極上のしろたれが味わえる『もつ焼のんき 赤羽店』
堀切にある名店『もつ焼き のんき』の暖簾(のれん)分けで、平日も満員御礼の人気店。「まずは しろたれ ハイボール」が合言葉で、とろけるようなしろたれと元祖下町ハイボールが名物。美学さえ感じるもつの処理技術は、店主の渡辺さんが本店の修行で培った賜物だ。しろたれはサクッと歯ごたえがありながら、柔らか。じゅわりと旨味が溢れて、酒がすすむ。周辺のハシゴ飲み客のリクエストに応え、本店にはないメニューも豊富に揃える。サッと食べて出るのが粋と知りつつも、ワイワイした店の雰囲気も手伝って、椅子とお尻がくっついたように長居してしまうのだ。
『もつ焼のんき 赤羽店』店舗詳細
技あり肴たちに飲んべえは全面降伏『醸し屋 素郎slow』
繁華街の外れながら週末はほぼ満席の繁盛店。「10年間いい料理・いい空間を醸し続けてたら、お客がお客を呼んでくれるようになって」と店主・伊澤大祐さん。品書きを見れば〝夢のポテサラ″など名前だけでワクワク。山芋の磯辺揚げだし580円をはじめどの肴も外れがなく、焼酎50種、日本酒30種のどれと合わせようか悩んでしまう。シメに醸し屋なめ郎を頼んだら皿の端に酢飯が添えられており、飲んべえ心をわかってらっしゃる!
『醸し屋 素郎slow』店舗詳細
赤羽センベロ立ち飲みの総本山『いこい本店』
午前から飲める頼もしい店として、根っからの酒好きが心酔する赤羽を代表する立ち飲み居酒屋。毎朝築地で仕入れる鮮魚を扱ったメニューから、定番のもつ煮込みや煮物や、揚げ物まで短冊がずらりとそろう。しかもどれも100円台という驚きに安さ。平日の昼間から異様な活気をみせ、客も入れ替わり立ち代わり…。それも納得。サッポロ赤星の大瓶も450円で飲める。せんべろデビューにももってこいだ。
『いこい本店』店舗詳細
裏赤羽の深夜の飲みすけ集会所『エナブ』
店主の工藤友也さんは、若い頃から赤羽で飲み歩いており「ずっとバネ(赤羽)で店をやりたくて、2年前に開店しました」。朝5時まで営業しており同業者などでにぎわうお店のダブル看板は、串焼きと燻製。A4以上の和牛を使った牛ステーキ串はたたきのようなレア感で、赤身と脂の旨味を味わえる。マヨネーズまで燻製した燻製プレート盛り合せはワインと好相性だ。地下は同名のミュージックバーで、音楽やお笑いライブを開催。
『エナブ』店舗詳細
魅惑の大盛り料理をワインとともに『TREVO』
赤羽でスペイン気分に浸れるスペインバル。小皿の一品料理タパスは超立体の盛り付け、アヒージョの具も器にギュッと満杯で、「チマチマしたのは嫌い」というシェフ・舘野真司さんの心意気が伝わる。オーガニックやビオなど、ナチュラル系を中心としたスペイン各地のワインは、ボトルで50種類、グラス14種類と充実している。バレンシア米で作る具だくさんの魚介のパエリア2800円は、ハズせない逸品だ。
『TREVO』店舗詳細
朝から飲めるうなぎが名物の老舗『まるます家』
朝からの営業を60年以上続ける老舗居酒屋がこちら。「高級な料理でも手軽な価格で」という先代のモットーを守り、ふっくらと焼き上げる「うなぎかば焼き」が2300円からいただける。他に、「鯉のあらい」や「ナマズの唐揚げ」といったメニューも人気だ。1Lサイズの酎ハイ「ジャン酎モヒート」1200円は、ライムとミント入りで飲みやすい。週末は混雑覚悟の名店。炭火焼のうなぎかば焼きは、テイクアウトもできる。
