アクセス
鉄道:JR・私鉄新宿駅から小田急小田原線快速急行で約1時間20分の新松田駅下車。またはJR東京駅から東海道本線・御殿場線で約1時間35分の松田駅下車。
車:東名高速道路東京ICから同道を利用し、大井松田ICまで約58km。同ICから松田町中心部まで約2km。
東京・千駄木の人気店が装い新たに2024年移転『檸檬(れもん)の実』
眺望抜群の高台にあり、洗練されたくつろぎの空間に心安らぐ。季節の彩り豊かなランチメニューの提供は14時まで。以降のカフェタイムは、期間限定メニューを含めバラエティに富んだドリンクと旬のフルーツをぜいたくにあしらったケーキの2オーダー制。窓外に目をやりながら、静かに流れる時間を堪能したい。
第終了)/定休日:火・水
町を代表する眺望と開放感が自慢の人気スポット『西平畑(にしひらはたけ)公園』
市街地の背後に迫る松田山の中腹に広がる開放的な公園で、降り注ぐ日差しと吹き抜ける風が心地よい。起伏を生かした園内には、軽食やドリンクを提供する「山Cafe」、2025年にお目見えしたドッグラン「わんぽいんと」、懐かしい手づくりおもちゃで遊べる「子どもの館」、周辺の自然を紹介する「自然館」が点在。土・日・祝には林間を往復するミニ列車「ふるさと鉄道」(所要時間20分)が運行。町内の『あしがらジビエ工房』で処理した肉の加工品は本館で販売。
2025年に創業200年を迎えた老舗蔵元『中沢酒造』
蔵の一番人気である松みどり純米酒720ml 1650円は酒米に長野県産美山錦を用いた火入れ酒で、仕込みには丹沢山系の伏流水(軟水)を使用。口当たりがやわらかく、冷・常温・燗いずれでも合う自慢の食中酒だ。地元限定酒も扱う直売所の一角では有料試飲も楽しめる(3杯500円)。
松田ブランド認定品の青みかん精油を販売『コミュニティカフェおうち』
情報交換の場として多世代が気兼ねなく集う「お茶の間」的カフェ。ランチ・軽食・ドリンク・デザートの飲食のほか、近隣作家らのハンドメイド雑貨も販売。従来は廃棄されていた摘てき果か みかんを地元農家か
ら買い取り、水蒸気蒸留法で抽出した天然アロマ「青みかん精油」にも注目!
靴や足のトラブル解消の心強い味方『靴工房bics』
客の足の特徴を確認し、採寸したうえで、5カ月ほどかけて本人に合うハンドメイド革靴を仕上げる工房兼店舗。1足8万円~で、途中段階での微調整も含めて計3回の来店が必須だ。アクセサリーなど端革を活用した雑貨にも職人のセンスが光る。
駅前にありながら見過ごしそうな穴場的存在『むすびや繕(ZEN)』
独自の味付けを施した手づくり具材を、冷めてもおいしい会津産コシヒカリ、風味と甘さに秀でた有明産の海苔で包んだおむすびで提供。1個350円前後で、近隣へのハイキング前に立ち寄るのにも好都合だ。
気軽に利用しやすい2フロアの店内も魅力『ピッツェリア チェルトホノボーノ』
店の顔は高温の薪窯(まきがま)で一気に焼き上げたナポリピッツァ。ランチメニューは気の利いた前菜5種、窯焼きパン、ドリンクが付き、メインにピッツァ、パスタ、魚料理、肉料理を選べる。ディナーはアラカルト中心で、コースは予約制。
超大物作品も多数手がける『岡部版画工房』
現代美術作家の作品を中心に、発色に優れたシルクスクリーン版画で刷る工房兼版元。版画体験も可能で、既成の版を用いた2時間2500円または自分の絵を刷れる1日8000円のコースがある。作品はその場で持ち帰れるので、旅の記念に訪れるのもいい。
水遊び小川が流れるドッグラン『寄七つ星ドッグラン&カフェ』
丹沢山系の山々に囲まれた、豊かな自然が人気のドッグランで、夏季を中心に広々としたドッグプールも開設。ジビエ料理(期間限定)や手づくりドリンクを提供する併設のカフェは、もちろん愛犬も一緒に入れる(カフェのみの利用も可)。
