あなご屋 銀座ひらい

骨酒の穴子にも職人技が冴えわたる

あなご骨酒1合850円で、次酒は1合600円。あなご一本白焼き1200円、骨せんべい、"笹焼"あなご佃煮、珍味あなご酒盗の三種盛り800円。

店主の平井良和さんは、寿司屋修業時代に穴子に魅せられ、穴子専門店『日本橋玉ゐ』を仲間と興した人。3年前、銀座の小路で独立した店は、アイデア満載のめくるめく穴子料理で、誰もが舌を巻く。そのなかに、穴子の骨酒が。「そのまま骨酒にしても味が強く出ないんですよね」と、骨付きのまま開いた身を、昆布出汁に漬けてから一夜干しに。それをていねいに炙り、1合につき半身を熱々の燗酒に入れる。すすってみると、上品な旨味がぐいぐいと押し上がり、継酒すれば、酒の色が黄味がかって、味わいもさらに深まる。熱燗のなかでふくよかにふくらんだ身は、しゃぶりつくとふわっふわ。きれいに味わい尽くすべし。

小路の突き当たりに立つ。
平井さんが手にするのは菊正宗生酛。「これが骨酒に合うんです」。
注文後に炙る。
季節で産地が変わるが、夏は江戸前、予約すれば活穴子も味わえる。

『あなご屋 銀座ひらい』店舗詳細

住所:中央区銀座5-9-5/営業時間:11:30 ~14:00LO(土・日・祝は〜15:00LO)・17:30~21:30LO/定休日:無/アクセス:地下鉄銀座駅から徒歩1分

串焼き 小川の魚

丸々一尾が酒に差さる贅沢さよ

岩魚の骨酒は1合1045円。

コップから突き出した姿にまず愕然。ひと口飲むと、香ばしさが鼻腔を駆け巡り、濃厚さにため息が漏れる。店主の小川勇一さんは養魚場2代目。自ら育てた岩魚を、エラと内臓だけ取り除き、3日間炭の遠火で干し上げ、注文後に炙る。最初はカチカチに固い身が、継酒するたびにほどけ、最後は骨もろとも胃の腑へ。人気店のうなぎの味を毎日食べたくてこの店を始めたと笑うが、イワナ、ヤマメの稀有な味も揃い、川魚好きは乱舞必至。

「辛口純米の越乃石翠が骨酒向き」と小川さん。
炭の遠火で干し上げ、注文後に炙る。

『串焼き 小川の魚』店舗詳細

住所:東京都八王子市横山町8-4/営業時間:17:00~23:00/定休日:無休/アクセス:JR中央線八王子駅から徒歩7分

もみぢ

酒場の価格破壊で出合う驚愕の味

ふぐの骨酒350円は継酒250円、骨追加100円。フグ刺し350円、フグ空揚げ350円。

お品書きにはフグやスッポンの文字が躍る。しかも1品200円前後! 今はなき赤坂の料亭で腕を磨いた店主の小林健二さんは、「駅から遠いから安くしちゃった」と照れる。フグといえばヒレ酒かと思いきや、「骨のほうが、出汁がよく出るから」と骨酒で。使うは、豊洲仕入れのショウサイフグで、刺し身用にさばいてから骨をじっくり炙る。2尾入りの骨酒はパック酒ながら、ヒレよりも野趣に富み、濃厚。骨を追加すれば昇天確実だ。

古ぼけた酒場に遠方客も訪れる。
店主の小林健二さん。スッポン料理も破格だ。

『もみぢ』店舗詳細

住所:東京都杉並区荻窪2-24-10/営業時間:17:00~翌3:00/定休日:無(臨時あり)/アクセス:JR中央線•地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩14分

構成=フラップネクスト 取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=丸毛 透
『散歩の達人』2016年2月号より