炭の匂いと喧騒(けんそう)がのんべえを店内へ誘(いざな)う『やまと屋』

炭火で焼くやきとんは右から断面がピンクのレバ132円、ナンコツ143円など。こぶくろポン酢308円、牛すじ塩煮込み495円。
炭火で焼くやきとんは右から断面がピンクのレバ132円、ナンコツ143円など。こぶくろポン酢308円、牛すじ塩煮込み495円。

長さ二間ののれんの奥には、楽しく飲む酔客たち。「広い間口で中の活気が伝わる店にしたかった」と町田出身の店主・平尾慶さん。酒は三冷ホッピー440円に下町ハイボールやホイス各418円まであり、大衆酒場好きの心をつかむ。当日仕入れの豚モツを焼くもつ焼きは、アミ脂を挟んだチレの濃厚味増だれがホイスと合うし、ニンニク醤油が癖になるハラミはキンキンのホッピーと相思相愛!

愛車はゼッツーの平尾さん(手前)と焼き台担当の田尻洋平さん。
愛車はゼッツーの平尾さん(手前)と焼き台担当の田尻洋平さん。
テーブルとカウンターで24席。
テーブルとカウンターで24席。

『やまと屋』店舗詳細

住所:東京都町田市中町1-18-2 ウッドベル1F/営業時間:16:00~23:00(フード22:00LO・ドリンク22:30LO)/定休日:日・月/アクセス:小田急電鉄小田原線町田駅から徒歩3分

半々合からちびちびやれる左党の天国『蔵家 SAKELABO』

手前はらっきょうパルメザン220円やゴマサバ418円。奥は創作漬けチーズ318円、一歩己(いぶき)純米吟醸半合616円。
手前はらっきょうパルメザン220円やゴマサバ418円。奥は創作漬けチーズ318円、一歩己(いぶき)純米吟醸半合616円。

町田郊外の酒販店『リカー・ポート蔵家』が、ペアリングや幅広い酒の味を体感できる立ち飲み店を駅近にオープン。毎週木曜に変わる日本酒10種は、半々合(45㎖)から注文可能。さらに、蔵元から仕入れる酒粕を使う特製酒粕もつ煮込みハーフ253円など小サイズで頼める肴もあり、楽しみ方は多彩。酒によってはあえて生原酒をお燗、大吟醸をロックで提供するなど、まさに酒の実験室!

「店内で気に入った地酒も購入できます」とスタッフの三角隆至さん。
「店内で気に入った地酒も購入できます」とスタッフの三角隆至さん。
出窓にも立ち飲みスペース。
出窓にも立ち飲みスペース。

『蔵家 SAKELABO』店舗詳細

住所:東京都町田市中町1-1-4/営業時間:17:00~22:30LO(土・祝は14:00~、日は14:00~21:30LO)/定休日:月/アクセス:小田急電鉄小田原線町田駅から徒歩2分

一頭仕入れと生肉にこだわる馬肉酒場の本命『柿島屋』

馬刺し上や肉皿、馬肉のメンチ2個640円をうめ割と。すきやき風の肉なべ1750円も名物。
馬刺し上や肉皿、馬肉のメンチ2個640円をうめ割と。すきやき風の肉なべ1750円も名物。

ルーツは「馬喰(ばくろう)」という、2020年で創業136年の名店。山梨の牧場で脂肪分少なめに育ててもらった馬を仕入れており、生のロースとヒレをさばく馬刺し上1320円はほんのり甘く、口でとろけるほどやわらかい。肉皿(煮込み)550円は甘辛の醤油味で酒肴にぴったり。うめ割やぶどう割各300円など昔ながらのお酒、座って薬味の種類だけを言えば馬刺しが出てくる常連など、随所に老舗の風格を感じさせるのだ。

