【王子編】

王子駅から飛鳥山公園を通るルートがおすすめ。『渋沢史料館』に隣接する『北区飛鳥山博物館』(P.107参照)内には、大河ドラマ館もオープン。また近くの『紙の博物館』も栄一が設立した王子製紙にゆかりがある。

渋沢史料館の中庭に立つ栄一像。

深谷から江戸・東京、そして飛鳥山へ

その後、栄一は一橋家の家臣を経て、幕臣に。パリ万博に随行するためフランスにも渡り、この経験が後の栄一に大きな影響を与えた。
だが、その間に幕府は瓦解し、栄一も帰国。維新後は請われて政府に出仕した後、実業界に転じて第一国立銀行など多くの会社、経済団体の設立・経営に携わった。教育や福祉にも多大なる功績を残している。

東京に住むようになった栄一は、明治12年(1879)に飛鳥山に別荘を構えた。同34年(1901)からはここを本宅とし、亡くなるまでを過ごした。 現在、 当地には『渋沢史料館』が立っている。また界隈には栄一が支援した滝野川警察署や七社神社、音無橋、さらにゆかりのお店などもあり、随所にその面影が残されている。

渋沢史料館

栄一の生涯を巡ることができる

賓客を迎えるレセプションルームとして使用された晩香廬。

渋沢邸跡に立つ史料館。年齢ごとに分けられたユニットで、栄一の事績が紹介されており、その軌跡に触れることができる。企画展なども開催されているほか、栄一の喜寿に贈られた晩香廬(ばんこうろ)と、傘寿(80歳)および、子爵昇格を祝して贈られた青せい淵えん文庫も見学可能。

●完全予約制、開館日はHPを参照。一般300円。☎03-3910-0005

青淵文庫の閲覧室。
渋沢史料館の2階展示室。頭上の数字が年齢を表す。

扇屋

栄一も利用した料亭の玉子焼き

厚焼玉子650円。

江戸から戦後まで、東京を代表する名料亭であった『扇屋』。明治天皇など多くの要人が利用したことで知られる。栄一も王子倉庫の創立発起人会や朝鮮人の接待などで、足を運んだ記録がある。現在は料亭の名物であった玉子焼きの専門店として、その歴史を引き継いでいる。

●12:00~19:00、水休。☎03-3907-2567

音無橋(おとなしばし)

栄一が建築に支援したという

昭和6年(1931)、石神井川(音無川)に架けられたアーチ形の橋は王子町と滝之川町をつないだ。町の事業にも積極的であった栄一は、建築の際や開通式協賛会へ支援したと伝わる。橋下には音無親水公園が整備されている。

七社神社(ななしゃじんじゃ)

栄一が篤く崇敬した旧西ケ原村の総鎮守

飛鳥山に住んだ栄一も氏子となり、社務所建築に寄付するなど、篤く崇敬した神社。栄一が揮毫(きごう)した軸などが納められており、本殿の社額も栄一の筆によるものだ。栄一のシルエットが描かれた絵馬などもある。

栄一のシルエットの成功・発展の絵馬。

平塚亭つるをか

渋沢家の方々も通ったと伝わる

散歩のお供にも! みたらし団子 140 円。

平塚神社の参道横で大正時代より営業を続ける老舗和菓子店。ミステリー小説「浅見光彦」シリーズで主人公が通った店としても有名。店に伝わる話では、渋沢家の方もよく足を運んだそうだ。厳選された素材による絶品の豆大福170円は、北区名品ガイドにも選ばれた。

●9:00~18:00ごろ、不定休。☎03-3915-0277

【実はこれも! 都内の栄一ゆかりグルメ】

渋沢栄一が食べたであろう味が現在でも味わえる、ゆかりの老舗店を紹介!

とらや 赤坂店

渋沢家からの注文が残る

赤坂店。

とらやには渋沢家から「夜の梅」や「椿餠」などの注文があった記録が残されている。なかには慶喜家を継いだ徳川慶久が亡くなった際に「かざしの梅」という菓子を届けた記録もある。ちなみに栄一が肺炎に倒れた際、明治天皇から贈られた菓子もとらやの謹製であった。

●9:00~18:00(土・日・祝は9:30~)、毎月6日休(12月を除く)。ギャラリー、喫茶も併設。☎03-3408-2331

「夜の梅」(竹皮包羊羹3024円)と「椿餠」(486円※現在は販売期間外)。なお「かざしの梅」の製造可否は要確認。

上野精養軒本店

栄一が80回以上、足を運んだ

創業時より変わらぬドミグラスソースが精養軒伝統の味を引き継ぐ「昔ながらのビーフシチュー」2480円。

栄一は、上野精養軒における会合や祝賀会などに何度も足を運んでいる。菩提寺の寛永寺に近く、法要の際に利用することもあった。昭和3年(1928)、尾高惇忠らの法要後にも訪れている。「昔ながらのビーフシチュー」など伝統の料理を味わうことができる。

●『カフェランランドーレ』は11:00~16:00、月休。『グリルフクシマ』は11:00~14:00・夜は予約のみ、月休。☎03-3821-2181

明治時代の上野精養軒(写真提供=上野精養軒)。

取材・文=三澤敏博 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2021年4月号より