初夏を彩る寄地区有志によるイベント『やどりきホタルの夕べ』
豊かな自然が色濃く残る寄地区の活性化を目指し、有志で始めた手づくりイベント。『寄清流マス釣り場』付近に自生するホタルが夜空を舞い、池や水路に光が反射する様子が幻想的だ。2026年のイベント日は6月5・6・7・12・13・14日の計6日間で、日没から21時頃にかけて開催。問い合わせは☎0465・83・1228(松田町観光経済課)。
丹沢の山並みと緑深まる交通の要衝
神奈川県内を西へ進むと、丹沢の山並みの先に富士山の姿がちらちら見え始め、その後一気に広々とした光景へと移り変わる。この一帯が暴れ川として知られる酒匂川の流れが生んだ足柄平野で、その北端に位置するのが松田町だ。
松田町と聞いてすぐに思い浮かんだのが、JR御殿場線の松田駅と小田急小田原線新松田駅の存在である。両駅を結ぶ連絡通路はないものの、鉄道2路線が交差する交通の要衝であることに違いはなく、近くには東名高速道路の大井松田インターチェンジもある(所在地は足柄上郡大井町)。それゆえ、さぞかしにぎわいのある街並みだろうと想像していたが、駅前のロマンス通りは個人商店が集まる昔ながらの商店街といった風情で、とりたてて華やぎがあるわけではない。
「実は夜になると、駅周辺では結構にぎわう店も多いんですよ」と教えてくれたのは、新松田駅の改札脇にある『むすびや繕』の菊場啓貴(よしたか)さんだ。なんでも小田急小田原線に比べてJR御殿場線の運行本数が少ないため、新松田駅から松田駅への乗り換えの際に時間が余り、調整のため酒場でやり過ごす通勤客が一定数いるのだとか。加えて登山者やハイカーが利用する路線バスの終点であることから、下山後の痛快な一杯の地としても好適なのだろう。
合併70年超の町内に異なる文化圏が共存
さて、もう一つ松田町で気になったのは、町域が南北に妙に長い点である。その理由を探ると、1955年に旧松田町と寄村が合併し、現在の松田町が誕生したのが原因のようだ。
町域の南側に位置する旧松田町に該当する松田地区は、背後に迫りくる山並みと酒匂川・川音(かわおと)川に挟まれた狭い地に、公共施設や商店、住宅がぎゅっと凝縮している。酒匂川の河川敷をはじめ、地区のあちらこちらで富士山を一望できるのもうれしい。一帯を見下ろしているのが西平畑公園で、エリア屈指の眺望を求め、週末ともなれば多くの来園者でにぎわうという。
片や北側の寄地区は、周囲から隔絶されたかのような地形の特徴も相まって、同じ町内と思えないほど異なる風情を漂わせている。いや、風情どころか、異なる文化圏と呼んでも差し支えないかもしれない。川音川の上流に当たる中津川に寄り添うようにのどかな集落が形成され、時間の経過も心なしかゆるやかだ。
『寄七つ星ドッグラン&カフェ』の運営を担う御簾納(みすの)聖子さんは猟師になりたくて、東京都からこの地への移住を決めた異色の経歴の持ち主で、猟友会の仲間らと仕留めた鹿肉をカフェで提供しているそう。手にした施設のパンフレットには「桃源郷」「隠れ里」といった文字が並んでいるが、そんな惹句が十分納得できるのびやかな風景に心が和んだ。
【耳よりTOPIC】難読地名の定番「寄」の由来とは
中心部から隔てられ、秘境のごとき趣さえある寄地区(旧松田町との合併前は寄村)。明治初期に近隣の村が寄り合って「寄村」になったなど成立そのものにも諸説あるが、そもそも「寄」の読みがなぜ「やどりき」なのか。気になって独自調査したものの正確な由来は結局最後まで分からずじまい。謎はさらに深まるばかりである。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2026年6月号より







