200円でスカッと爽快!『春日町バッティングセンター』[練馬春日町]
近年めっきり減り、区内でも今や貴重なバッティングセンター。1978年に創業したこちらは全10打席あり、80~120㎞(一部90~130㎞)の投球速度を選べる。ホームランの的を狙って景品ゲットだ!
●平日は25球で200円(3~11月の土・日・祝は20球)。9:30~22:00、無休。
☎03-3998-6981
ご近所さんがうらやましい、街の台所『やおやとおかずや たの』[小竹向原]
江古田で青果業を営んでいた田野さん一家が自宅を改装して2000年に開店。店の片面には、早朝から豊洲市場へ赴いて仕入れた野菜や果物が並び、隣ではコロッケや天ぷらなどの揚げ物、煮物、サラダなどを手作りして販売。お弁当640円~は好きなおかずが選べるぞ。
●10:00~19:00、日・祝休。
☎03-3956-7290
日常をポッと灯(とも)す甘い幸せ『菓子 とう』[小竹向原]
2021年開店の和菓子店はどらやき、最中、季節の上生菓子のみと潔い。「1つから気軽に買える、日常使いのお店になれたらと思っているんです」と店主の小坂さん。どらやきの中には店で炊いた北海道産大納言小豆。つるっとした粒感が小気味よい。
●11:00~18:00(売り切れ次第閉店)、火・水休。
☎なし
品揃えは産地にもご注目『Citronnier(シトロニエ)』[氷川台]
大きな窓辺に可憐(かれん)な花が飾られ、一見カフェのような風情の生花店。品揃えは定番の色を押さえつつも変わった品種がちらほら。店主の義母が育てたシャクヤクや地元ガーデナーが生産した枝物が並ぶことも。「地元産はお客さまに喜ばれるんです」。花瓶や手作りリースなども販売。
●10:00~17:00、日・木休。
☎03-6912-3324
夏の風物詩を焙煎して80余年『川原製粉所』[氷川台]
周辺農家が収穫した穀類の加工をするべく昭和15年(1940)に創業。春~夏は茨城や栃木などの国産大麦の麦茶の製造最盛期。レンガ造りの石窯に砂を混ぜて焙煎する伝統の砂釜製法による麦茶は、煎りムラが特徴。これが奥深い味わいに!
●直売コーナーあり。8:30~12:00・13:00~17:00、日・祝休(土は不定休)。
☎03-3991-1365
中華料理なのにネパールの味も!? 『中華レストラン みつい』[平和台]
創業45年の中華料理店になんとネパール料理が! 料理人の1人、キランさんが2011年から母国の味を10品ほど提供する。白湯のトゥッパ麺はこう見えて辛いが個性的でクセになる味。中華メニューは五目そばと餃子が人気だ。
●11:00~15:00・17:00~21:00(土・日・祝は11:00~21:00)、火・第2月休。
☎03-3933-4246
玄関先でひっそり販売中!『TOMO BAGEL』[氷川台]
パン作りが好きな佐野祐子さんが2023年に始めたベーグル店は、自宅の玄関先が販売スペース。日替わりで約10種類、あんこにチーズ、コーンにフルーツ、チョコなどさまざまな味わいが。柔らかくモチモチの食感は子供もご年配も食べやすい。
●9:00頃~売り切れ次第閉店、火・水休。
☎なし
驚きの白いミートソースに舌鼓!『パステロルナ』[氷川台]
北イタリアをイメージした店舗で20年営む小さなイタリアン。約10種類あるパスタはどれも魅力的だが、珍しいのはルナの特製ミートソース。生クリームをたっぷり使った、コクのあるまろやかな白いソースなのだ。
●11:30~13:30LO(土・日・祝は~13:45LO)・17:30~21:00LO、月・火(月1回)休。
☎03-5921-1686
季節のフルーツがロッカーに!『一里塚農園 農産物直売所』[練馬春日町]
一里塚地蔵が祀(まつ)られる環八通り沿いのプレハブ小屋には、一面コインロッカー。入っているのは、篠田政巳さんの6反ほどある畑で収穫された旬の果実や野菜。オレンジを掛け合わせたマイヤーレモン200円~や不知火(しらぬい)、せとか、ネーブルなど、柑橘類が豊富で、夏はブルーベリー、秋はキウイやカキなどがお目見えするとか。
●10:00~18:00、8月半ば~10月下旬休。
☎なし
練馬春日町のコンビニといえばココ!『コンビニエンスストア髙橋』[練馬春日町]
