丸鶏の自家解体がこだわり。遠火の強火で大ぶりの『鶏焼』を『とり吉』
朝じめして24時間以内に届く、新鮮な丸鶏を店内で解体しているため鮮度抜群。そして、小さく切って串に打った焼き鳥ではなく、大ぶりな塊のまま炭火で焼く「鶏焼」にこだわっている。
塊のまま焼くことで、鶏肉の旨味と肉汁をぎゅっと閉じ込め、独自の火加減である遠火の強火が、表面は香ばしくパリパリ、中までしっとりを実現する。ちょっと時間はかかるが、必ずオーダーしたいのは「お一人様一本限り」のもも正肉串焼と「一組一皿限り」は極上純レバー焼だ。
正肉串焼は、1羽から少量しか取れないという極上のもも肉を大きめなカットでいただく。表面はパリッとしていて、中からはジューシーな肉汁が溢れ出る。厚みと大きさがたっぷり、プリプリとした食感は鮮度の良さの証拠だ。
極上純レバー焼は、まるでフランス料理かと思うような仕上がりだ。豚の網脂で包んだ鶏レバーの塊を作り、それを炭火で10分程度じっくりと焼く。少し休ませて、余熱で火を通すため、ぱさつかず、中まできちんと火が通る。しっとりと、そしてねっとりと舌の上でなめらかにとろけていく濃厚さがたまらない。赤ワインとたまり醤油をベースにしたソースにより、さらにコクが増すようだ。周りに散らした黒七味山椒のアクセントもとてもいいし、わさびを乗せても楽しみたい。
『とり吉』店舗詳細
迫力満点の鶏のオーブン焼きは、自家製ソースが決め手『ソリレス』
荻窪の駅の線路沿いにある、カウンターのみの小さな店だ。本格的な料理とワインが楽しめる。
店主自慢の大山どりのオーブン焼きは、鳥取県産の銘柄鶏である大山どりを丸鶏で仕入れて自家解体して調理するので鮮度は抜群、値段もリーズナブルだ。思った以上に大きいもも肉は、じゅわっと肉汁があふれ、プリプリの食感がたまらない。ボリュームも大満足だ。パセリジェノベーゼやオーロラソース、にんにく醤油など、ソースは数種類から選べるが、もも肉なら自家製ケチャップがオススメ。コクと酸味のある濃厚なケチャップと、旨味の濃い鶏肉は相性が抜群だ。
前菜三種盛は、チーズやナッツ以外はほとんどが店主の手作り。「食材を吟味して、できるだけ手作りする」というのが店主のコンセプトが感じられる。適温に管理されたこだわりのワインと楽しめる。
『ソリレス』店舗詳細
おひとりさま女子も安心して飲める店『よるべ』
2014年オープンの立ち飲み屋。美大出身の店主がDIYで仕上げた内装はセンス抜群で、足場板を磨き込んだカウンターや漆喰塗りの壁など、隅々にまで美意識が感じられる。旬の野菜のタパス(小皿料理)や生搾りフルーツのお酒など、フードコーディネーターの資格を持つ店主が作るメニューは味も見た目も◎。女性客が多いのもうなずける。
『よるべ』店舗詳細
北海道から直送される魚介類がうまい!『鳥もと本店』
かつて北口駅前にあった焼き鳥の老舗『鳥もと本店』が荻窪銀座街に移転。北海道音別町出身の店主が漁師の友人のつてを頼って仕入れているという白糠漁港で水揚げされた海の幸は、何を食べても間違い無し! 脂がのった貴重な「ますのすけ」も一年中味わえる。
『鳥もと本店』店舗詳細
正統派の一軒家酒場で女将の手料理に酔う『田中家』
昭和35年創業の昔ながらの小料理屋。田中家と染め上げられた白いのれんをくぐって引き戸を開けると、年季の入ったL字形のカウンター(9席)と、お団子ヘアーのキュートな女将がお出迎え。壁の短冊に書かれたメニューは梅干し、かぼちゃ煮、湯豆腐など、どれも良心価格でハズレ無し。一人で訪れても落ち着けます!