『まるます家』店舗詳細
コスパ◎!低温調理の肉料理とワインが楽しめる『大衆肉ビストロ Lit(リット)』
こだわりの牛肉を1~2時間かけて低温調理し、最後に焼き上げる手間のかかったステーキが自慢。ハラミとハツ2種類を味わえる盛り合わせは、どちらも表面はこんがり中はきれいなピンク色。とにかく柔らかく、肉本来の旨味と脂の甘さが味わえる。ビールにサワー、ハイボール、カクテルとなんでも揃っているが、一番力を入れているのがスタッフがセレクトするワイン類。特にこぼれスパークリングは量もたっぷりで実にリーズナブル。リピーターが8割というのも納得の高コスパな店だ。
『大衆肉ビストロ Lit(リット)』店舗詳細
朝飲みもできるオトコマエな大衆酒場『桜商店603』
串揚げやハムマヨは各100円、マグロ刺し280円とつまみの安さが魅力のこの店。新鮮レバテキ380円は絶妙火入れでとろりと仕上げてあり、絶品だ。また、店長おすすめというメガ角ハイは、その名の通り通常の2~3倍の量! それで500円というから恐れ入る。男気あふれる飲んべえ御用達酒場なのだ。
『桜商店603』店舗詳細
昭和商店街の奥で心をぽかぽかお燗『角打ち 三益の隣』
70年以上の歴史をもつ『三益酒店』の角打ち。2代目・東海林孝生さんが惚れこんだ〆張鶴から、長女で3代目の美保さんが蔵元へ足しげく通い仕入れを実現した冩楽(しゃらく)まで地酒の品揃えは言わずもがな。3女・美香さんが中心となり作る酒肴は、角打ちレベルを超えている。でも、一番の魅力は家族経営や手書きポップが生む温かな雰囲気、ニコニコと杯を傾ける常連たちの楽しそうな飲み姿なのだ。
『角打ち 三益の隣』店舗詳細
【おでんで一杯】
透き通っただしのおでんで、濁りのない味を堪能『おでんと旬菜魚 中々』
日本酒、昆布、かつお節、むろ節、どんこ、そして調味料のみりんと焼き塩のみというシンプルな素材でひいた関西風のだしは、毎日必ず使い切ることで澄んだ味を保つという。生の鰯をさばき3日かけて作る鰯つみれは、箸で割ると中からじゅわっとだしがあふれる大人気の一品。店名は、店主・中口さんの「中」と「なかなかいいね」の意味からだというが、予約をしないと“中々”入れない人気店となった。
『おでんと旬菜魚 中々』店舗詳細
おでんと日本酒を立ち飲みで味わえるせんべろスポット『丸健水産』
店内で一から手作りする練り物は別格。熱々できたてのさつま揚げは、何もつけなくても本当においしいので、早めに訪れて揚げたてを楽しもう。日本酒は3分の1ほど残して、丸健名物「だし割」(+50円)をいただくのがおすすめ。創業から約70年、毎日大量おでんで人々のお腹を満たしてきた。だしは1日に10回以上継ぎ足すというのだからものすごい。
『丸健水産』店舗詳細
おでんと新鮮な魚をカウンターで!『なごみ処 響』
「店が休みの日はよそに飲みに行くのが楽しみ」と話す店主が、自分で飲んで気に入った銘柄を仕入れる日本酒と焼酎。肴にはぜひともおでんをいただきたい。この日のおでん盛は、大根、玉子、はんぺん、厚揚げ、ちくわ、そしてもち入り巾着。5時間煮込むという大根は、箸ですっと割れる。また、毎日日替わりで提供する魚のメニューも外せない。新潟から直送される魚貝は鮮度抜群で、今日は何があるかと楽しみにしている常連も多いという。
