オーブンが生み出す至福の食感『エスポワール』[門前仲町]
きれいに四分割された厚めの食パン、さらに細かく途中まで包丁が入ってる。その切れ目から流れ込んだバターが、熱々ふんわり柔らかな内部までじんわり染みこんでる。サクッと焼き上がったパンの耳の旨さに思わずうなってしまう。1970年の開店当初からガスオーブンにこだわる理由は、最初の一口でわかる。この味が誰もが知る大手の食パンで出せるのか! 元パン屋という経験が編み出すトーストは、多くの超人気サンドイッチメニューに負けない味わいなのだ。
『エスポワール』店舗詳細
ポップアップトースターの達人『珈琲アロマ』[浅草]
1964年の開業当時、まだペリカンが三河屋と名乗ってた頃から小さい角パン一筋。そして昔ながらのポップアップトースター一筋。焼き具合を何度も確認し、その都度裏返し、すぐ脇のまな板と同じ色になったら出来上がり。おやつ感覚の人もいれば、ちょいと小腹を満たしたい人もいるので、あえて一枚売りなのも、ご主人の優しさ。きめ細やかなパンと浅煎りネルドリップのコーヒーの相性は抜群だ。「飽きのこない味とサイズなんです」。
『珈琲アロマ』店舗詳細
迫力の45㎜厚を優雅に食すひととき『珈琲道場 侍』[亀戸]
モーニングでしか知らない人は、ランチや単品のトーストにビックリするだろう。厚みばかりか切り方まで違う。やや薄めで斜め二等分するのは朝のみ、それ以外は厚切りトーストの横四分割カット。長いカウンターに並ぶロッキングチェアに座り、落ち着いた照明の中、ふとカウンター奥を見ると、洋酒の瓶がずらり。日が落ちればバーとしても利用できる万能選手。このトーストと雰囲気なら確実に飲める。トーストは新たな次元へ……。
『珈琲道場 侍』店舗詳細
細長トレイにフィットする斜め切り『自家焙煎 珈琲舎ロッセ』[町田]
ちょいと炙(あぶ)ったくらい、淡いきつね色に仕上げた厚切りパン。斜めにカットされて、まさにこの食パンのために誂(あつら)えたのではないかと言いたくなるような横長トレイにサッと載せる。穏やかな火の通り具合が優しい。添えられた塩の瓶にコーヒー豆が数粒入っているのが泣かせる。パンは近所で調達、しかも毎日取りに行くという。町田で最初のコーヒー専門店として開業し、今は家族2世代が、変わりゆく街で変わらぬ味を届け続ける。
『自家焙煎 珈琲舎ロッセ』店舗詳細
取材・文=高野ひろし 撮影=鈴木愛子