ちょっと奮発!超極厚とんかつのボリュームを体験せよ『富士㐂 荻窪』

極厚切りロースとんかつ(300g)2310円と定食セット330円。定食セットには、ごはんとしじみの味噌汁、香の物が付く。
極厚切りロースとんかつ(300g)2310円と定食セット330円。定食セットには、ごはんとしじみの味噌汁、香の物が付く。

使用するのは茨城産「瑞穂のいも豚」。やわらかく、脂の融点が低いため、口の中で溶けるような食感が楽しめる。とんかつにベストマッチの豚肉だ。オーダーが入ってから、肉を切り分け、中挽きの生パン粉をつけ、揚げ油に入れる。生で見ても大迫力の豚肉は、低温でじっくり15分ほど揚げてから、少しの間休ませ余熱で火を通す。揚げ時間は肉の厚さや気温によっても変化するため、職人の腕が試される瞬間だ。

肉の脂が甘く、とてもやわらかい。
肉の脂が甘く、とてもやわらかい。

まずは何も付けず、このままいただこう。揚げたてでさっくり。この厚みにもかかわらず、難なく噛み切れ、ジューシーで甘い脂が溢れ出てきた。下味の塩コショウのみでも十分なおいしさにびっくり。野菜をていねいに煮詰めた自家製ソースはとろりとしていて絶妙な甘辛さ。キャベツとともに食べると、シャキシャキサクサクじゅわーのハーモニーが最高だ。とんかつのは通常の厚さも選べるが、ここは奮発してぜひ極厚を選びたい。昼は定食、夜はビールとともに楽しみたい迫力満点メニューだ。

1階はカウンターのみで、2階がテーブル席。シックで落ち着いた内装だ。
1階はカウンターのみで、2階がテーブル席。シックで落ち着いた内装だ。

『富士㐂 荻窪』店舗詳細

住所:東京都杉並区上荻1-4-6/営業時間:11:30〜15:00LO、17:00〜21:00LO/定休日:無/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩2分

石臼碾きの自家製粉そばにこだわり続ける老舗の風格『本むら庵 荻窪本店』

大正13年創業。長年の常連も多い荻窪の名店だ。
大正13年創業。長年の常連も多い荻窪の名店だ。

おいしいそばのための必須条件「三たて」とは、「碾(ひ)きたて」「打ちたて」「ゆでたて」のことで、「碾きたて」のそば粉を管理することは難しい。その「碾きたて」に強いこだわりを持つ、荻窪の老舗が『本むら庵 荻窪本店』だ。玄そばという、殻のついた状態のそばの実を18℃の低温倉庫で保存することで極力劣化を防ぎ、独自の石臼で毎日自家製粉している。

天せいろ2110円。
天せいろ2110円。

今回は、とくに評判の高い天せいろをいただいた。その日の天気によってもつなぎの割合を変え、丁寧に手打ちされたそばは、香りがとても強い。そば粉を荒碾きにしているのも理由の一つだろう。きりっと冷えたコシの強いそばに、雑味のない辛めのつゆがよく合う。喉ごしもよく、歯ごたえも十分だ。

この日の盆栽は松。店内にいても季節を感じる。
この日の盆栽は松。店内にいても季節を感じる。

敷地内の和風庭園や盆栽など、店内にいるだけで四季を感じる。旬を大切にする心遣いが老舗ならでは。現在にとどまることなく、さらなる高みを目指す。そんな風格が十分に感じられる名店だ。

『本むら庵 荻窪本店』店舗詳細

住所:東京都杉並区上荻2-7-11/営業時間:11:00〜21:30/定休日:火・第3水/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩8分

味も香りもよい、本格手打ちそばを堪能!『そば処 せきば』

本節は、かびの付き具合で品質を確かめるため、現物を仕入れて店内でみがき、削っている。
本節は、かびの付き具合で品質を確かめるため、現物を仕入れて店内でみがき、削っている。

店主が選びぬいたそば粉は国内の契約栽培農家の畑で穫れたもの。そば本来の甘味と香りが違う。打ちたての味を守り、気軽においしいそばを食べてほしい、という思いで毎日そばを打つ。つゆに使う鰹節も、使う分だけを店内で削る。化学調味料を一切使わず、吟味した素材でつゆを作る。「自分の舌しか信じない」という関場さんの強い信念だ。