『なごみ処 響』店舗詳細
【焼き鳥なら】
新橋の老舗・鶏繁出身店主が腕を振るう『鳥ひで』
板橋仲宿で100年以上の歴史を持つ老舗『鳥新』から仕入れているという鶏は、頬張るとジューシーで濃厚な旨味がほとばしる。店主・安達英一郎さんは、新橋を代表する名店『鶏繁 総本店』出身。鶏繁と同じく基本は焼き鳥10本のコースを提供し、食べるペースや好みに合わせて、焼きたてを一本づつ皿に置くスタイルだ。
『鳥ひで』店舗詳細
風情あふれる屋台のような焼き鳥店『とり市』
1989年オープン、店主の矢吹昌一さんが一人で切り盛りする、線路沿いにあるわずか2.8坪の焼き鳥店。開け放った扉からは、電車の音と街のざわめきが聞こえる。鶏は、脂が少なくヘルシーな宮崎県産の日向鶏を使用。身が引き締まっていておいしい。中まで味が染みた焼きおにぎり300円や、鶏スープ350円もおすすめだ。
『とり市』店舗詳細
古民家風の空間で、ほっこりと焼き鳥を『二代目 居呂利』
食べ応えのある焼き鳥は、皮を残したモモ肉を大きめにカットして焼き上げる。「タレは先代から継ぎ足しのタレを使っています」と二代目店主の高橋さん。田舎家を思わせる古木の梁に、高い天井、テーブルには鉄瓶を吊るした囲炉裏のオブジェ……そんな古民家風の建築も、初代店主の趣味。アルバイト店員だった高橋さんが、この雰囲気を残したいと、そのまま引き継いだのだ。のんびりとした民謡が流れる空間は郷愁を誘う。
『二代目 居呂利』店舗詳細
繁華街にありながら落ち着いた雰囲気『日本酒と備長炭串焼き ひらく』
しっとりと焼き鳥と日本酒を楽しみたい時にぴったりの店。鶏は部位ごとに違う銘柄鶏を使うというこだわり店主・黒田英徳さんの一押しは、千葉産の錦爽鶏(きんそうどり)だ。「ササミも、中までじっくり火を通しても硬くならないんです。モモもジューシーで美味しいですよ」と黒田さん。また、鮮度抜群の白レバーの炙り焼き748円も外せない。さらに、黒田さんは唎酒師(ききざけし)の資格を持っており、好みや料理にあった日本酒を選んでくれる。
『日本酒と備長炭串焼き ひらく』店舗詳細
店主が丁寧に焼き上げる絶品やきとり『炭火串焼FUJIKO』
「火はちゃんと入れ、生じゃないぎりぎりの焼き加減を狙っています」とは、焼き台に立ち15年の栁澤恵二さん。肉質のやわらかな紅ふじ鶏を備長炭で焼いており、ささみはプリプリ、レバーはとろりと口でほどける。このレバーと抜群に合うのが梅酒と赤ワインを炭酸で割る赤羽サワー。お酒はほかにハートランド生550円や箕面ビール850円~など、大衆やきとりとは一味違う素敵な品揃えなのだ。
『炭火串焼FUJIKO』店舗詳細
味噌・たれ・塩どの串も外れなし!『闇市』
老舗の豚肉専門業者から仕入れるもつは、どれも新鮮。「もつやきは、備長炭の香りがついてこそ」と炭火にこだわる店長の小松真樹さん。バラなら香ばしく焼けた味噌と脂の甘みが好相性、照りのあるたれをまとうシロは特殊な方法で下ゆでしており、外カリ・中トロ! 炭の薫香ともつの旨味の余韻があるうちに、店長自身も好物の天羽の梅シロップ入りのボール300円をあおれば恍惚(こうこつ)の世界へ。
『闇市』店舗詳細
取材=さくらいよしえ、鈴木健太、ミヤウチマサコ、新井鏡子 撮影=逢坂聡、加藤昌人、本野克佳、丸毛 透、金井塚太郎、大八木宏武、ミヤウチマサコ、新井鏡子