【カフェ】
雀家[三崎口]
港町の風を全身に受ける忘我の時
アウトドア料理本も出す店主・小雀陣二さんが、三崎港の入り江で2013年に開店。大きく開け放たれた2階の窓の眼前に港、眼下には木製の懐かしいバス停という物件に、「アウトドア雑誌などに関わる中で巡り合った」と小雀さん。「ちょうど海に夕日が落ちるのが見えるんです」と満面の笑み。コーヒーや紅茶だけでなく、スパイスの効いた評判のカレーもいただきながら、朝から晩までボーッと海風に吹かれて過ごしていたい。
『雀家』店舗詳細
cafe tsukikoya[追浜]
丘の上の古民家でスペシャルな一杯
追浜の小高い丘の上、遠くに海が見える絶景のこの店。かつてフレンチトーストをデザート感覚で味わう専門店を手がけた田村英治さんが、スペシャルティーコーヒーの店として2010年に開店。コーヒーコンテストで何度も優勝を果したスタッフと「毎日、厨房でコーヒー談議がつきない日々です」と田村さん。「もっとコーヒーの味の広さを知ってほしい」と6~13種類のサンプルを常備する。今年はコーヒーの概念が変わる夏になるかも?
『cafe tsukikoya』店舗詳細
【ラーメン】
中華料理 ポパイ[三崎口]
三崎名物まぐろラーメンの進化形!
鮪炸醤麺のどこにマグロが潜んでいるのか? ひとつは出汁。そして、ひき肉にも見える具材こそマグロの尾からかき出した身だ。麺をすすると、片栗粉を溶いたとろみスープがそぼろもろとも絡みつき、口中へどっとなだれ込む。と同時に、鼻腔を駆け抜ける三浦産シソの香りが、マグロの旨味を際立たせる。「このとろみのおかげで、そぼろも残さず食べてもらえるようになりました」と現店長の石渡功一さん。今後も探究心は尽きない。
『中華料理 ポパイ』店舗詳細
ラーメンショップ 城門[三浦海岸]
湘南サーファーの郷愁をそそる味
約40年前、辻堂に本店がオープン。湘南サーファーに愛され、支店を増やした。当時から続くこちらの店舗に、往年の味を求めて足を運ぶ人も多い。「元々は本店に伝わるまかない料理だったんです」と店長の町田雅俊さん。片栗粉でとろみをつけ、溶き卵を加えたスープは、熱気を逃さず最後までアツアツだ。さらにショウガも手伝い、体温上昇。なるほど、海から上がったサーファーが体を温めるべく食べたくなるわけだ。
『ラーメンショップ 城門』店舗詳細
【海鮮】
鮨処 魚音[三崎口]
一貫ごとに感じる本場のマグロの底力
つややかな赤のグラデーションに思わず生唾ゴクリ。濃厚な赤身、脂の旨味が絶妙な中トロ、とろける口当たりにうっとりの大トロと、一貫ごとにマグロの個性が光り、口へ運ぶたびにくぅーっとうなってしまう。ネタに使用されるマグロはインドマグロ。高級な寿司ネタとして知られるが、三崎で四代続く老舗の魚屋直営店ならではの手頃な価格で提供できる。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりじっくり味わいたい。
『鮨処 魚音』店舗詳細
うりんぼう[葉山]
基本に忠実な和食を提供する
日本人にとって最も身近な和食を、基本に忠実な料理で提供する、夫婦で切り盛りする小さな店。葉山で一番古い日本料理店の『日影茶屋』で腕を磨いたご主人が、地元・横須賀佐島港産の新鮮な地魚を多くの方に提供したいと始めた。野菜も地元の農家さん中心に仕入れている。お店の名前にもなっている“うりんぼう”とは、「いさき」の幼魚の愛称。開店の際には、特注でうりんぼうをモチーフにした箸置きも作った。
『うりんぼう』店舗詳細
めしやっちゃん[逗子]
しらす好きにはたまらない!
ご飯の上には、生しらすがたっぷり。トゥルッとした舌触りと磯の香りが口の中に満ちる。店のコンセプトは「1000円以下の食堂」というが、このボリュームのしらす丼をこれだけ安く食べられる店もなかなかない。生しらすは地元の漁港から朝入荷したものを使う。時には手に入らないこともあるため、ホームページにその日の入荷状況を掲載。「生しらすは新鮮なほどおいしい」と店主の安田保之さん。通は、昼のうちに食べるとか。
『めしやっちゃん』店舗詳細
まるいち食堂[三崎口]
店先でさばいてその場でパクリ
「さばいた魚は5万匹~♪」と、魚屋の店先でお兄さんが陽気に魚をさばいていく。並んでいるのは、すべて三崎漁港で水揚げされた新鮮な地魚。ここから好みの魚を選べば、刺し身、焼き魚、煮魚などにしてくれる。食堂は魚屋の隣。待っていると、先ほど選んだ魚が調理されて運ばれてくる。手軽に食べたい人は、食堂に直接入って定食類を頼もう。定食の魚介ももちろん地元産だ。素朴だが魚の旨味がぎゅっと詰まった料理に脱帽!
