1軒目をどこにするか迷っているうちに、東小路の最果てまで来てしまった。『OP’s Bar 』の窓をのぞくと、うまそうな生ビールが目に留まり入店。隣客のごつい男性が「東小路の二大イケメンのひとり」という古堅(ふるげん)祐次さんがタップから注ぐスーパードライは泡がきめ細かく迷路探訪の一杯目にぴったり。
2軒目は、平和小路に突入。『よなよな』は正面から見ると丸窓のみ、表には品書きもない。扉を開くと、白とタイルを基調とした明るい店内で呉羽佳恵さんが迎えてくれた。カウンターには品書きがあり、“出汁巻かない玉子”“そら豆とクリームチーズ”という字面に、当たりを確信。「食材を見て自由に調理法を決めるので、肉じゃがなど一般的なものよりそういう料理が多いんです」。
今度はさらにハードルを上げ、路面店ではなく地下へ。3軒目、東小路の『ワイルドミーちゃん』を営む平方のぞみさんは、すぐ上の『金井寿司』店主の娘さんだ。
「子供の頃は東小路を自転車で疾走していました。まさかここで店をやるとは思わなかったけど、地元で開業できたのは幸せです」
4軒目に選んだ『KENZO』は今回の最小酒場にて、入店のハードルも高め。狭いカウンター越しに、元野球部の浜田賢三さんと向き合うのは少し緊張感あるけど、先ほど『OP’s Bar 』で隣にいたのが浜田さん。緊張感も解け「この顔辺りのパーテーションはコロナ禍から?」と聞くと「狭くて顔と顔が近過ぎて恥ずかしいからつけたんです」。立ち飲みながら、座りのイタリアンと遜色ない酒肴の数々に、狭さは忘却の彼方へ。
ラスト5軒目、2階奥にあり入店難関度特Aの『山岸園』はドアを押すのを何度もためらったほどだが、山岸義和さんの甘い笑顔と甘いデザートカクテルに完落ち。ミックスベリーチーズケーキのカクテルは上に温かいクリームチーズ、下に氷とカシスリキュール、レモン。時間帯で味が変わる珠玉の一杯は、勇気を胸にドアを押した自分へのごほうびだ。
~おまけ~
東小路の2階には刺し身のうまい隠れ立ち飲みも発見(店名非公開)。自らの度胸と嗅覚で探すべし!
真のスーパードライの〈辛口〉を体感せよ『OP’s Bar』
誰もが知っているあのビールの本来の味を楽しんでもらうため、サーバの洗浄や樽の温度を徹底管理。氷水で冷やした薄口グラスへの、注ぎの角度までこだわったスーパードライは、泡はなめらか、キレがあって後味すっきり。タップは常時6種ほどで、うまみのあるビールが好きならチェコのピルスナーウルケルM840円を!
16:00~23:00(日・祝は~21:00)、日・不定休。
☎03-6433-0161
扉の奥に広がるやさしい和食と心遣い『小鉢や よなよな』
筍と豚肉の山椒あんかけや真鯛の昆布締め梅だれ各1300 円など、旬の食材を仕入れて日々入れ替わる酒肴は、品書きを見ているだけでお腹が鳴る。合わせるなら季節限定の日本酒はもちろん、店主・呉羽さんが吟味して料理に合うものを選んだ白ワインもおすすめ。何より3.5坪の店内に満ちる店主の心配りに、お酒が進むのだ。
18:00~23:00LO、土・日・祝休。
☎080-8151-1968
店主は東小路がバリバリ地元『ワイルドミーちゃん』
地下へ続く階段に「ひそむは化け猫か?」と及び腰になるが、実家の愛猫・ミーちゃんを愛する平方さんに迎え入れられ、安堵。飲み放題1時間1500円~なので、サクッといっぱい飲みたいときに最高だ。タンドリーチキン470円など店主手作りのつまみもいいが、両親が営む『金井寿司』から出前を取るのも一興(予約可。繫忙日は不可)。
17:00~23:00LO、日・祝休(不定休あり)。
☎03-3474-8977
横丁の中でも極狭リトルイタリーの極み『立ち飲み家 KENZO 』
カウンターの幅は約20cm、店主の浜田さんいわく「日本一狭い立ち飲みっす」。それでも、とろける白レバー780円や豚タンソテー980円は臭みがなく、フィレンツェ仕込みの腕が光る。赤ワインのネロダヴォラを頼むと、店主が巨体を揺らし、階段で上へ。2階にセラーがあるのだとか!クラフトジン約10種や、締めのパスタやリゾットも用意。
18:00時~翌1:00、日休。
☎080-3914-2403
階段を上がり2階奥に待つ、甘い夜『Bar 山岸園』
マスターの山岸さんは、実家が果樹園。そのリンゴやシャインマスカットなどを使った季節のフルーツカクテルや、あんこや焼き芋といったデザートカクテルが美しい。スコットランドのアラン島から日本の新興蒸留所、80年代のブレンデッドまで、ウイスキーにもマスターの趣味がさく裂!
19:00~翌3:00(日・祝は~24:00)、火・第2・4日休。
☎03-3474-1140
取材・文・撮影=鈴木健太
『散歩の達人』2026年5月号より






