひとしきり訪ね回った頃には、ずいぶん日が傾いていた。帰路の途中、息栖神社の鳥居越しに沈む夕日を眺めてから向かったのは、工場夜景のビュースポットとして教わった平成物産パーク港公園である。さすがにピーマンソフトクリームを手に夜景観賞とはいかないが、『パン工房 ファリーナ』の究極のメロンパンや『髙木商店』で手にしたユニークな缶詰、『もなcafe』で見繕ったテイクアウト用の最中をつまみながら、暮れゆく公園でのひとときを過ごすのも、神栖市の旅の終わりにふさわしい気がする。世界最大級の掘込式人工港である鹿島港の先に居並ぶ工場群を眺めていると、いつしかまばゆい夜景が目の前に広がっていた。
【耳よりTOPIC】市内のサポート体制も順次充実中
利根川の河口域に位置し、起伏の少ない神栖市はサイクリングに好適の地。利根川に並行する常陸(ひたち)利根川沿いや鹿島灘に面した海岸線を走ったり、東国三社を巡ったりと、自分なりの気ままな時間を楽しめる。『アートホテル鹿島セントラル』では「つくば霞ヶ浦りんりんロード広域レンタサイクル」予約システムを通じて自転車を借りられる(利用日3日前までの予約制)。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2026年5月号より