『まるいち食堂』店舗詳細
割烹料理 鴨鶴[浦賀]
東京湾の魚を知り尽くす海辺の割烹
ほわっ、カリッ、コリコリッ。ふっくら炊き上がった釜飯の具やクリスピーな唐揚げなど、鴨居の港で揚がった魚介を多彩なメニューで味わえる。魚屋を営む傍ら、この店を切り盛りしていた両親を持つ店主・飯田伸也さんは、「幼少の頃から魚に埋もれてきたから、魚を見る目には自信アリ」とのこと。営業の合間を縫って港から市場へ魚を運んだり、小学校の給食用に切り身にして届けたりと、毎日大忙しの、頼れる魚介の大将である。
『割烹料理 鴨鶴』店舗詳細
はまゆう[三崎口]
新鮮魚介を素朴なおかみさんの味で
漁協直営のため目の前の三崎漁港で水揚げされたばかりの魚介を、安く仕入れることができるのがこの店の人気の秘密。約20品あるメニューは定食をはじめ、魚介系の丼ものやカレーなどもある。特にマグロ料理は種類豊富。定食に付くまぐろフレークまで三崎産だ。煮付け料理に使う汁は、酒・砂糖・醤油だけでなく、水を少し加えることでやわらかく優しい甘さを生み出している。付け合わせのキャベツなど野菜も三浦半島産を使用。
『はまゆう』店舗詳細
【レストラン】
角車[葉山]
葉山牛をいろんな料理に変身させます
葉山牛のレストランだが、ステーキなどの定番だけでなく、和洋ジャンル、また食事からつまみまでメニューが幅広い。「牛を半身で仕入れるのですべての部位が手に入ります。それぞれの部位に合った調理を施すと、自然と品数が増えてしまって」と店長の鈴木秀行さんは笑う。ビーフシチューには肩バラの赤身を使用。トマトピューレと赤ワインで柔らかくなるまで煮込んだ。舌の上で脂身がスッと溶けていく感じもたまらない!
『角車』店舗詳細
シチリア料理ピスカリア[葉山]
目と舌で地中海を旅する気分に
湘南周辺の海沿いの土地で生まれ育った店主・出雲択逸さん。イタリアで料理人をしていた頃に訪れたシチリア島で、とれたての魚介や野菜をシンプルに調理した料理を前に「これだ!」と思ったとか。帰国後は海が近い葉山に店を構え、毎朝、佐島へ魚の仕入れに行くのが日課。アックア・ディ・マーレのふっくらした鯛の身を頬張れば、上品な塩味と魚介のエキスが口いっぱいに広がり、最低限にして最高の味付けに拍手喝采したくなる。
『シチリア料理ピスカリア』店舗詳細
LINCA BETTEI[逗子]
モダンな古民家でイタリアンを
逗子マリーナ近くに立つ旅館『凜花(りんか)』は、提供される創作料理も人気の一つ。食事だけでもぜひ、という声に応えて2009年にオープンしたのがこの店。徒歩圏内の港で水揚げされた魚介や、鎌倉の新鮮野菜をふんだんに使用したメニューはイタリアンがベース。入り口正面に置かれたピザ釜は、毎日コンコン叩いてベストな状態に調整しているという。お陰で外側カリッ、中はモチッのピザが味わえる、というわけだ。
『LINCA BETTEI』店舗詳細
【酒場】
中央酒場[横須賀中央]
黄金比率の3冷ホッピーと旬より早い旨いアテ
当方、何百杯もホッピーを飲んできた。しかし結局ここチューサカに舞い戻る。大きな冷蔵庫の中には焼酎入りの冷え冷えジョッキが行列。ソトを注げば表面張力の奇跡の “3冷” が出来上がる。「私、毎日ホッピー飲んで味を確かめてますから。バランスが崩れたらすぐわかる」ときっぱり胸を張る二代目。昭和28年創業、黄金味の秘訣はテイスティングにあった。また季節を先取りした肴は、アジやサバなど青魚のラインナップがすてき。
『中央酒場』店舗詳細
鳥好[横須賀中央]
海猿のフォーリンラブは広島でした
夕暮れ時、路地に明かりをともす木造のシブいのれん。ホーローの四角いバットの中で湯気をあげているのは鶏皮の味噌煮だ。東京じゃ珍しい広島呉の名物である。海上自衛隊員だった先代店主が呉に寄港していた時代に出合い、味噌煮の名店『鳥好』で修業をしつつ、そこの娘さんを妻にめとったというまさに運命の煮込み♡である。
『鳥好』店舗詳細
取材・文=信藤舞子、松井一恵(teamまめ)、鈴木晴美、高山和佳、林加奈子、さくらいよしえ、佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=木村心保、阿部栄一郎、オカダタカオ、門馬央典、鴇田康則、金井塚太郎、丸毛透、井上洋平