彼女たちはどんなお店をどんな理由で選んでいるのか?
( 右から )
C子 二重橋界隈(かいわい)をうろつくことが多い。教会・建築巡りが好きな47歳。
N子 プライベートでは丸の内エリアを日常的に利用、猫好きな52歳。
Y子 小3と中2の子供に、駅ナカで小ぎれいなお土産を買いがちな52歳。

私はカウンターで、ひとり、ぱっと完結できるところ。『東京ギョーザ スタンド ウーロン』とかかな。タコスブームの黎明期の2020年に、カウンターを併設した『北出(きたで) TACOS』がオープンしたときは、お目が高い! と思っちゃったわよ。

私も同じくカウンター派。雑踏の中のおこもり感が好き。『ヌードルハウス ランドリー』や『常陸野ブルーイング 丸の内』みたいに、小さく自分の世界がつくれるお店。オープンな席やガラス越しで人間観察ができるようであればなおいい。『DEPOT(デポ)』は改札の近くにあるんだけど、この前はCOACHの紙袋を持った人が3人連続で通って、え、今ってそんな感じ? とか。トレンドのリサーチができちゃう。

カウンターは、料理をしているところが見えるのもいいよね。『築地すし好(こう) 和(なごみ)』の立ち寿司コーナーは、もうシンプルに握っているところが見える。あら、こちらのネタはちゃんとしているのかしら、みたいな不安はない。店員さんとも話しやすいし、面白いメニューがあったときも、これ何ですか? って聞きやすい。

結構ぐいぐいいくタイプだよね。

最近はそういうの年齢的に怖くない。知識欲を満たすことを最優先にしちゃってる。
夜市風の「餃子とビール!」『東京ギョーザ スタンド ウーロン』
改札内なのに、まるでアジアの夜市のような活気! スタッフがテキパキ立ち働く姿は気持ちいい! 皮や肉のひき方にもこだわり、店の奥で丁寧に手包みされた餃子550円~は、焼きはもちろん、パクチーやシソを使った水餃子もある。包み立てが食べられるという至福をオリジナルのビールや、ジョッキ入りのウーロン茶などで楽しめる。一品料理も充実しているため、あれもこれも食べたくなってしまう。キャッシュレス決済のみ。

餃子以外のメニューも豊富! 店員さんがみんな元気なのもいい。
『東京ギョーザ スタンド ウーロン』店舗詳細
改札に最寄りのアジア『ヌードルハウス ランドリー』
改札外の黒塀横丁にあるアジアンテイストの屋台風大衆酒場。丸の内と八重洲をつなぐ地下自由連絡通路から少し奥まった場所にあるため、東南アジアにある路地裏に迷い込んだよう。タイやシンガポール、ベトナム・中東の麺料理のほか、季節感と和の要素を取り入れたアジアンフードや、約15種類の樽生クラフトビールがスタンバイ。丸テーブルでわいわい盛り上げるのもよいが、オープンなカウンターは本当に異国の風が感じられるようで心地よい。

見慣れないメニューも多いから、分からないことは質問しちゃえ!
『ヌードルハウス ランドリー』店舗詳細
今日はどの席に座ろう?『DEPOT』
丸の内・八重洲北自由通路の新改札横にあるガラス張りのカフェバー。電球色のやわらかい照明の下、全席カウンターで構成されているため、外が眺められる席や、奥まった壁際の席、DJブース近くの席など、好みの席で思うように過ごすことができる。自家焙煎したエスプレッソをカラメルに使った「懐かしほろ苦プリン」700円が人気。昭和レトロな「スイングカラン」のビールサーバーもあり、店内はどこか懐かしい雰囲気に満ちている。キャッシュレス決済のみ。

人間観察にはベストスポット。行き交う人を眺めているとアイデアもわいてくる。
『DEPOT』店舗詳細
次の移動までワインを!『東京パニーノ アロマフレスカ』
新幹線北のりかえ口の目の前というロケーションで、エスプレッソやイタリアンワインが楽しめる。エクレア風の皮に伝統的なイタリア料理を挟んだパニーノ660円は、軽い口当たり。3口ほどで食べられる小ぶりな大きさのため、ちょっとしたおつまみにピッタリ! メニュー表には提供までにかかる時間も表示されていてうれしい。駅構内だけれども、本を読んだり、往来する人を眺めたり、ゆったり過ごすことができる。

プロセッコとあわせてパニーノとか、駅ナカとは思えない~。
『東京パニーノ アロマフレスカ』店舗詳細
亀の甲より年の功? ならではの助言と観察力

団塊ジュニア、スポ根世代の私的には、30分前集合のクセがぬけないから、集合時間までの空き時間がつぶせるお店はよく行く。できれば改札内で『はせがわ酒店 グランスタ東京店』とか。ほかにも『東京パニーノ アロマフレスカ』は新幹線のりかえ口が目視できるし、ワイン1杯でも気兼ねなしで頼める。1杯しか飲まないのは、ケチっているわけじゃないんですよ、時間がないからなんですって堂々と胸をはって飲める。

皆さん、普段のご予算は?

今は普通にランチで1500円くらいだから、2000円でも及第点?

できれば1品1000円以下にしてほしい。とはいえ、慎重に選ぶのは最初の一杯・一品だけだよね。一杯目がアルコールだと、おかわりおかわりになって、結局、私の予算設定ってなんだっけ? ってなる。もしも私にお店のアドバイザーをお任せいただけるなら、一杯・一品は安く、特に最初の一杯はできるだけ安く。二杯目以降は、「こちらの白ワインは、辛口でおすすめです」とかなんとかで、高いのを飲ませちゃう。
お店選びについて、もうひと声、力の差を見せつけられそうなの、ないかな。

こほん。私クラスになると、お店の背景にあるプロデューサーとか、大手資本とかも見えてきちゃうわよー。なんならWEBやインスタとかで探ったりもしたり。

わかるー。調べて調べて、最後同じランディングページにつながると、ですよね、私の好みいいですよね、一貫していますよね、と納得する。

もしかして今日話に出てきたお店の背景にも……?

それはね……。
取材・文=別役ちひろ(店舗) 撮影=新谷敏司 イラスト=松本英子
『散歩の達人』2025年6月号より
N子はどんなお店に行ってる?