九条ねぎと辛味大根そば1000円。
九条ねぎと辛味大根そば1000円。

冷たい辛味大根そばは適度な冷たさ。そばは冷やしすぎると味がわからなくなってしまうため、冷やしすぎないのがポイントだ。一口たぐると、しっかりとコシがあり、なめらかなそばに大根おろしの辛さがいいアクセントになっている。つゆは鰹節の風味を強く感じる。甘めのそばに辛めのつゆのバランスがとてもよく、また辛味大根が混ざることで、後をひくおいしさとなっていた。そば湯も提供されるので、辛味大根の入ったつゆを楽しめる。

シンプルな暖簾の外観が潔い。
シンプルな暖簾の外観が潔い。

『そば処 せきば』店舗詳細

住所:東京都杉並区天沼3-31-34/営業時間:11:30〜15:00、17:00〜22:00(日・祝は11:30〜22:00)/定休日:月/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩10分

シャバシャバ・インド風スパイシーカレーの先駆者『すぱいす』

肉はしっとり、ほろりと柔らかい。
肉はしっとり、ほろりと柔らかい。

オープン当初は「シャバシャバカレー」は「客を選ぶ」と言われ、何ヶ月も赤字が続いたというが、今やこの店のカレーは「毎日でも食べたい」という“シャバシャバ・スパイシーカレー”として人気だ。玉ねぎを6時間炒め、20種類のスパイスを挽く。加えて、鶏ガラ、牛骨、牛すじ、香味野菜で丁寧にブイヨンをとるという。時間と手間をかけて仕上がった「骨付きチキンカリー」1089円は、スパイスの香り高さとブイヨンの濃厚さが際立つ。今でも進化し続けるカレーは、ぜひ一度は試してみたい。

店長兼オーナーシェフの佐藤さんは、カレー好きが高じて脱サラし、店を開店。
店長兼オーナーシェフの佐藤さんは、カレー好きが高じて脱サラし、店を開店。
15席ある店内には、壁面いっぱいにスパイス類が置かれている。
15席ある店内には、壁面いっぱいにスパイス類が置かれている。

『すぱいす』店舗詳細

住所:東京都杉並区荻窪5-16-20/営業時間:11:30〜14:30LO、17:30〜21:00LO(祝はランチのみ)/定休日:日/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩2分

本場感もあり、日本人の口にも合うインドカレー『クマル アジアンキッチン荻窪店』

手前がバターチキンカレー、奥がキーマエッグカレーを選んだJセット1200円。
手前がバターチキンカレー、奥がキーマエッグカレーを選んだJセット1200円。

デリー出身のネパール人店主・カトリ・ホムさんが営む本場インド料理店。スパイスや小麦粉といった材料にこだわって本場の味を提供していたが、日本人に受け入れられないということもあり、試行錯誤の末、脂っこさと塩辛さを控えた今の味に辿りついた。ランチセットは全7種類。どのセットも10種類のカレーから選べ、辛さも甘口から超激辛まで段階で調整できる。ナンとライスはお替わり自由というのも、大食漢にはうれしいポイント。

デリーで約5年修業した後、親戚のいたドバイで料理人として働いたという。
デリーで約5年修業した後、親戚のいたドバイで料理人として働いたという。
ジューシーで、スパイシーなラム肉のシークカバブ2本550円。
ジューシーで、スパイシーなラム肉のシークカバブ2本550円。

『クマル アジアンキッチン荻窪店』店舗詳細

住所:東京都杉並区上荻1-24-3/営業時間:11:00〜23:00/定休日:無/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩5分

中華と本格カレーの融合が生んだ「自由型」のカレーを『中華屋 啓ちゃん』

昼時は外に行列ができるという人気店。
昼時は外に行列ができるという人気店。

2011年にオープンした正統派の町中華の店。地元出身の店主・幸田さんが立ち上げた店だ。中野の中華屋で修業したというだけあって、メニューに並ぶ料理はどれも評判が高い。中でも、プリプリで肉厚のキクラゲとふんわりと卵を炒めた木耳(きくらげ)玉子650円はこの店の名物。人気のカレーは、2種類のカレーソースと、どっしりした重さのあるルーに玉ねぎが溶け込み、スパイスの豊かな香りが食欲をそそる。カレーライス700円。

隠し味は、コーヒーやトマトジュース、カルピスに加え、紅生姜の汁に中華スープという。
隠し味は、コーヒーやトマトジュース、カルピスに加え、紅生姜の汁に中華スープという。
真ん中が店主の幸田さん、左がスタッフの河西さん、右が竹村さん。
真ん中が店主の幸田さん、左がスタッフの河西さん、右が竹村さん。

『中華屋 啓ちゃん』店舗詳細

文=千葉香苗、ミヤウチマサコ 取材・撮影=ミヤウチマサコ