頬張ってにっこり!厳選素材の相乗効果『cafe CONVERSION』

ほっとけーきランチプレート1550円。サラダ・スープ・ドリンク付き。蜂蜜かメープルシロップを選べ、+350円でもう一方も追加可。
ほっとけーきランチプレート1550円。サラダ・スープ・ドリンク付き。蜂蜜かメープルシロップを選べ、+350円でもう一方も追加可。
草加新名物「Soka Senbei JANAI?!」も販売。市内のカフェ、ベーカリーをはじめ5店舗の商品と、今井さんの推しせんべいがセットに。
草加新名物「Soka Senbei JANAI?!」も販売。市内のカフェ、ベーカリーをはじめ5店舗の商品と、今井さんの推しせんべいがセットに。

運ばれてきた「ほっとけーき」を二度見。厚みに驚きつつほおばると、ふかふかな弾力にうっとりさせられ、那須高原の平飼い有精卵を生かしたシンプルかつ力強い味わいがにじむ。サラダは市内で有機野菜を育てる『Chavi Pelto』の採れたて。「葉物をいくつか組み合わせています。それぞれの個性を味わって」と店主の今井慶子さん。

11:00~18:00LO、日休。
☎048-928-0188

生地作りから焼きまで一貫製造『豊田屋』

草加せんべいジェラート550は県内の『Gelateria Bambola』とのコラボ商品。
草加せんべいジェラート550は県内の『Gelateria Bambola』とのコラボ商品。

草加せんべいの専門店。醤油せんべいは堅焼、堅焼大丸、特撰堅焼の3種類あり、原料の米も違えば、味や食感もさまざま。青さのり、唐辛子のようなバリエーションを出せるのは、一貫製造ゆえにフレーバーを生地に練り込めるから。草加せんべいジェラートは自家製醤油だれの風味と、かけせん(砕いたせんべい)のあと乗せサクサクにハマる。

8:00~20:00、無休。
☎048-922-2611

農家が引き出す野菜のポテンシャル『Chavi Pelto』

Chavi Bento1598円。自家栽培した野菜で出汁をとるスープ付き。デイジー畑スムージー540円。
Chavi Bento1598円。自家栽培した野菜で出汁をとるスープ付き。デイジー畑スムージー540円。

有機栽培農家の直売店に生食用の春菊など珍しい野菜がずらり。併設のレストランでは、その日の収穫物を見たうえで献立を考えているらしく、スイスチャードとパプリカの特製豆板醤炒め、カラフル大根の白味噌煮といった一期一会のメニューだ。ビニールハウスのテラス席で、これも目の前の畑で採れたのだと思ってかみ締めると、ますます味わい深い。

10:00~18:00(SNSで要確認)、日・月休。
☎048-951-7083

365日通っても飽きのこない品揃え『おーぐぱん』

右から小倉さんおすすめ、あんバターフランス260円。ピリ辛タコミートサンド320円。ナッツ・ショコラ380円。
右から小倉さんおすすめ、あんバターフランス260円。ピリ辛タコミートサンド320円。ナッツ・ショコラ380円。

シンプルな食事パン、具だくさんの総菜パン、おやつにしたいヴィエノワズリーなど種類豊富。しかも、代表の小倉拓馬さんは「生地はソフトからハードまで8種類作っています」とも。その苦労のおかげで、たくさんある中から選べる。具材の歯応えがごろごろ感じられるカレーパン260円。

9:00~18:00(売り切れ次第終了)、月休(不定休あり)。
☎048-959-9202

交わされるあいさつが清々しく響く『ecoma coffee』

中煎りのキャットストリートブレンド100g1050円~。
中煎りのキャットストリートブレンド100g1050円~。
パッケージのイラストは2種類から選べる。
パッケージのイラストは2種類から選べる。

旧日光街道のロースタリーカフェは朝から営業。「おはよう」「いってらしゃい」の声に元気をもらえる。「みんなのリビングだよね」という常連客の言葉にうれしそうなスタッフ一同。定番のキャットストリートブレンドは、酸味とコクのバランスが抜群。ハンドドリップ700円。

