古(いにしえ)と自然に浸れる非日常で冒険を『ISAYAH TIME AND SPACE』
石畳の坂の突き当たりに「喫茶」の看板。鬱蒼とした敷地を進むにはやや勇気がいるが、上り詰めるとそこはまさかの別天地! 店主の松井暁あき幸ゆきさんが、「いろんな人が集う場を開きたい」と野望を抱き、放置されていた約1000坪の土地と建物を借りて、4年を費やし開拓した。食事やバーベキューなど過ごし方は自在だが、おやつなら約30分かけて焼く、満月みたいなホットケーキを頬張りたい。
『ISAYAH TIME AND SPACE』店舗詳細
飴色の木に囲まれ焼き菓子で憩う『Sissy’s』
鎌倉で生まれ育ったオーナー・藤井志津子さんが、アメリカのお菓子の魅力を伝えようと開店、27年になる。当初からのおすすめは、Penn-Dutch Style(ペンダッチスタイル)と呼ばれるペンシルベニアのドイツ系移民に伝わる真っ白で濃厚なチーズケーキ。アメリカ製オーブンを使い時間をかけて焼き上げる。コーヒー豆は「手動がおいしいから」と骨董のミルで。四方の窓から木々が見える店内に、挽く音が響く。
『Sissy’s』店舗詳細
線路沿いの静かな英国喫茶で和む『Garage Bluebell』
昭和20年代築の家屋で営んでいたが、建て替えのため1年半休業し、2018年末に新装開店。が、店内は以前の木の窓枠や英国アンティーク家具をそのまま使い、共に営む宮崎浩一さんと駒澤康子さんが「私たちが日常、のんびり過ごせる場所」をしつらえた。定番のスコーンを横目に、バターケーキにジャムを挟む伝統菓子を選ぶと、「これがまた紅茶に合うんです」と康子さん。味わいつつその言葉を実感。鳥や猫が来る庭を眺め、肩の力が抜ける時間をすごしたい。雨の日もおすすめ。
『Garage Bluebell』店舗詳細
隣に自然がある小麦香ばしい時間『テールベルトとカノムパン』
裏山にそびえる常緑樹、ヤブニッケイの巨木に惚ほれてこの地に開店。やわらかな太陽光で満たされる店内は2フロアで、1階はカフェ担当の中村美雪さんとパン職人・中村岳さんが仲良く働く様子が見えるオープンキッチン風だ。靴を脱いで上がる2階はリビングのようで、木と空がぐっと近くなる窓辺が気持ちいい。藤沢市産小麦を石臼で碾ひいて作るパンをゆっくり噛みしめ、プレスで淹れるコーヒーすすっていると、枝を走るリスを発見!
『テールベルトとカノムパン』店舗詳細
月に数回開店の大切にしたい和空間『Sasho』
凝った造りの歌舞伎門をくぐり、ガラガラと木戸を開けると、昭和の昔にタイムスリップ。「祖父が10年かけて造った日本庭園を見てもらおうと思い立って」と、店主・横井恵さんが開店の理由を語る。ゆがんだ薄い窓ガラス、銅製の網戸、おばあちゃんが描いた絵など、目に入る一つ一つがあったかい。手間ひまかけて作るランチは、庭のクレソンやモミジをあしらう月替わりのお膳。「ゆっくりしたい時に来ます」というご近隣さんもいる。
『Sasho』店舗詳細
日常が潤う大切な時間に『THE GOOD GOODIES』
「こういう場所があればいいな」という店主・内野陽平さんの思いを形にした店。スタンディングで気軽に立ち寄れ、テイクアウトはもちろん、ひと息つくにもぴったり。2013年のオープン以来、街の人々が集う中継地点になっている。毎日ガブガブ飲んでほしいと、ブレンドは甘みがありつつ後味スッキリ。
『THE GOOD GOODIES』店舗詳細
悩めるおじさんをも癒やしてくれる『円覚寺如意庵茶寮 安寧 an-nei』
山裾に広がる境内に、清々しい空気が満ちる円覚寺。その住職の妻が、普段は非公開の如意庵で週3日のみ茶寮を開く。ぜひものは、安寧あんみつ。寒天は1、2時間かけて手作りし、白玉は注文が入ってから茹でるのでつるりとして弾力があり、噛むと軽く歯を跳ね返す。抹茶アイスには濃茶をたらり。「毎週のように通うおじさんもいる」そうで、きっとこの雑味のない甘みと、縁側から見える景色に心が洗われていることだろう。
『円覚寺如意庵茶寮 安寧 an-nei』店舗詳細
構成=佐藤宇紘 取材・文=信藤舞子・松井一恵(teamまめ)、井島加恵 撮影=猪俣慎吾、金井塚太郎、鈴木奈保子、yOU(河崎夕子)