100年を見守る木造駅舎と一両列車。鳥取【丹比駅】で“時空を超えるトレインビュー”

そこだけ時間が止まったような風景が広がる、鳥取・若桜鉄道の丹比(たんぴ)駅。

日本で唯一「ぴ」で終わる駅名、その響きがかわいらしいが、実はもうすぐ開業100周年を迎えるご長寿駅舎だ。昭和5年(1930)開業当時の木造駅舎が今も現役で使われており、ホームの庇(ひさし)はアメリカ・カーネギー社製レールを加工して作られている。「CARNNEGIE」「1911」の刻印が残る。国の登録有形文化財に登録された駅舎を背景に、一両列車が走り込む瞬間はまるで鉄道絵巻。

駅に吸い込まれるようにやってきたのは「八頭(やず)号」。乗車し、窓越しに駅舎を眺めると、日常と非日常が溶け合う不思議な景色に出会える。

★古社寺さんぽ★鳥取の人🐪さん]

まるで草原を駆け抜けるような光景!歴史感じる奈良【平城京】で見つけたトレインビュー

近鉄の大和西大寺駅から徒歩20分、平城宮跡歴史公園内にある「朱雀門」の近くで、とっておきのトレインビューに出会いました。その光景には、立派な朱雀門と近くを走る近鉄電車、そして、5月に見頃を迎えた満開のツツジを収めることができました。

また、電車の走るあたりは、青々とした草原のような光景が広がっており、その中を颯爽(さっそう)と走る電車に見惚(ほ)れてしまいました。とても素敵な光景ですが、世界遺産である平城京を電車が通り抜けることの是非については、さまざまな意見があるようです。

この場所で過ごす時間は、過去に戻ったかのようにゆったりと感じられました。そんな空間の中で電車が走る光景を、ただただ眺めてみるのもいいかもしれません。

[タコさんぽさん]

広島の路面電車は、グッと身近に電車を感じられる!

まっさきに頭に浮かんだのは、大正元年(1912)の開業以来、広島市内を縦横無尽に走りる路面電車のお姿、今年(2025年)8月3日には広島駅ビル2階に乗り入れを開始してJR改札口に直結、便利度が一段とアップしました。

何と言っても人が歩く同じ路面に電車が走っている姿は、電車の存在をすご~く身近に感じさせます。広島市内中心部の八丁堀や平和記念公園はもちろんのこと、世界遺産・宮島の玄関口であるフェリー乗り場がある宮島口まで運んでくれます!

画像は2023年11月撮影、広島駅ビル乗り入れ前ですが、長らく広島駅南口前には、こんな風に路線ごとの乗り場がありました。この光景が見られないのはちょっぴり淋しいのです。

[まやぎはとこさん]

のどかな山間風景と列車のコラボレーション。山梨・JR身延線の【芦川橋梁】

JR身延線は、甲府駅から富士駅を結ぶローカル線。単線でゆっくりと山間の景色を楽しめる路線である。

甲府駅から出発。甲府城を右側に見ながら、ゆっくりと走り出す。出発から20分もすれば、田園風景が広がってくる。芦川駅を過ぎ、市川本町駅に向かう途中に写真の芦川橋梁を通過する。

2両編成の車両があっという間に通過する程の短い鉄橋だが、山と川、田舎の景色が心を癒やしてくれる。僕のお気に入りのスポットだ。

[じゅんじーさん]

もとは“町民鉄道” の千葉【流鉄流山駅】。大正時代開業の駅舎にはコミュニティ・スペースも

千葉県の流鉄、流山駅は大正5年(1916)創業で、「関東の駅100選」の1つ。レトロな雰囲気がたまらない。

当初は地元産品のみりんを運ぶために流山町民の出資でできたことから“町民鉄道”と呼ばれていたという。ここから常磐線の馬橋(松戸市)までの5.7km、6つの駅を2両の電車で結んでいる。東京駅から1時間ほどで来られる場所だが、駅舎、終着駅のホームともに、ゆったりとした時間が流れている。

流山は江戸時代に白みりんの生産地として栄え、今も工場がある。かつては駅と工場を結ぶ引込線があり、みりんを運ぶ貨物列車が走っていた。駅舎には、流鉄の歴史や地元の産品を展示販売するコミュニティ・スペース「machimin」があり、散歩好きの心をくすぐる。

[こんちゃんさん]

モグラのように穴ごもりして眺める異世界風景!栃木【湯西川温泉駅】

栃木県と福島県を結び、山岳地帯を走る野岩(やがん)鉄道会津鬼怒川線。そのなかでも、少し不思議なトレインビューを望めるのが湯西川温泉駅だ。

葛老山(かつろうやま)トンネル内にある湯西川温泉駅は、地上の駅舎から階段をザクザク下り地下のホームへたどり着く、いわゆる“モグラ駅”の構造となっている。ひんやりとほの暗いトンネルの中でしばらく待っていると、急に光が差しごうごうと走ってくる列車の姿が。この一連の風景はまるで違う世界のもののようで、静と動のコントラストがたまらない。

駅からの眺めを堪能した後は、駅直結の温泉施設で体を温めるのもおすすめ!

