いづみや本店

大宮の酒場と言えば、この店抜きには語れない

席数は60以上。すぐ隣にある「第二支店」を合わせると優に100を超える収容人数を誇る大箱酒場『いづみや』。

もとは定食屋として開業したため、開店は朝の10時。高く抜けのよい天井の周囲に、ぐるりと設えられた採光窓から日の光が差し込み、その光の向こうには壁一面に圧巻の手書きメニュー短冊。まだ日の高いうちからこの空間で、端正な佇まいの肉豆腐をつまみに、梅割をちびちびとやる時間には、他に替えがたい喜びがある。「長いお客さんとは、みんな友達みたいになっちゃって」と言って楽しそうに働く店員さん。大宮を代表する大衆酒場は、決して気取らず、しかしきちんと店の味わいを守り続ける、この街の奇跡そのものだ。

この短冊メニューを前に、あれこれ今日の作戦を練るのも至福の時間。
上から時計回りに、まぐろぶつ360円、梅割、わかめときゅうりの酢の物280円、いづみや名物のもつ煮込み170円、そして肉豆腐。
毎日仕込む特製の焼酎、梅割220円は、一升瓶でグラスいっぱいに注いでくれる。一升瓶が7本も空く日もあるほど人気。
厨房では一日を通し、料理人の手が休まることはない。
数度の建て替えはあれど、70年以上にも及ぶ歴史の堆積がそのまま残る空間。
駅を出れば正面に堂々たる看板が目に入る。ここはまさに酒飲みのランドマークだ。

『いづみや本店』店舗詳細

住所:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-29/営業時間:本店10:00~翌2:15、第二支店9:30~22:00/定休日:不定/アクセス:JR・私鉄大宮駅から徒歩1 分

いろは三世

大迫力のマグロの頭に仰天!

2代目が寿司屋ということで、お客さん同士の距離が近い。ガラスケースには魚がずらり。

暖簾をくぐると奥のカウンターの上に、マグロの頭がドンと置かれているのが目に入る。これを指さし、「その刺し身は頭のこの部分ね」を説明してくれるのは店主・新井國広さん。顎あごや頬など、同じ頭でも部位によって味が変わるという。毎朝仕入れるマグロの頭の刺し身は脂がのっていて、酒が進む。お店は1946年の創業で、新井さんが3代目ということで「三世」なのだそう。リーゼントがキマった名物店長だ。

マグロの頭とサエズリ(のど肉)が楽しめるイロハ梅盛1000円。

『いろは三世』店舗詳細

住所:埼玉県さいたま市大宮区大門町1- 48/営業時間:17:00~ 24:00LO/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄大宮駅から徒歩3分

おでんと魚菜 基

おでんを肴に全国のレアな日本酒を

店長の妹尾和明さん。

埼玉県産野菜をはじめ、この店のおでん種は個性豊か。利尻昆布、トビウオ、魚のアラでとる出汁は、京風の上品で控えめな味付け。約20銘柄がそろう日本酒は、全国各地から厳選。随時入れ替わるので、訪れるごとにおすすめを聞いてみたい。おでんと並んで店の二枚看板が刺し身。大間のマグロ、高知のシマアジなど、各地の旬が並ぶ。冬場には、高知や九州産のクエのしゃぶしゃぶも登場する。

春菊のはんぺん300円、丸ごとトマト580円など。フレッシュで華やかな味の米沢・新藤酒造の九郎左衛門・裏雅山流など、銘酒とともに。
カウンター席もあるので、1人飲みにも使える。

『おでんと魚菜 基』店舗詳細

住所:埼玉県大宮区桜木町2-158-2 スプリングアートビルディングB1F /営業時間:17:00~23:00/定休日:無(臨時休業あり)/アクセス:JR・私鉄大宮駅から徒歩3分

酒蔵 栄楽

地酒愛から生まれたほぼ全蔵飲み放題

「世界鷹」「豊明」「藍の郷」各1合750円。魚介や野菜で25種ある串天ぷら1本150円。

創業60年の居酒屋で1年前に始めたのは、埼玉県内34蔵の酒の飲み放題(2000円)。ほぼ全蔵網羅するのは現在こちらだけらしい。「数年前に仙台で地元の人の通う酒場に行ったら、全部宮城県の酒だったので衝撃を受け、コレだ! と。埼玉の人は地方の酒は知ってても地酒を知らない人が多くて残念だと思っていたんです」と30代の店主・安田大輔さん。飲み放題は先入観なしで気軽に飲めるようにと考えてのこと。さらに飲んだ酒を忘れないよう全種類のラベルのコースター(しかもQRコード付き)やスタンプカードも自作する。料理は刺し身に焼き物、炒め物に煮物と和食全般。串天ぷらと〆鯖の新旧名物はぜひお供に。

店内は全60席。掘りごたつの部屋もある。
板場で調理を担当する3代目の安田大輔さん。
厚切りの〆さば木の葉造り700円は昔からの名物。
店内2つの冷蔵庫に収まる埼玉の地酒。

『酒蔵 栄楽』店舗詳細

住所:埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-159 安田ビル2F/営業時間:11:30~13:30(土は休)、17:00~23:00/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄大宮駅から徒歩3分

取材・文=高木健太、下里康子、平野貴大、光松 瞳、本田直子、パリッコ、沼 由美子、鈴木健太 、風来堂  撮影=加藤昌人、オカダタカオ、井上洋平、井原淳一、金井塚太郎、本野克佳、門馬央典