スタート:京成金町線 柴又駅ー(すぐ)→フーテンの寅像と見送るさくら像ー(2分/0.15㎞)→髙木屋老舗ー(2分/0.13㎞)→柴又帝釈天ー(5分/0.36㎞)→山本亭ー(2分/0.13㎞)→葛飾柴又寅さん記念館ー(すぐ)→山田洋次ミュージアムー(8分/0.54㎞)→矢切の渡しー(20分/1.3㎞)→野菊の墓文学碑ー(11分/0.76㎞)→ゴール:北総鉄道 矢切駅
今回のコース◆約3.4㎞/約50分/約5千歩/高低差★☆☆/体力度★☆☆
川千家
帝釈天とともに約250年の歴史を刻む
安永年間(1772~1781)創業以来、うなぎ、鯉、川魚料理を専門とする老舗。なかでも肉厚の国産ウナギをふっくらと焼き上げ、甘さ控えめのタレで仕上げた蒲焼きに定評がある。蒲焼き「梅」3200円。鯉あらい・鯉こく各780円、どじょう柳川1500円。映画『男はつらいよ』でもたびたび登場している。
1 髙木屋老舗
寅さんも食べた名物の草だんご
帝釈天参道を挟んで明治時代と大正時代の建物が向かい合う。名物の草だんごは、特選のコシヒカリの米粉に筑波山麓のヨモギの新芽を混ぜた餠に、北海道産の小豆で作った餡を絡めて食べる。みやげは12粒700円。
2 柴又帝釈天
法華経の説話を表現した彫刻群
寛永年間(1624~1644)創建。参道正面に立つ二天門や、帝釈堂に施された彫刻群が見事で、「彫刻の寺」と称される。大客殿前に広がる滝を配した池泉式庭園の邃渓園(すいけいえん)は、1968年に向島の庭師・永井楽山が作庭。
3 山本亭
大正浪漫薫る、和洋折衷の邸宅
大正末期建築の邸宅で、書院造りに西洋建築を取り入れた和洋折衷が特徴。270坪の書院庭園は、アメリカの日本庭園専門誌で2016年に第3位に評価された。庭園を眺めながら抹茶セット600円を味わえる。
4 葛飾柴又寅さん記念館
今にも寅さんが帰ってきそう……
映画『男はつらいよ』の世界を体感できる記念館。撮影に使われた団子屋「くるまや」のセットが移設され、寅さんがいつも持っていたトランクも公開している。昭和30年代の帝釈天参道をジオラマで再現したコーナーもある。
5 矢切の渡し
小説や歌謡曲で知られる渡し船
柴又と対岸の松戸を結ぶ都内唯一の渡し船。約380年前の江戸時代初期から続き、住民の農耕地への移動や帝釈天の参拝などに利用されてきた。小説『野菊の墓』や歌謡曲『矢切の渡し』でも知られる。松戸側に細川たかしの歌碑がある。
6 野菊の墓文学碑
松田聖子も演じた純愛物語
『野菊の墓』は、明治39年(1906)に雑誌『ホトトギス』に発表された伊藤佐千夫の純愛小説。文学碑は1965年に西蓮寺の境内に建てられ、佐千夫の門人・土屋文明の書によって小説の一文が刻まれている。
【コース解説】
柴又駅は、寅さんが旅立つときに利用する駅。駅前にはフーテンの寅像と見送るさくら像が立ち、映画のワンシーンを想像させる。駅前広場に面して小さな店が軒を連ねていたが、再開発により現在は更地になっている。これからどんな風景に生まれ変わるのか楽しみだ。
駅前から続く帝釈天参道は、柴又街道を横切って帝釈天二天門まで。参道両側には風情ある日本家屋の建物が軒を連ね、『ゑびす家』の川魚料理、『髙木屋老舗』の草だんご、『川千家』のうなぎ、『大和家』の天丼など名物グルメが勢ぞろいする。
帝釈天をお参りした後は、帝釈堂の周囲を埋め尽くす彫刻群を拝観できる彫刻ギャラリーも必見。続く『山本亭』の庭園は、アメリカの日本庭園専門誌でランキング第3位に評価されたこともある名園だ。
その後は、柴又の人気スポット2つを訪ねよう。『葛飾柴又寅さん記念館』で寅さんワールドに浸り、隣接する『山田洋次ミュージアム』で映画監督・山田洋次の足跡を知る。
寅さんも歩いた江戸川の河川敷を歩けば、矢切の渡しの乗船場がある。船で対岸に渡り、野菊の墓文学碑に立ち寄りながら矢切駅へ。
取材・文・撮影=塙 広明(アド・グリーン)
『散歩の達人』2021年2月号より