[編集部・桑原]

江の島を望む!神奈川【七里ケ浜駅】近くの江ノ電いち押し絶景スポット

江ノ電のルート上には、インバウンド観光客にも人気の、鎌倉高校前駅近くの坂(今みたいに話題になる前、景色にひかれ、絵を描いたことがあります)や「江ノ電もなか」で有名な『扇屋』前、あじさい時季の「御霊神社」前の踏切など、絶景スポットがいろいろあります。

わたしのいち押しは、国道134号と合流する、写真のスポットです。遠くに江の島が望めるほか、天気が良ければ富士山も見えます(残念ながら、江の島が撮れていませんが)。

台湾とコラボした車両がカラフルでかわいかった。江ノ電はたまに台湾の鉄道とコラボしているようで、以前は平渓(へいけい)線とコラボしていました。2026年2月28日までは、高雄メトロと京都の嵐電とスタンプラリーを開催中のようです。

[柿生亜実さん]

在りし日の東急東横線に思いを馳せながら。神奈川【横浜駅~桜木町駅】

横浜駅周辺を歩いていた日のこと、整然と続くコンクリートの高架橋に沿うように歩いていくと、東急東横線の旧桜木町駅から横浜駅へ延びる廃線跡(写真左)を見つけた。今ではすっかり「元町・中華街行き」が耳になじんでいるが、2004年に廃止されるまで、東横線の終点は桜木町駅だった。この場所は、そんな在りし日を思いながら、走行するJR京浜東北線を眺められるトレインビュースポットだ。

付け加えて過去の話をすると、もともと桜木町駅は初代の「横浜」駅で、明治5年(1872)、日本初の鉄道が初代「新橋」駅との間を走った。そんな横浜・桜木町の変遷を改めて思い巡らせるのも楽しい。

[編集部・阿部]

飯田橋の水上レストラン【カナルカフェ】で、総武線・中央線の電車を心ゆくまで満喫

トレインビューを楽しめるカフェとして、外せないのが飯田橋駅近くの『カナルカフェ』です。

数々のドラマや映画、雑誌のロケ地としても知られるこのカフェは、そのおしゃれさと立地の良さははもちろん、300席という広々とした空間も大きな魅力! 私が訪れた日も多くの方でにぎわっていましたが、それでも席にゆとりがあり、待ち時間なくすぐに座れました。

そして、このカフェの最大の特徴は、テラス席から中央・総武線各駅停車や中央線快速の電車が目の前を走っていく様子を眺められること。これほど線路に近く、電車を眺めながら過ごせるカフェは他にはなかなかありません。電車好きの方も満足できるはず。気になる方はぜひ、行ってみてくださいね!

[もーみん山猫さん]

【南町田グランベリーパーク駅】のジオラマのようなトレインビュー

駅周辺を再開発、2019年に駅名が改称された南町田グランベリーパーク駅。隣接する「グランベリーパーク」側から階段と滝がせり出し、駅の外部と一体になった空間は、屋内感と屋外感が混在する印象的な構造になっています。

ここに電車がやってきた様子というのが、まるでジオラマの世界のようでおもしろい。電車の架線部分の構造物が大きく省略されているのもポイントで、それが非現実感を助長しています。

空間設計の賜物。そういう意味で、ほかであまり見られない鉄道景観ではないかと思います。

[編集部・小野]

トカイナカを走る、ゆるやかな時間。【東急世田谷線】で楽しむ“癒やしのトレインビュー”

渋谷からほど近い三軒茶屋駅を起点に、下高井戸までを結ぶ東急世田谷線。全長わずか5km・10駅の小さな路線ながら、その魅力は密度たっぷりです。また、「関東の駅百選」にもなった三軒茶屋駅の駅舎は、まるでヨーロッパの始発駅のような趣きがあり、独特の存在感を放っています。

レトロな路面電車風の車両が、のんびりと住宅地を縫うように走る光景は、まさに“トカイナカ”(都会+田舎)の象徴。沿線には、昭和の風情を感じる商店街や、のどかな緑道、小さな神社仏閣が点在し、散歩するだけでも心がほっとほどけるよう。近年では、猫のラッピングが施された「ネコ電車」や、四季ごとに表情を変える沿線風景を目当てに、インバウンド(訪日観光客)からも注目が集まっています。

カメラ片手に沿線をゆるり旅してみれば、きっとあなたの「お気に入りのひと駅」が見つかるはず。都市の喧騒をひと駅分だけ離れ、電車の窓越しに流れるやさしい風景を感じてみてください。

[うさかわさん]

喰違見附跡から見る‟銀河ステーション”【丸ノ内線四ツ谷駅】

宙に浮いているような構造の駅を遠くから眺めるのが好きです。昼はもちろん、暗がりのなか、ほのかな明かりがともる駅に光線のような電車が出入りする夜の風景は最高です。

丸ノ内線が‟地上”に出る四ツ谷駅が好きな人は多いと思いますが、夜、喰違見附のあたりから、いまは「上智大学真田堀運動場」となった真田濠越しに見える駅舎はさながら銀河ステーション。

真っ暗なお濠の闇の上、「地下1階」にあたるホームが浮いているように見えるのが不思議で、ずっと眺めていられます。心ゆくまで眺めた後、あの電車にこれから乗るのだ! というワクワク感とともに帰路につくのも楽しみです。

[編集部・渡邉]

天と地と。2つのアングルから楽しめるトレインビュースポット・恵比寿【アメリカ橋】 

橋上からの電車観望は定番中の定番だと思います。東京・渋谷区にある通称“アメリカ橋”では恵比寿ガーデンプレイスを背景に行き交う電車たちの姿を楽しむことができます。山手線をはじめ埼京線や湘南新宿ラインがひっきりなしに、たまに成田エクスプレスが橋下を走り抜けます。個人的には相鉄線乗り入れの紺色の車両に出合えるところがうれしいです。

このトレインビュースポットには、実はもうひとつのビューポイントが隠されている(?)のです。橋のすぐそばから恵比寿ガーデンプレイス地下に下りると恵比寿駅方面へ、線路のすぐ脇に通路があります。大盤のガラスが貼られており、さながらテラス席から疾走する鉄道車両を間近に見ることができるのところがおもしろい。

この天地、別々のアングルから電車たちを眺めることができるところが最大の魅力です。

[上町嵩広さん]

構成=さんたつ編集部

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