庭と一体化するテラスで、充電時間『cafe kaeru』

11時。木漏れ日にきらめく生命力あふれる緑を、ずっと眺めていたい。
11時。木漏れ日にきらめく生命力あふれる緑を、ずっと眺めていたい。

和洋さまざまな草木が育つ小さな庭。一見無造作なようで、よく見ると小さなハーブにも日が当たるように、細やかに手入れされている。オーナー五十嵐哲男さんファミリーの家の一部を改装した店内は、お尻に根が生えるくらいくつろぎ度が高い。ブランチに、鎌倉野菜が添えられたサクッと軽やかな焼き立てミートパイ1500円と、『石かわ珈琲』の香り高いアイスコーヒー 600円を。緑のパワーと一緒に満喫すれば、自然に力が湧いてくる。

玄関を入ると草木揺れる別世界。思わず深呼吸したくなる。
玄関を入ると草木揺れる別世界。思わず深呼吸したくなる。
モッコウバラなどに覆われた温室のような店内は、席や時間帯で景色が変わる。
モッコウバラなどに覆われた温室のような店内は、席や時間帯で景色が変わる。

『cafe kaeru』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市二階堂936/営業時間:11:00~17:00/定休日:水•木(不定休あり)/アクセス:JR横須賀線・江ノ電鎌倉駅から徒歩20分

大きな梁がある山の家で自然を感じる『狸穴 Cafe』

2階は天井が高く開放的。窓からは東慶寺の裏山が見える。
2階は天井が高く開放的。窓からは東慶寺の裏山が見える。

「のんびりした北鎌倉らしく、静かにゆったりと自然を感じてもらいたい」。そんな店長の大倉功匡さんの思惑通り、地元の常連客だけでなくふらりと立ち寄る散歩者も滞在時間が長い(最長は5時間!)。大きなソファやクラシカルなテーブル、作られた国や年代がバラバラなのも楽しくて、どの席に座ろうか悩んでしまう。1階で先に会計するファストフードスタイルだが、ブルゴーニュ風ビーフシチューなど、食事は本格派。

駅から近いが平日は静かで、 まったりのんびり過ごせる。
駅から近いが平日は静かで、 まったりのんびり過ごせる。
チョコレートブラウニー 770円と、エスプレッソ550円。
チョコレートブラウニー 770円と、エスプレッソ550円。

『狸穴 Cafe』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市山ノ内403/営業時間:11:30~17:00(夜は10名以上パーティーのみ予約営業)/定休日:不定休/アクセス:JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩2分

目を閉じて、耳を澄ますひとときを『浄妙寺 喜泉庵』

天正年間に僧が集った場所を、1991年に復興。枯山水の庭に心和む。
天正年間に僧が集った場所を、1991年に復興。枯山水の庭に心和む。

鎌倉五山第五位の稲荷山浄妙寺。風情ある山門をくぐり、突き当たりが本堂、その左手に静寂に囲まれた茶堂「喜泉庵」がある。真正面に広がる枯山水の庭を、赤い毛氈に正座して眺めていると、静々と抹茶が運ばれてくる。共にいただく菓子は、近くの名店『美鈴』の生菓子か、足利の家紋入り干菓子、いずれかを選ぶ。抹茶椀を手に、なんちゃって作法ながら、いつの間にか背筋がピンと伸びていく。水琴窟もあり、その神秘的な音色は必聴。

抹茶と生菓子セット1100円。生菓子は季節ご とのお楽しみ。他に干菓子のセット660円も。
抹茶と生菓子セット1100円。生菓子は季節ご とのお楽しみ。他に干菓子のセット660円も。

『浄妙寺 喜泉庵』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31/営業時間:10:00~16:30
/定休日:無/アクセス:JR横須賀線・江ノ電鎌倉駅から京急バス「ハイランド」行き約10分の「浄明寺」下車3分

古(いにしえ)と自然に浸れる非日常で冒険を『ISAYAH TIME AND SPACE』

ホットケーキ990円と自家製柚子茶660円。季節のパイも人気。
ホットケーキ990円と自家製柚子茶660円。季節のパイも人気。

石畳の坂の突き当たりに「喫茶」の看板。鬱蒼とした敷地を進むにはやや勇気がいるが、上り詰めるとそこはまさかの別天地! 店主の松井暁あき幸ゆきさんが、「いろんな人が集う場を開きたい」と野望を抱き、放置されていた約1000坪の土地と建物を借りて、4年を費やし開拓した。食事やバーベキューなど過ごし方は自在だが、おやつなら約30分かけて焼く、満月みたいなホットケーキを頬張りたい。

高台からの眺め。たき火小屋、富士山を望む貸し棟、五右衛門風呂棟もある。
高台からの眺め。たき火小屋、富士山を望む貸し棟、五右衛門風呂棟もある。

『ISAYAH TIME AND SPACE』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市山ノ内197-71/営業時間:11:30~日没(夜は予約にて営業)/定休日:木(不定休あり)/アクセス:JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩15分

飴色の木に囲まれ焼き菓子で憩う『Sissy’s』

鎌倉で生まれ育ったオーナー・藤井志津子さんが、アメリカのお菓子の魅力を伝えようと開店、27年になる。当初からのおすすめは、Penn-Dutch Style(ペンダッチスタイル)と呼ばれるペンシルベニアのドイツ系移民に伝わる真っ白で濃厚なチーズケーキ。アメリカ製オーブンを使い時間をかけて焼き上げる。コーヒー豆は「手動がおいしいから」と骨董のミルで。四方の窓から木々が見える店内に、挽く音が響く。

