紙と景色に見惚れ香りにくつろぐ『iro』[早稲田]
窓越しの枝葉が一幅の絵のよう。家具や小物を紙で彩るデコパージュ用の紙専門店だが、「講座や紙選びの前後にお茶ができたら」と、オーナーの前田珠恵さん。桜並木を借景に作品を飾ったカフェを併設した。店主でコーヒー通の夫・明秀さんがドリップするエイジングコーヒーのほか、 「とことんハマって」と、中国・台湾茶も芳(ほうば)しい。前田さんの祖母が愛したニッコー製カップで供され、優雅な時間だ。
『iro』店舗詳細
懐かしさ漂う茶屋の2階で一服のお茶を『マルキク矢島園2階 茶処まんずcafe』[巣鴨新田]
2代目の矢島新一さんが営む茶屋は1955年創業。2021年の夏、妻の千代子さんが2階で茶カフェを始めた。 「水代わりにね」と供すのは、農園と共同開発した緑茶deアールグレー。心地よい清涼感の後、柑橘がふわり。おすすめは焼き芋セットだ。芳醇なバターのせに加え、ひんやりなめらかな冷凍もあり。世界農業遺産「静岡の茶草場」栽培の緑茶にもため息。古民家風情の中、のほほんと過ごしたい。
『マルキク矢島園2階 茶処まんずcafe』店舗詳細
自家焙煎コーヒーと洋菓子と、ときどき釣具『リールズ 西洋釣具珈琲店』[鬼子母神前]
店主の宮宗(みやそう)俊太さんは焙煎士であり、釣り師。「つい話しこんじゃうから」と、名物釣具を通販に切り替え、店ではコーヒーに集中。自家焙煎する15種の豆を用い、サイフォンで抽出する。飲めば喉越しするり、香りふくよか。また、妻の央子(ちかこ)さんはパティシエで 「コーヒーに合うように」と、口溶けや香りを工夫。果実や豆の香りをムースやクリームに移して表現する季節感にも、うっとりとなる。
『リールズ 西洋釣具珈琲店』店舗詳細
上質なケーキに寄り添う国産紅茶の香り『国産紅茶専門店 TEAROOM Yoshiki Handa』[町屋]
フランス発ティーサロンから独立した店主の半田貴規(よしき)さんは、国内産地を巡り、魅力ある茶葉を集める。一番茶で緑茶、二番茶で紅茶を作る茶園の製法違いを仕入れ、年間約15種を季節変わりで用意。飲むだけにあらず。妻でパティシエの久美さんが丹精するケーキは茶葉香るゼリーやクリームが仕込まれ、香りやさしく舌触りしっとり。「お茶は名脇役。会話やケーキの傍らにいる存在でいたいです」。
『国産紅茶専門店 TEAROOM Yoshiki Handa』店舗詳細
下町商店街に現るやさしさ滲む麺カフェ『natural cafe こひきや』[熊野前]
「昭和喫茶を現代流で」と、広島出身の店主・朝倉脩登(なおと)さんは3世代家族が多く暮らす妻の地元で開業。みんなで食べられるようにと、麺類を主役に据えることに。専門店とは一線を画す独創的なメニューぞろいで、うどんは香川、ラーメンは京都の製麺所に特注。魚介に鶏を加えた奥深い出汁は飲み干す人続出だ。食後は新潟の牧場と共同開発したソフトを。三温糖が素朴なミルク感を際立てる。
『natural cafe こひきや』店舗詳細
独自のオーディオで贅沢に音楽とお茶を堪能『ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶』[鬼子母神]
壁一面を埋めるのはクラシックのアナログレコード約1万2000枚! 店主の新倉裕之さん秘蔵盤で、交響曲、室内楽、ピアノ曲など、まんべんなく網羅し、リクエストにも即対応。録音年代に合わせて針も使い分ける。真空管アンプ、自作の3ウエイホーン型メインと響き専用のスピーカーから音があふれ出すと、臨場感はまるでホールだ。ポットサービスの紅茶やコーヒーとゆったり楽しみたい。
『ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり 撮影=加藤熊三