7:00~17:00(金は~18:30LO、土は9:00~18:30LO、日・祝は9:00~)、月休。
☎048-915-2026

カカオを感じる味はBean to Barならでは『ここます』

カカオラテ880円。濃厚なチョコレートドリンク。
カカオラテ880円。濃厚なチョコレートドリンク。
ここます オリジナル チョコレート 73% (rough)1600円。
ここます オリジナル チョコレート 73% (rough)1600円。
ここます 草加煎餅チョコレート1800円。
ここます 草加煎餅チョコレート1800円。

「昔からチョコレートが好き。かつてCA時代には、各国で食べ歩きました」と店主の増田恭子さん。退職後、アジア最古のカカオの産地とされるフィリピンで栽培を学び、帰国してからはフィリピンからダイレクトトレードしたカカオで自ら製造を行う。浅めの焙煎でカカオのフルーティさを生かし、華やかに仕上げたチョコレートが好評。

11:00~18:00、月・火休(臨時休あり)。
☎048-954-4641

揺るぎない伝統の中古びない魅力が光る『御菓子司しみずや』

草加宿まんじゅう200円。表面の緑は草加松原の松をイメージして色付け。
草加宿まんじゅう200円。表面の緑は草加松原の松をイメージして色付け。
地元ではて手土産の定番とされるかすていら1680円。
地元ではて手土産の定番とされるかすていら1680円。

江戸時代、大名行列が通った旧日光街道で創業。8代目の三田矩夫(つねお)さんは、約20年前から「今様 草加宿」をうたい、街づくりに励む実行委員会の一員でもある。当時、新たな草加土産を作ろうと立ち上がり、草加宿まんじゅうを考案。生地に山芋を混ぜた口溶けのいいまんじゅうの皮が、キメの細かいしっとりしたこしあんと口の中で一体化する。

9:00~16:00、月・火休。
☎048-922-2563

床から天井まで商品がぎっしり並ぶ『OUTLET CHEERS』

築50年ほどの元病院を自らリノベーションし、ビンテージ&アンティークショップに。オーナーの石田尚久さんは「自分で選んだインテリアを配置して空間を作るのが好き」だそうで、陳列の仕方から一つ一つのモノへの愛着も感じる。古今東西から集まった品々が石田さんの手でメンテンナンスを施され、値頃だが状態良好。

10:30~19:00、無休。
☎048-923-0155

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時を超え、脈々とつながっていく人々の営み

「その日やうやう草加といふ宿にたどり着きにけり」

松尾芭蕉『おくのほそ道』の一節である。この先の長い道のりを思い、旅慣れしているはずの芭蕉もさすがに心細くなったのか。江戸時代、草加松原は旅人がよく休憩スポットにしたらしいから芭蕉もきっと癒やされただろう。

松尾芭蕉翁像。
松尾芭蕉翁像。

現代では、カフェが旅人の疲れをほぐす。『cafe CONVERSION』では、普段着の地元常連客とキャリーバッグを携えたいちげんの旅行客が、同様にリラックスした表情。多分、家族連れやカップル、女性グループ、お一人さまのおじいさんなど、さまざまな人が利用しているから溶け込みやすいのだ。おかげで遠慮なく大口を開けて、「ほっとけーき」をもぐもぐ。ランチプレートの小鉢にはサラダが盛られ、野菜ごとに異なる味、食感が口の中を駆けめぐる。その旨を伝えると「『Chavi Pelto』さんの野菜です!」と、自分ごとのように喜ぶ今井慶子さん。「草加駅からそう遠くない場所の農家で、住宅地でもこんな力強い野菜を作れるんだなっていつも驚きます」。

