『562_colony』宮城の酒肴と、店主偏愛の燗酒と。[両国]
冷蔵庫には、「蔵王」や「宮寒梅」など宮城の地酒がずらり。「地元のお酒と郷土料理の魅力を伝えたく、2023年春開業しました」と米澤大輔さん。主に妻の悠子さんが手掛ける肴は、なめろうや鶏と根菜のクリームチーズ和えなど、ちびちびやれるTHE酒どろぼう。大輔さんは無類の燗好きで、和歌山の「菊御代(きくみよ)」や新潟の「鶴の友」などその土地土地の晩酌を支えてきた一升瓶も。BGMに流れる80~90’SのUKロックの熱気がまた、燗酒のいい肴になるのだ。
『562_colony』店舗詳細
『酒の店 ななや』驚がく魚介を目当てに酒の通人が集う[両国]
刺し盛りは天然サバを締めたものから、イクラ、スミイカなどその日の気分で四、五種盛り。これで650円って! 店主の井下広一さんいわく「妻の祖父から付き合いが続く豊洲の仲卸に、高級寿司店や天ぷら屋に行くような魚介を安く卸してもらえるんです」。話しながらさばくアナゴも、手で触れるとまだ動くほど新鮮な東京湾の一本釣り。こんなに良質な鮮魚を肴に、立ち飲みで一杯やれる幸せときたら。
『酒の店 ななや』店舗詳細
『日本ワインバー AXIS』は、日本ワインのストーリーテラー[浅草橋]
「生産者の想いを伝え、消費者の声を生産者に届けやすい、日本ワインを専門に提供しています」と店主。グラスの価格帯は1000円前後で、愛情に裏打ちされた説明は「イチゴキャンディのような甘み」「ヤクルトのような酸味」と分かりやすい。料理も白ワインを使ったカブト煮など一工夫ありつつも、どこかほっこりする品揃え。「日本ワインも地酒と捉え、肩肘張らず楽しんでほしいんです」。
『日本ワインバー AXIS』店舗詳細
『有限会社 大塚工務店 ワイン事業部』赤コーンの向こうに絶佳なる赤ワイン[浅草橋]
入り口の三角コーンには「作業中」の文字、棚には工事用ヘルメットで箸置きがボルト。これは一体? 「亡き父の工務店の屋号を継ぎ、車庫を改装しました。この屋号でいくなら内装もソレ風にしたいなと」と大塚雅則さん。都内フレンチの名店で20年近くギャルソンを務めており、ポルトガルの緑ワインや赤の微発砲まで珠玉のワインセレクト。チャージ・サービス料無しで気軽に一杯飲めるのも◎。
『有限会社 大塚工務店 ワイン事業部』店舗詳細
『蔵前 木由無(きゆな)』一人客にもやさしい深夜食堂[蔵前]
この日の鮮魚3種盛りは松前の本マグロに氷見の寒ブリ、青森の天然ヒラメ! しかも熟成で旨味がのっており、旨口中心に約15種揃う日本酒や、芋感どっしりの「六代目百合」、黒糖焼酎の「龍宮」とも好相性。「豊洲仲卸での修業時代、1日200匹近く魚をさばき、血抜きや保冷の仕方を学びました」と浅野大輔さん。カツサンド800円や帯広豚丼700円などシメも豊富で、食堂使いする客も。
『蔵前 木由無(きゆな)』店舗詳細
『NOMURA SHOTEN』濃厚な下町で出合う極上スピリッツ[蔵前]
紙屋の倉庫を改装し、開業。立ち飲みの客も多く、角打ちのラフな空気を纏(まと)いながら、お酒は日本各地から厳選されたスピリッツが100種以上も。「ラムやジン、メスカルまでクラフト系のお酒が中心。個性ある蒸留酒の味を楽しめるよう、カクテルではなくロックやソーダ割で提供しています」と店長のヨシさん。牧草感のあるアメリカのワイルダージンを楽しんでいたら、向かいの銭湯帰りの男性や下校途中の小学生が顔を出す下町具合も最高。
『NOMURA SHOTEN』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=丸毛 透
『散歩の達人』2024年2月号より