マツの一枚板のテー ブルが渋い。
マツの一枚板のテー ブルが渋い。
「馬肉は水分を多く含んでいるから冷凍したら質が落ちる。絶対に使わないよ」と4代目の柿島琢磨さん。
「馬肉は水分を多く含んでいるから冷凍したら質が落ちる。絶対に使わないよ」と4代目の柿島琢磨さん。

『柿島屋』店舗詳細

住所:東京都町田市原町田6-19-9 アーバン柿島2/営業時間:16:00~22:00(土・日・祝は12:00~21:00)/定休日:水/アクセス:小田急小田原線町田駅・JR横浜線町田駅から徒歩4分

こぢんまりした店に詰まる町田の幸『立ち飲み 町呑屋』

奥のおでんセットは4~5品盛り。日本酒は90㎖で提供。支払いはキャッシュオン。
奥のおでんセットは4~5品盛り。日本酒は90㎖で提供。支払いはキャッシュオン。

町田産の米で醸した純米酒「尾根桜」300円をはじめ日本酒は15種、ウイスキーはオールドグランダッド400円など約10種も! 「ここは町田酒販協同組合が母体だから酒の質は間違いないよ」と隣で赤ら顔の常連さん。つまみも町田産の里芋の唐揚げや、町田の小林豆腐のがんもが入った、おでんセット各350円など町田応援節が全開。それらを肴に町田の陽気な酔客たちと杯を交わすのが最高に楽しいのだ。

店長の平山亜蘭さんの素朴な人柄も人気の理由。
店長の平山亜蘭さんの素朴な人柄も人気の理由。
町田産の禅寺丸柿の果汁を加えた禅寺丸柿ワイン400円。
町田産の禅寺丸柿の果汁を加えた禅寺丸柿ワイン400円。
赤提灯が目印。11人ほどで満席に。
赤提灯が目印。11人ほどで満席に。

『立ち飲み 町呑屋』店舗詳細

住所:東京都町田市原町田4-5-10/営業時間:16:00~22:00(日・祝は14:00~21:00)/定休日:水/アクセス:JR横浜線町田駅から徒歩2分

いい味の夫婦とお出汁に心が“ほっ”『風燦』

4種と謳(うた)いつつ、当日はブリなど6種が彩った刺身盛合せ。奥がサワラの唐揚げ780円。
4種と謳(うた)いつつ、当日はブリなど6種が彩った刺身盛合せ。奥がサワラの唐揚げ780円。

趣(おもむき)ある一軒家で、渋い吉崎裕さんとチャーミングな芳美さんが切り盛り。「魚とお出汁が主役」(裕さん)という店の真打ち、サワラの唐揚げは皮パリパリのサワラとゴボウの唐揚げに、お出汁をジューッとふりかける。薄口醤油を使った甘みのある出汁と上品な白身の競演に酒が止まらず、次の肴に刺身盛合せを注文。刺身盛り合わせ1人前1000円~って……。「自転車で相模原の市場まで買いに行くんだけど、チャリじゃ大変だろって同情して魚を安くしてくれるんだ(笑)」。

吉崎さん夫婦。裕さんはフォークソング好きで、店名は友部正人の曲『ふーさん』から。
吉崎さん夫婦。裕さんはフォークソング好きで、店名は友部正人の曲『ふーさん』から。
ひとり客も居心地のいいカウンター。手前にはテーブル席。
ひとり客も居心地のいいカウンター。手前にはテーブル席。

『風燦』店舗詳細

住所:東京都町田市原町田3-3-4/営業時間:11:30~13:30・18:00~22:00(金・土は~23:00、日は夜営業のみ)/定休日:不定/アクセス:JR横浜線町田駅から徒歩5分

鎌倉街道を北上し、いざ、絶品焼き鳥征伐!『炭火焼鳥 いざ、』

焼鳥のおまかせ5本セット650円~と、シチューのようにとろとろの牛すじ煮込み450円。
焼鳥のおまかせ5本セット650円~と、シチューのようにとろとろの牛すじ煮込み450円。

