デリー、ドバイ、そして日本へ。親戚に誘われて世界を渡り歩く

店内にはスパイシーな香りが立ち込め、インド映画の軽快な音楽がかかっていた。

店主のカトリ・ホムさんは、デリー出身のネパール人。デリーで約5年修業した後、親戚のいたドバイで料理人として働いた。その後、またもや親戚のつてで大阪に渡り、さらに親戚のいた東京・荻窪にたどり着いたという。ネパール人にとっては普通のようだが、日本人から見るとちょっとびっくりの濃い親戚付き合いだ。

店主のカトリ・ホムさん。料理人になって約30年というベテランだ。

日本人の口に合う、本場のインドカレーってなんだろう

本格的なインド料理を楽しんでもらおうと、タンドール窯のある店をオープンさせることになったカトリさん。スパイスや小麦粉など、材料にもこだわった。ところが、本場そのままの味ではなかなか日本人に受け入れられない、という現実を突きつけられたという。

試行錯誤を繰り返した結果、日本人は油っこさや塩辛さを思った以上に気にしているとわかった。そこで、油と塩を減らし、ほんの少しスパイスをマイルドに。本場感を失わず、日本人が「おいしい」と感じるインドカレーがようやくできあがった。

おいしいと評判のナン。もちもちの食感。
本場のナンやシークカバブを楽しむにはタンドール窯が必須だ。

10種のカレーからセレクトできるランチセットはとにかくお得

ランチセットはお子様セットを含めて7種類。どのセットでも10種のカレーから選ぶことができ、辛さも甘口から超激辛まで7段階で調節できる。今回オーダーしたのは一番人気のJセットで、バターチキンカレーとキーマエッグカレーをセレクトした。さらにタンドリーチキン、サラダ、ライス、ドリンクが付く。ナンとライスはお替わり自由だ。

Jセット1200円。手前がバターチキンカレー、奥がキーマエッグカレー。ライスが付くのもうれしい。

表面はパリッと、中はモチモチの焼き立てナンが香ばしい。まずはこのナンと甘口ベースのバターチキンカレーからいただこう。ルウは適度にスパイシーでバターの風味も十分でコクがある。しっとりしたチキンの存在感も◎。

カレーの合間にタンドリーチキンを一口。タンドリー窯で焼くことで適度に脂が落ち、とても香ばしい。凝縮された旨味がたまらない。

本当に本場の味にするなら「激辛」で!

お次は、ゆで卵がまるごと入ったひき肉ベースのキーマカレー。辛いものは苦手だが、辛さを「辛口」にしてみた。食べてみると、けっこうスパイシー! 旨いぞ! だが、案の定辛い!! と、ここでゆで卵の登場だ。黄身の甘さが辛さを抑えてくれる。舌にもやさしく、味わいが変わって楽しかった。

ごはんでもカレーを楽しんで、甘口と辛口を行ったり来たり。気づいたら完食。満腹である。

シークカバブ2本550円。スパイシーなラム肉がジューシー。

地元で愛される理由は「友達みたいに仲良く」

手が空くと、すぐに店内を清掃する仕事熱心なカトリさんに、どんなお店でありたいのか聞いてみた。

「お客さんと友達みたいに仲良くして、喜んでもらいたい」

そういえば、インド料理店には珍しくお子様セットがあることを思い出した。子供たちに喜んでもらいたい、という気持ちを感じる。

と、そのとき「バイバーイ。またね〜」とカトリさんに手を振る常連さんと子供たちの声が聞こえた。たゆまぬ努力とやさしさで、友達のように愛されている店なんだと思った。

通路にも余裕があって、ベビーカーもOK。

『クマル アジアンキッチン荻窪店』店舗詳細

住所:東京都杉並区上荻1-24-3/営業時間:11:00〜23:00/定休日:無/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩5分

取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