先代から40年以上続く店を引き継ぐ

きれいに磨かれて風合いが増した木のテーブル。

店内に入ると、まず鉄瓶を吊るした囲炉裏が目に付く。古木の梁に、高い天井、全体が飴色の木の風合いを残した木造で、外観のイメージそのままの古民家風だった。BGMは日本の民謡。漁に使うガラスの浮き玉のライトがカウンターを照らす。昭和53年(1978)に、初代店主が自分の趣味を盛り込んでオープンさせた居酒屋だ。以来、40年以上、建物はそのまま。

その店を2018年に二代目店主の高橋さんが引き継いだ。高橋さんから店長を任されている水沼丈彦さんは「先代から40年続いたお店なので、しっかりと当時の物を残しつつ、いつまでも同じ雰囲気を守っていきたいですよね」と話してくれた。

カウンター内では料理長の濱中良太さんが焼き鳥を焼く。
田舎にある古民家のような外観だが、初代店主は板橋出身。

大串の焼き鳥は皮をつけたまま焼く

ササミ梅肉と、焼き鳥(大串)のタレと特製のシオ。生ビール600円。

名物のさつま揚げやアスパラ肉巻き揚げ各350円など定番料理は変わらず、焼き鳥も先代からの手法を受け継いでいる。大串の焼き鳥280円は、皮がついたままのモモ肉を焼き、皮の香ばしさと肉のジューシーさを同時に味わえる一本に仕上げている。

「国産の鶏肉を毎日一本ずつ仕込んでいます」と料理長の濱中さん。『居呂利』以前にも10年以上の調理経験を持つベテランだ。タレも先代から、継ぎ足しのタレを使っている。ササミ梅肉400円も、大きめのササミ肉を丸ごと刺した食べ応えのある一本だ。

地元赤羽の『居呂利』愛がつなぐ縁

初代店主と二代目店主は血縁関係ではない。二代目の高橋さんは赤羽が地元で、元々は「居呂利」で働くアルバイト店員だった。初代が高齢となり、店をたたむことを考えた時に、長年慣れ親しんだ「居呂利」を残したいと、継ぐことを決めた。

左は店長の水沼丈彦さん、右は料理長の濱中良太さん。

店長の水沼さんも赤羽出身。「居呂利」にはよく通っていた常連客だった。恵比寿のハマグリなどを焼く魚料理の店で働いていた時に、『居呂利』の店長を務めることになり、半年間焼き鳥店で経験を積んだ。店長就任を決めた理由は、二代目店主・高橋さんの人柄のよさに惚れ込んだから。「初代店主の奥さんが、いつも欠かさずテーブルに飾っていた花も、毎週変えて飾り続けています」と水沼さん。

お客さんから送られた魚の版画をはじめ、店主が好きな馬をモチーフとした絵画も多い。

壁面に飾られた絵画や民芸品も、常連客からの贈り物が多いそう。赤羽住民に長く愛された、なくてはならない店だった。新生『居呂利』のオープンから3年。メニューも新作が加わり、これからますます賑わうことを予感させてくれる。

カウンター席とテーブル席のほか、3卓の掘りごたつ席がある。

取材・文・撮影=新井鏡子