町田駅からバス10分の立地ながら、毎日ほぼ満席という鎌倉街道沿いの繁盛店。「昔は波乗りに夢中だったけど、今は食材探しにハマっちゃって」という中原健さんが発掘する食材は、熊肉から有機野菜、川海苔まで幅広い。特に鶏料理は、天草大王はたたき900円に、青森の桜姫は五目釜めし800円に、日向鶏は焼き鳥にと垂涎(すいぜん)の品書き。さらに入り口脇の駄菓子が無料とあれば千客万来。当分波乗りは無理ですな、ご主人。

有機野菜のおすすめサラダ550円。新鮮野菜を刺し身で出す日も。
有機野菜のおすすめサラダ550円。新鮮野菜を刺し身で出す日も。
紀州備長炭で鶏をふっくら焼く。
紀州備長炭で鶏をふっくら焼く。

『炭火焼鳥 いざ、』店舗詳細

住所:東京都町田市本町田1297/営業時間:17:00~23:00LO/定休日:火/アクセス:JR横浜線・小田急小田原線町田駅から神奈川中央交通バス「野津田車庫」行き10分の「第三小学校前」下車3分

若き日本酒王子による夢の地酒実験室『日本酒ラボ』

当日は飯能の『五十嵐』の純米直汲みなどレアな地酒も用意。稀(まれ)に鮮魚を中心に、味噌きゅうり330円など簡単な肴がある日も。
当日は飯能の『五十嵐』の純米直汲みなどレアな地酒も用意。稀(まれ)に鮮魚を中心に、味噌きゅうり330円など簡単な肴がある日も。

酒屋勤めだった水津祐輔さんが、29歳のとき「お客さんの飲んだ反応を、その場で見たくて」と一念発起。3240円で地酒70種飲み放題という、素晴らしき店を開いた。30代の杜氏が頑張る東灘醸造の「鳴海(なるか)」から、十四代で有名な高木顕統プロデュースの「花邑(はなむら)」まで、水津さんが旨いと思った全国の銘酒がずらり。つまみは持ち込み自由なので「この総菜、デパ地下で半額だったの、食べて」などお隣同士で盛り上がれるのも愉快。グラスの単品は70ml330円、100ml440円。

「特に若い杜氏が醸すお酒を応援したい」と水津さん。
「特に若い杜氏が醸すお酒を応援したい」と水津さん。
この公民館的雰囲気がたまらない。
この公民館的雰囲気がたまらない。

『日本酒ラボ』店舗詳細

住所:東京都町田市森野1-34-13 TM3ビル2F/営業時間:12:00~16:00(完全予約制)・17:00~23:00の完全二部制/定休日:不定/アクセス:小田急小田原線町田駅から徒歩6分

褐色の空気と旬の味、町田で希少な正調酒場『初孫』

右にいるのが店主の高橋さん。鯉口シャツに坊主頭がいなせ。
右にいるのが店主の高橋さん。鯉口シャツに坊主頭がいなせ。

駅前の喧騒を逃れ、路地の小さな入り口をくぐると電球で褐色に照らされたコの字カウンター。そこに座するは酒の飲み方を知る手練(てだ)れたち。40年余の歴史を誇る老舗酒場は、店名通山形の銘酒「初孫」が主役だ。「先代の親父が実際に蔵を見て、名前と味が気に入ったらしくて」と現店主・高橋英臣さん。合わせる肴は、カウンター上の大皿からチョイス。例えば、秋はキヌカヅキ(里芋)や白神のマイタケ、ハタハタなどで旬を味わいたい。

当日の肴は手前から刺盛800円~、キヌカヅキ500円など。
当日の肴は手前から刺盛800円~、キヌカヅキ500円など。

『初孫』店舗詳細

住所:東京都町田市原町田6-10-19/営業時間:17:00~23:00/定休日:日・月/アクセス:小田急小田原線町田駅から徒歩2分

取材・文=鈴木健太 撮影=丸毛 透、金井塚太郎