【深谷編】

深谷巡りは「渋沢栄一 論語の里 循環バス」が便利。乗車券は大人250円、車内と『ふるさと館OAK』で販売している。乗り降り自由の1日券(大人500円)もあり、本コーナーで紹介したスポットへのアクセスに最適。
深谷巡りは「渋沢栄一 論語の里 循環バス」が便利。乗車券は大人250円、車内と『ふるさと館OAK』で販売している。乗り降り自由の1日券(大人500円)もあり、本コーナーで紹介したスポットへのアクセスに最適。

アクセス

JR・私鉄・地下鉄新宿駅から湘南新宿ライン特別快速で約1時間20分の深谷駅下車。またはJR・地下鉄上野駅からJR高崎線で約1時間20分の深谷駅下車。

渋沢栄一記念館の敷地に立つ巨大な栄一像。
渋沢栄一記念館の敷地に立つ巨大な栄一像。

激動の幕末から明治・大正・昭和と、その生涯にわたり、約500の企業育成にたずさわったという渋沢栄一。そのルーツを探るべく、高崎線で故郷の深谷へ向かった。深谷駅はレンガ風の駅舎となっており、東京駅にそっくり。実は東京駅のレンガは栄一の設立した深谷のレンガ工場「日本煉瓦製造」によって作られた。

深谷駅より北へ約7㎞、血洗島(ちあらいじま)の農家に栄一は生まれた。13歳の年にペリーが来航し、やがて栄一も尊皇攘夷の思想を高めていったという。そしてついには、従兄の尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)らと横浜の外国人居留地を焼き討ちする計画を企てるが、無謀を諭され中止となった。ただし、この計画は幕府もつかんでおり、栄一は追われるように深谷を去ることとなった。

深谷は日本煉瓦製造の工場に由来する 「レンガのまち」 づくりに力をいれており、街の各所にレンガ造りの建物を見ることができる。中でも江戸時代から続いた 『七ツ梅酒蔵跡』 は、 歴史散歩の寄り道におすすめだ。酒蔵跡を利用した商業施設となっており、 レンガ煙突などノスタルジックな雰囲気に浸ることができる。

また深谷といえば深谷ねぎだ。深谷ねぎをはじめ、地元の野菜がたっぷり入った郷土料理「煮ぼうとう」は、栄一も好物で、帰省の際によく食べたと伝わる。
武州煮ぼうとう研究会の根岸会長は語る。「みんな気を使うだろうから、『私はこのふるさとの煮ぼうとうがあれば十分だよ』と、好んで食べていたのではないでしょうか」。

1  深谷駅舎

関東の駅百選に選ばれた

栄一も帰省の際に利用することがあったという深谷駅。大正時代に竣工した東京駅が、深谷に工場があった日本煉瓦製造のレンガで造られたため、東京駅を模したレンガ風の造りとなっている。日本煉瓦製造も栄一が設立したレンガ工場だ。

2  渋沢栄一翁ふるさと館OAK

栄一グッズが揃うシェアカフェ

深谷の名産品や地元の銘菓などが並ぶ物産館。渋沢栄一に関する書籍やグッズも数多く取り揃える。曜日ごとに店が変わるシェアカフェが併設され、コーヒーやランチなどを楽しむことができる。循環バスのバス停から近く、待合いスペースとしても最適。

●10:00~17:00、木休(カフェのみ営業)。☎048-514-2509

3  七ツ梅酒造跡

映画のロケ地としても知られる酒蔵跡

元禄時代から続いた七ツ梅酒造の廃業を受け、その歴史的建物を残すべく「まち遺し深谷」によって運営・管理されている商業施設。各建物には雑貨店や映画館などが開かれ、レトロな雰囲気を満喫することができる。また事務局の塚越氏は、深谷の土による純・深谷レンガの復活にも挑戦している。

●11:00~17:00、火休。☎048-573-8707

鬼瓦職人で「まち遺し深谷」の事務局次長の塚越久義さん(左)。「深谷の土で、歴史ある純・深谷産のレンガ作りを目指します!」
鬼瓦職人で「まち遺し深谷」の事務局次長の塚越久義さん(左)。「深谷の土で、歴史ある純・深谷産のレンガ作りを目指します!」

須方書店(すがたしょてん)

懐かしい時間が流れる

釜屋前室を利用した古書店。レトロな空気が漂う中、ゆっくりと本選びができる。明治の古書から最近の本まで、幅広く取り扱われている。

●11:00~17:00、火休。☎080-3121-1851

深谷シネマ

酒蔵で楽しむ名画の数々

酒蔵に開かれた市民のための映画館。ゆとりのある客席は約60席。上映作品は観客からのアンケートを参考に決めるという。

●10:00~22:00、火休。一般1200円。☎048-551-4592

なんでも屋mog

レトロなセレクトショップ

酒造跡入り口の母屋で営業するなんでも屋。趣のある店内には雑貨から食料品、ハンドメイド品など、こだわりの品々が所狭しと並ぶ。

●11:00~17:00、火・日休。☎080-6703-4696

4  渋沢栄一 青天を衝け 深谷大河ドラマ館

ドラマの世界が目の前に!

館内には栄一が生まれた「中の家(なかんち)」のドラマセットが再現されており、幕末当時の生活空間を体感することができる。また渋沢家の家業である藍玉作りについて紹介したコーナーや、実際に使用された小道具や衣装などの展示もあり、より深くドラマの世界に入り込むことができる。

●9:00~17:00、無休。大人800円。☎048-551-8955

5  尾高惇忠生家

栄一の学問の師

栄一が学問を学んだ尾高惇忠の生家。栄一とは従兄にあたり、妹の千代が栄一の妻となる。建物は惇忠の曽祖父が江戸時代後期に建てたもので、栄一らが通った頃の息吹を現在に伝えている。若き栄一らが横浜の外国人居留地を焼き討ちすべく詮議したのは、この屋敷の2階(非公開)であったという。

●9:00~17:00、無休。無料。☎048-587-1100

6  渋沢栄一記念館

アンドロイドもお出迎え

渋沢栄一の貴重な資料が展示されている記念館。数々の写真や遺墨などを見学することができる。注目は本人そっくりのアンドロイド。身振り手振りを交えながらの講義を受けることができ、在りし日の栄一を感じることができる。また敷地内には巨大な栄一像も立つ。

●9:00~17:00、無料。要予約。 ☎048-587-1100

7  旧渋沢邸 「中の家」

渋沢栄一、生誕の地

渋沢一族は当地の界隈に数々の分家を起こし、「中の家」の名もその位置関係に由来する。栄一はここに生まれた。現在の建物は明治28年(1895)に栄一の妹夫婦が建てたもの。帰省した栄一が滞在するために設けられたという奥十畳の間は、くつろげるよう、2階を設けない造りに。

●9:00~17:00、無休。無料。☎048-587-1100

8  麺屋忠兵衛

栄一が愛した郷土料理 煮ぼうとうの専門店

「中の家」の隣で営業する深谷の郷土料理・煮ぼうとうの専門店。渋沢家の番頭が住んだ建物を改装した店舗で、栄一直筆の書も掛けられている。栄一も愛したという煮ぼうとう850円は、山梨のほうとうとは異なり醤油がベース。もちろん深谷ねぎが使用されている。

●11:30~14:00、渋沢栄一記念館臨時休館日休。☎048-598-2410