北海道産クリームチーズを使うチーズケーキとコーヒーのセ ット1000円。季節のパイも人気。
北海道産クリームチーズを使うチーズケーキとコーヒーのセ ット1000円。季節のパイも人気。

『Sissy’s』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市山ノ内206/営業時間:11:00~17:00/定休日:金、第1・3木/アクセス:JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩10分

線路沿いの静かな英国喫茶で和む『Garage Bluebell』

昭和20年代築の家屋で営んでいたが、建て替えのため1年半休業し、2018年末に新装開店。が、店内は以前の木の窓枠や英国アンティーク家具をそのまま使い、共に営む宮崎浩一さんと駒澤康子さんが「私たちが日常、のんびり過ごせる場所」をしつらえた。定番のスコーンを横目に、バターケーキにジャムを挟む伝統菓子を選ぶと、「これがまた紅茶に合うんです」と康子さん。味わいつつその言葉を実感。鳥や猫が来る庭を眺め、肩の力が抜ける時間をすごしたい。雨の日もおすすめ。

イチゴジャムを挟むヴィクトリア・サンドイッチ・ケーキとアッサムティーのセット1050円。
イチゴジャムを挟むヴィクトリア・サンドイッチ・ケーキとアッサムティーのセット1050円。

『Garage Bluebell』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市小町2-4-14/営業時間:11:00~17:00LO/定休日:水・木/アクセス:JR横須賀線・江ノ電鎌倉駅から徒歩7分

隣に自然がある小麦香ばしい時間『テールベルトとカノムパン』

フェンネル入りコンプレなど、好みのパンの盛り合わせ(量り売り)。コーヒー550円。
フェンネル入りコンプレなど、好みのパンの盛り合わせ(量り売り)。コーヒー550円。

裏山にそびえる常緑樹、ヤブニッケイの巨木に惚ほれてこの地に開店。やわらかな太陽光で満たされる店内は2フロアで、1階はカフェ担当の中村美雪さんとパン職人・中村岳さんが仲良く働く様子が見えるオープンキッチン風だ。靴を脱いで上がる2階はリビングのようで、木と空がぐっと近くなる窓辺が気持ちいい。藤沢市産小麦を石臼で碾ひいて作るパンをゆっくり噛みしめ、プレスで淹れるコーヒーすすっていると、枝を走るリスを発見!

本がずらり。
本がずらり。
行き止まりの小道にある。
行き止まりの小道にある。

『テールベルトとカノムパン』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市扇ガ谷3-3-24/営業時間:12:00~18:30/定休日:水・木/アクセス:JR横須賀線・江ノ電鎌倉駅から徒歩12分

月に数回開店の大切にしたい和空間『Sasho』

1950年に建てられた客間をカフェに。
1950年に建てられた客間をカフェに。

凝った造りの歌舞伎門をくぐり、ガラガラと木戸を開けると、昭和の昔にタイムスリップ。「祖父が10年かけて造った日本庭園を見てもらおうと思い立って」と、店主・横井恵さんが開店の理由を語る。ゆがんだ薄い窓ガラス、銅製の網戸、おばあちゃんが描いた絵など、目に入る一つ一つがあったかい。手間ひまかけて作るランチは、庭のクレソンやモミジをあしらう月替わりのお膳。「ゆっくりしたい時に来ます」というご近隣さんもいる。

京都の庭師が設計した日本庭園を眺めるひととき。
京都の庭師が設計した日本庭園を眺めるひととき。
食前酒からスタートする美しいランチ3000円(税別)は、要予約。食後にデザートと飲みものが付く。
食前酒からスタートする美しいランチ3000円(税別)は、要予約。食後にデザートと飲みものが付く。

『Sasho』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-11-1/営業時間:11:30~16:30/定休日:営業日はHP参照/アクセス:JR横須賀線・江ノ電鎌倉駅から徒歩7分

日常が潤う大切な時間に『THE GOOD GOODIES』

カウンターの目の前で、一杯ずつハンドドリップ。
カウンターの目の前で、一杯ずつハンドドリップ。

「こういう場所があればいいな」という店主・内野陽平さんの思いを形にした店。スタンディングで気軽に立ち寄れ、テイクアウトはもちろん、ひと息つくにもぴったり。2013年のオープン以来、街の人々が集う中継地点になっている。毎日ガブガブ飲んでほしいと、ブレンドは甘みがありつつ後味スッキリ。

ブレンドコーヒー 390円、レモンチーズパイ500円。
ブレンドコーヒー 390円、レモンチーズパイ500円。

『THE GOOD GOODIES』店舗詳細

住所:神奈川県鎌倉市御成町10-1/営業時間:7:00~19:00/定休日:水・毎月最終火/アクセス:JR鎌倉駅・江ノ島電鉄鎌倉駅から1分

構成=佐藤宇紘 取材・文=信藤舞子・松井一恵(teamまめ)、井島加恵 撮影=猪俣慎吾、金井塚太郎、鈴木奈保子、yOU(河崎夕子)、内田年泰