屋台時代から約70年。4代続く老舗店『なだ一』【渋谷】
渋谷のんべい横丁の一角に構える『なだ一(なだいち)』は、10人も入ればいっぱいになる。今は4代目・渡邊秀さんが、初代である曾祖父母から続くのれんを守っている。元々は関東風の濃い口だったが、2代目の時にレシピを改良し、現在のような透き通った淡口(うすくち)醤油仕立て、昆布の甘みを感じるつゆになった。具は大きく、大根は芯まで染みこませるのに4〜5時間かかるので、自宅で仕込んでくる。20種類はあるおでんダネは1個200円〜。
『なだ一』店舗詳細
おでん一筋70年。名物だし割もぜひ!『丸健水産』【赤羽】
豊洲から旬魚を仕入れ、魚を捌くところから成形まで、職人の手技で作られる練り製品は絶品だ。鶏ガラと昆布で作る出汁で煮込めば、噛むほどに熱々の汁があふれ出してくる。大根は下ゆでしたものを一度冷ましてからおでん鍋へ。その下にはこんにゃくやちくわぶがひっそりと出番待ちし、3〜4時間経ったころが食べごろだ。このおでん出汁で日本酒を割るだし割は、ほとんどの客が注文するというからぜひお試しを。
『丸健水産』店舗詳細
6坪酒場で味わう吉祥寺の隠れ名店『闇太郎』【吉祥寺】
繁華街の外れ、五日市街道沿いに灯る赤提灯が目印だ。おでんを煮込んで約50年。作務衣(さむえ)にねじり鉢巻姿のマスター山田康典さんが、カウンター客を相手に、鍋からおでんをよそう。人気のおでんの多くは100円で提供し、「世の中が変動しても、この店はできるだけ変わらないように」という山田さんの思いが表れている。安くておいしいつまみと酒、そしてマスターの人柄にひかれてリピーターになる客も数多い。
『闇太郎』店舗詳細
ネパール人店主が継ぐ立ち飲みおでん屋『平澤かまぼこ 王子駅前店』【王子】
かまぼこ製造会社が開いた店で、現在はネパール人店主のラマ・プスカルさんが創業以来の味を引き継いでいる。煮干しをベースにしたおでん出汁は、塩と醤油で味を調え、汗をかく季節は塩気を強めにするなど日々調整している。三度煮で芯まで味が染みた大根、さつま揚げの中に刻んだ魚肉ウインナーやニラ、カレー粉や鷹の爪を混ぜたピリッとさつま揚げなどが人気。サワー各種やハイボールなどアルコールもぐいぐい進む。
『平澤かまぼこ 王子駅前店』店舗詳細
取材・文・撮影=アド・グリーン 撮影=原幹和、藤原亮司、丸毛透
『散歩の達人 東京名酒場』より