都営アパートの1階、自動ドアが開くとそこは、カフェでパン屋でこだわりの食料品や雑貨も買える独特な店。「コンビニという名の店を作りたかった。僕がパン、妻が料理担当なので一緒にやるならちょうどいいかなと」と髙橋諒自さん。パンは3種類の自家製酵母を使い分け、手ごねで作られる。
●11:00~18:00、火・水休。
☎03-5848-9127
生姜ひとすじのラインアップ『高山商店』[光が丘]
昭和10年(1935)に創業し、寿司店のガリを手掛けるメーカー。直売コーナーでは生姜の漬物、調味料、スイーツと多彩なオリジナル品が購入できる。「ガリ用の若い生姜を使うので筋が少なくて食べやすいです」と3代目の髙山幸治さん。
●9:30~18:00、土・日・祝休(祝日がある週は土も16:00まで営業)。
☎03-3990-1261
芸術を観て、作品づくり体験も!『光が丘美術館』[光が丘]
屋敷森に囲まれた1993年開館の私設美術館。日本画、陶芸、版画を中心に約500点を所蔵し、年4回展示替えをする。併設される陶芸教室「飯綱山陶房」では1時間で1点作陶できる体験教室もあり(要予約、3000円~)。美術館は入館500円。
●10:00~17:00(入館は~16:30)、月・火休。
☎03-3577-7041
憩いのカフェは頼もしい駆け込み寺!?『cafe & bar 東京珈琲相談所』[平和台]
丁寧にハンドドリップされる自家焙煎コーヒーは11種類。供されるこだわりのカップは陶器か磁器か選べるのがうれしい、憩いのカフェ空間。が、それだけでなく、マスターの荒木謙将さんはなんと熟練のカウンセラー。困りごとがあれば気軽に相談できる。
●12:00~20:00(木・金・土は~24:00)、第2・4日休。
☎03-6323-5589
牧歌的な農村風景が、今も容易に想像できる
出口ごとにほぼ海抜が違う小竹向原駅。練馬は平坦な台地と思っていたが、閑静な住宅地は予想外に起伏が激しい。おまけに区内を歩いてたはずが板橋区にいる。そうか、「小竹」町は練馬区、「向原」は板橋区か。2つの区がせめぎ合うのを感じて巡るのはゲームみたいで楽しい。
「創業当時、ここは板橋区でした。畑ばかりで米や麦が採れたそうです」とは、氷川台駅に近い『川原製粉所』の川原渉さん。工場で大麦の香ばしい焙煎の香りに包まれながら、戦後、板橋区から独立する前の牧歌的な農村風景を想像する。目の前の広大な城北中央公園のおかげで、その光景は意外と容易に思い描けてしまう。
「公園でランチならベーグルとスープのセットがお得ですよ」とすすめてくれたのは、住宅地の一軒家で営む『TOMO BAGEL』の佐野祐子さん。ん? トモさんじゃないの?
「よく言われますが、トモは私の父のこと。家主である父に敬意を払って店名にしました」。
玄関先から時々見えるトモさんの姿、アットホームな雰囲気に心がほころぶ。
環八に富士街道など何本も道が交差する練馬春日町駅では、『春日町バッティングセンター』でひと遊び。平日の昼下がりは、本腰の打撃練習派もいるが、息抜きかストレス解消かサラリーマン風男性もやって来る、ゆるゆるムード。よし、人目も少ない、安心してフルスイングしよう。
空振りだって気持ちいい。でもやっぱり時々当たると一層気分爽快だ!
大通りから脇へ入れば、イチョウ並木の参道に朱塗りの山門の愛染院。ボタンが見ごろで、境内の美しさは小京都かと思うほど。珍しい馬頭観音のある本壽院も青々とした芝生の庭が見事だ。ほかにも雰囲気のいい寺があるし、隠れ寺町に勝手に認定!
団地の印象が強いが、変化球の楽しみも待つのが光が丘周辺。
練馬大根のたくあん漬けから創業し今はガリ製造ひとすじの『高山商店』では生姜に魅了され、『光が丘美術館』では街の喧騒を忘れて芸術と対峙。
さて、田柄川緑道を歩くと、平和台。
「名前のとおり、この街は平和。ここに6年いますがパトカーの音を聞いたのは3回ほどしかありません」と、『cafe & bar 東京珈琲相談所』の荒木さん。本業はトラブル対策の専門家というが、「平和なのはいいことです。何も起きなければのんびりコーヒーを淹(い)れて過ごせますから」。
ごもっとも。すうっと体にしみるコーヒーにホッとひと息。派手さも刺激もなくていい。これでいいのだ。
取材・文=下里康子 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2024年6月号より