『Hanatama』その気持ち、花束にしますから
「その人が何を思っているかが大事」とは、店主の鯉沼心次(こいぬましんじ)さん。気さくな会話で気持ちを汲(く)み取り、旬の花で見目麗しく作る。妻・ゆきみさんは「最近、若い人が来ることも多いです」と、ぽつり。分かる。相談したくなっちゃうもん。
●10:00~19:00、火休。
☎048-832-0878
『coppe 22(にじゅうに)』飽き知らずのコッペはおやつにもごはんにも
コッペパンはレギュラーだけで実に22種! 「甘いおやつこっぺが人気ですね」とは、店長の石山美紀さん。いや、そうは言っても総菜たっぷりのおかずこっぺも魅力的じゃないですか。こりゃ、全種コンプを目指すしかあるまい!
●10:00~19:00、火・第2第3水。
☎070-9012-5019
『珈琲屋33(さんじゅうさん)』ここだけ少し、ゆったり時間
一歩踏み入れば、焙煎の香りがふわっ。豆を買いに来たつもりが、ひと休みしたくなる。「焼き菓子は妻が作ってて。ロゴの『33』は長男が描いたんです」と、店主の白石昌也さん。なんすか、そんなエピソード聞いたら、ドリップと焼き菓子のコンボ確定っしょ。
●8:00~18:00、不定休。
☎なし。インスタグラム:kaffee_ya.33
『Yono R よのあーる』肉料理が絶品な古民家ダイニング
「ヒューガルデンが大好きで」と、店主の服部(はっとり)麗さん。夫の嘉郎さんは「ビールに合う料理を」と、息ぴったり。名物のYono Rバーガーは、迫力満点だ。ガブリといけば、ステーキのごときパティの肉感に頬がにんまりゆるんでしまう。
●11:00~14:30LO・17:30~21:00LO、水・隔週火休。
☎048-711-7894
『ホップとリップ』モロッコ料理×地ビールにハマる
ファラフェルやブリワットといった前菜は「日本人の舌に合う味に」と、店主の瀬下(せしも)佳菜さん。頬張れば、スパイスと香草が口中埋めつくす。勢いのままビールを流し込めば、その相性たるや。最強か!
●11:30~14:30・17:30~23:00(土は~22:00)、日休。
☎048-767-5401
『でこぼこ書店』これが現代のテラコヤか!
店主の富井弥(わたる)さんは「人が集まる場を!」と催事スペースのある書店を開業。新刊に古本と、書籍の品揃え充実。店内で塾も開いてしまった! 立ち寄りたくなっちゃうね。
●12:00~19:00(土・日・祝は10:00~18:00)、火・第1第3水休。
☎なし。X:@decoboco_books
『立飲屋すぱろ〜』心ゆくまで飲めや、唄えや
激安の品書きに名を連ねる「1曲100円」が、異彩を放つ。「この辺、カラオケ少なくて」と、店主の水落翔也(みずおちしょうや)さんが導入した。89点ピタリで1杯無料とあり、挑戦者は多い。ときに談笑と歌声入り交じりカオスだが、妙に心和むのが不思議だ。
●18:00~翌3:00、不定休。
☎なし。インスタグラム:tatinomisuparo
「好き」に対して真っすぐで、おおらかな与野
本町通りの市場が街の起源と言われ、近代は自動車産業で発展。宿場町をルーツとする大宮・浦和に対し、与野は商業と工業の要所として独自進化を遂げてきた。そんな風土からか、この街には遊び心と創造力豊かな人が、多い気がする。
『ホップとリップ』の瀬下佳菜さんは、旅行先で食べたモロッコ料理に感動し、開業。「向こうは宗教上お酒はダメなんですが、ここは与野。禁断の美味ということで(笑)」と、看板にクラフトビールを加え、店の個性を強くした。
また、『珈琲屋33』の白石昌也さんは開業を決意するや自宅の六畳一間に焙煎機を設置。文字通り“モクモク”と練習していたという、なかなかイカした挿話を持っている。
そんな「好き」に対して真っすぐな人たちを受け入れる大らかさも、与野の魅力と言えよう。「ギラついてる人は他の街に行く」とは、『Yono R』の服部嘉郎さん。「『みんなで街を盛り上げたい』って人が多いです」。『Hanatama』の鯉沼心次さんは「祭り好きだね」と、にっこり。毎年の大正時代まつりには、わざわざ帰省する人も多いんだって。もはや、地元愛ダダ漏れ。それが、個々の「好き」を尊重する土壌になってんだね。街じゅうが、生き生きとしてるわけだ!
取材・文=どてらい堂 撮影=鈴木奈保子
『散歩の達人』2024年5月号より