『田中家』店舗詳細
独創的な酒肴には、新潟の限定酒を合わせて『旬ものと日本酒 とみ笑』
店主の富田薫さんは、地元新潟県の日本酒に惚れこみ、蔵ごとの限定酒を300種以上揃えている。「好みやつまみに合わせて渾こんしん身の一杯を薦めます」と、胸を張る。つまみは、長年うなぎ店で磨いてきた技術に独自のアイデアを加えた創作和食だ。中でも、赤酢あん肝は人気の一品。口中を埋め尽くす濃厚な旨味はフォアグラのごとし。こっくり重めの酒を合わせた時の相性は、もう反則級だ。
『旬ものと日本酒 とみ笑』店舗詳細
ロックな店主の焼き鳥は繊細かつやさしい味『炭焼 モッキンバード』
店内に飾られたギターは、店名の由来になったモッキンバード。「バンドマンだった頃に愛用していたものなんです」と、店主の清水保志さんは目を細める。修業先から受け継いだ秘伝のタレをつけ、炭火で焼いた地養鶏は、口当たりがサラリとしていて噛むほどに味わいが増す。また、唐揚げはコーンスターチを使った衣がパリッパリで中はジューシー。ハイボールをお代わりしたい!
『モッキンバード』店舗詳細
魚の鮮度が半端ないコスパ高めの海鮮酒場『サカナとタナカ Iriguchi』
店主の田中將貴さんは、「必ず市場まで足を運び、自分の目で魚を選びます」と、食材選びに妥協をしない。新鮮な魚介が10種前後、所狭しと皿に並ぶ刺し身盛りには、日本酒を合わせるのもいいが、すっきりしたすだちサワーもよく合う。また、子持ち昆布の串揚げや、ハマグリとアワビ茸の酒蒸しなど、他ではなかなかお目にかかれない日替わりメニューの数々が、今日も常連衆を店へと誘う。
『サカナとタナカ Iriguchi』店舗詳細
「肉には燗酒」というレアな組み合わせをぜひ『肉とハーブ マツノヤ 荻窪店』
炭火でじっくり焼いた、“黒岩鶏のたたき”に燗酒を合わせたら、口の中で肉の旨味と脂が溶けてうっとり。この快感は燗酒でなければ味わえない。「優しい旨味の日本酒が合いますね」と店主の鹿毛静穂さんが言う。他にも、直火でとろとろになるまで煮込んだ〝牛スジ煮〞や、牛、豚、鴨、仔羊、ハト、うずら、ツキノワグマなどあらゆる肉料理にもぜひ燗酒を。酒の熱で溶ける、それぞれの肉の旨味と脂は、ずっと味わっていたくなるほど、じわじわ口に染みる。
『肉とハーブ マツノヤ 荻窪店』店舗詳細
間口は狭いが懐の深〜い名酒場『どんく』
味わい深いコの字カウンター、気の利いたつまみからうどんや焼飯まで幅広いメニュー、店主・中村正さんの穏やかな接客。一度ここに来ると通うようになる人が多いというのも頷ける。評判が高いのにほどよく落ち着いた雰囲気が保たれているのは、ここがビルの3階だから。「よくこの場所で始めたなと思いますね」と笑う中村さんだが、その決断があっぱれ。あまりに心地よく、人に自慢したいような、誰にも教えたくないような複雑な気持ちになる。
『どんく』店舗詳細
コスパ最高! 古ぼけた酒場に遠方客も訪れる『もみぢ』
お品書きにはフグやスッポンの文字が躍る。しかも1品200円前後! 今はなき赤坂の料亭で腕を磨いた店主の小林健二さんは、「駅から遠いから安くしちゃった」と照れる。フグといえばヒレ酒かと思いきや、「骨のほうが、出汁がよく出るから」と骨酒で。使うは、豊洲仕入れのショウサイフグで、刺し身用にさばいてから骨をじっくり炙る。2尾入りの骨酒はパック酒ながら、ヒレよりも野趣に富み、濃厚。骨を追加すれば昇天確実だ。
『もみぢ』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木さや香、中村宏覚、山内聖子、佐藤さゆり(teamまめ)、井島加恵 撮影=鈴木さや香、中村宏覚、井原淳一、丸毛 透