極私的No. 1ギャグ漫画『すすめ!! パイレーツ』とは何だったのか
「あなたのナンバーワンギャグ漫画は何ですか?」と訊かれたら、答えは決まっている。江口寿史の『すすめ!! パイレーツ』(以下、『パイレーツ』)だ。『パイレーツ』は1977〜80年に週刊少年ジャンプで連載していた江口寿史のデビュー作。江口先生が中3のとき引っ越した千葉県を舞台に、架空のハチャメチャプロ野球チーム「千葉パイレーツ」を描いた作品。江口先生はこのとき弱冠21歳。集英社の執筆室(カンヅメ部屋)の主となり、1年で18キロも体重が増えたという。この時代のジャンプは、日本の3大新聞を凌駕する部数に迫っていた。当時の連載陣は、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『東大一直線』、『サーキットの狼』、『ドーベルマン刑事』、『悪たれ巨人』、『プレイボール』(ちばあきお!)、『さわやか万太郎』、『キン肉マン』、そして『リングにかけろ』(車田正美の最高傑作。これに関しては稿を改めたい)。錚々たる顔ぶれで300万部に到達。ピークは94年末で、653万部を記録する。よく言われることだが、当時はギャグ漫画全盛期だった。チャンピオンの『がきデカ』(山上たつひこ大先生。当然『パイレーツ』は影響下にある)、『らんぽう』、『マカロニほうれん荘』(近年再評価)。サンデーの『できんボーイ』。ジャンプは『1・2のアッホ!!』(日本初の野球をベースにしたギャグ漫画)、『東大一直線』、『こち亀』。そんな中、『パイレーツ』は現れた。