駅前ロータリーにある草加岩清水。
駅前ロータリーにある草加岩清水。

マンションが立つ住宅地にもかつては畑が広がっていたとか。『Chavi Pelto』の中山拓郎さんに
聞くと、「うちは戦前から代々営んできた農家。私が子供の頃には、駅の辺りまで畑が続いていました」と教えてくれた。直売店には初めて名前を耳にする野菜も並べられ、どうやって食べるのか想像してわくわく。中山さんは、卸先からリクエストされればどんどん新しい作物にもチャレンジするという。直営のレストランで料理を担当するのは、妻のかんなさん。「畑の中に作った席でどうぞゆっくりしてください」と、隣接するビニールハウスに案内してくれた。まずひとくち、野菜の端切れを大量に使って出汁を取ったベジブロスのスープを飲むと、旨味がじわじわ〜。ああ、畑に感謝。

草加が米どころとして名を馳(は)せた時代もあった。米農家が自分たちの米で保存食を作り、それが草加せんべいの原型となったのだ。なお、最盛期には200軒ほどあった草加せんべいの専門店も「自分が物心ついた頃には減っていました」と、『豊田屋』3代目・豊田重治さんの息子で、4代目を継ぐ浩史さん。「それでも多いですけどね。子供の頃、友達の家もせんべい屋ってことがよくありましたし」と笑う。

草加せんべいの専門店には店内で手焼きする店も多い。写真は『高瀬煎餅店』。
草加せんべいの専門店には店内で手焼きする店も多い。写真は『高瀬煎餅店』。

旧日光街道を中心に広がる草加カルチャー

国指定名勝の草加松原。1986年には百代橋が完成。
国指定名勝の草加松原。1986年には百代橋が完成。

老舗は主に、旧日光街道に点在している。つまり、大名行列を間近で見られる一等地だったというわけだ。天保8年(1837)、『御菓子司しみずや』は餅菓子屋として始まり、最初は参勤交代の侍や日光社参の旅人を甘いものでもてなした。大政奉還から約160年経ち、今ならテイクアウトのあんしるこ(特製おしるこにあんこを溶かしたもの)が散歩のお供にぴったりだ。

「お向かいの『山崎印房』さんも古くからあるお店」と、『ecoma coffee』の吉岡順平さん。キャットストリート・ブレンドのパッケージイラストは『山崎印房』の看板猫をモデルに、草加在住イラストレーターが作成した。フレキシブルに世代を超えて仲良くできるのも草加の人のいいところ。「よく来てくれる年配の方は、もはやみんなのおじいちゃん」。

以前建設会社だった建物の立体看板。地震に強いからナマズ?
以前建設会社だった建物の立体看板。地震に強いからナマズ?

ちなみに、草加では公民連携のプロジェクト「そうかリノベーションまちづくり」が盛ん。2018年には『ecoma coffee』が、翌年には『おーぐぱん』がここから誕生している。本格的なデニッシュからちびっこに人気のあんぱんまで揃う『おーぐぱん』は、あっという間にたくさんのファンを獲得し、開店してわずか5年ほどで「地元に愛されるパン屋さん」として定着。新旧が軒を連ねる旧日光街道はトピックがめじろ押し。寄り道が増えてしまうのは、もうどうしようもない。

『OUTLET CHEERS』で品数の多さに圧倒される。
『OUTLET CHEERS』で品数の多さに圧倒される。

『OUTLET CHEERS』の2階にサロンを構える『HammockRefle (R) Kikuya』も気になる。ハンモックを使うオリジナルのリフレクソロジーを提供していて、布に包まれた時の心地よいホールド感で一瞬にして夢見心地。

駅の西側にある『ここます』は、Bean to Barの中でもフィリピンに特化しているのがめずらしい。「あえて厳密にはハンドピックせず豆の粒を揃えすぎないことで、焙煎中に味や舌触りに差が生じ、それが一枚のチョコレートになった時にアクセントになるんです」と増田恭子さん。

古いものも新しいものも手を取り合い、ゆるやかに混ざり合う草加。その合流地点にこそ新たなカルチャーが生まれるのだ。

取材・文=信藤舞子 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2026年3月号より