魚好きが小躍りする安さと顔ぶれ『家庭料理 たんぽぽ』[新御茶ノ水]
素っ気ない店構えながら、実は界隈で40年以上続く老舗格で、実力が半端ない。先代の最初で最後の弟子となった料理人が、日々、築地で魚を目利き。日ごと変わる新鮮なネタを拝むなら、刺し盛りがお得だ。サーモン中落ちの甘さ、赤貝の香味、〆サバの風味に加え、アワビの酒蒸しなどがお目見えすることも。
『家庭料理 たんぽぽ』店舗詳細
受け継がれる丁寧な味わい『ロシア料理 サラファン』[新御茶ノ水]
鮮やかな深紅のボルシチにまず目が釘付け。火の入れ方ひとつで変わるビーツの色を損なわぬよう、10種類の野菜とともに炒めて漉(こ)したペーストに、牛と鶏と野菜のブイヨンを注ぐ。サワークリームを溶かしながら、黒と白のロシアパンを浸し食べれば、滋味深い味にうっとり。春巻き形のピロシキに、素朴な甘みのパン生地に手が止まらない壷焼きなど、どれもロシア出身の先代の味。これに惚れた戸田雅己さんが今、味を紡いでいる。
『ロシア料理 サラファン』店舗詳細
越後とフレンチのうれしい出合い『葡萄酒場 ICHIGOYA』[新御茶ノ水]
フレンチを修業した店主の柳瀬浩栄(ひろえ)さんは、客の「新潟っぽいスパゲティはないの?」の声をヒントに故郷越後の食材を用いるように。野沢菜にミカンの皮を加えた魚沼郷土料理の「きりざい」は、匂いあっさりの魚沼産大力納豆と合わせてスパゲティに。雪の上で唐辛子を発酵させたかんずりを加えれば、やわらかな辛みが口中に広がる。新潟名物のっぺは、冷やしにするときはワインビネガーで仕上げる。これが絶妙に合うのだ。
『葡萄酒場 ICHIGOYA』店舗詳細
毎日生まれる真のマリアージュ!『Bistrot Queue Leu Leu 花澤商店』[新御茶ノ水]
漫画『小さな恋のものがたり』のチッチとサリーみたいな、花澤広史シェフとソムリエの由紀子さん。ともに東北出身で、シャンソンが流れる店内に、ほんわか和みの方言が交差する。季節の定番、鶉(ウズラ)とフォアグラを使う1品は、「うちのシェフ、キノコマニアなの」と言うように、パイの下にトランペット茸がどっさりだ。このお皿に合わせてマダムがこれ! と選ぶのは、爽やかでふくよかな果実味広がるコット種100%の1本。五感に響くマリアージュに乾杯。
『Bistrot Queue Leu Leu 花澤商店』店舗詳細
二人三脚で進化し続ける注目の店『蕎麦切 森の』[本郷三丁目]
定休日も厨房に入り仕込みに精を出す店主・森野浩正さんを、「頑固で真面目!」と評する妻の恵さん。「同じ舟に乗ったからには、一緒に楽しくやりたい」と、明るく実直な接客で応援する。頑固さが表れる出汁は、香り高い常陸秋そばに合わせ、枕崎の作り手から届く半年寝かした本枯節を使用。また、鮎の焼浸は、鮎を焼いた後、3時間蒸し、さらに煮て骨まで柔らかく仕上げる。夫婦の粋な競演を眺めるだけで、酒がすすむ。
『蕎麦切 森の』
つるりもちもちの食感に惚れる『竹や』[御茶ノ水]
細打うどんは讃岐とは異なり、舌触りなめらかで、噛むともっちり。しっかり踏んで1日寝かすことで、稀有な食感を生み出す。かつお節と昆布に干しシイタケを加えた出汁にも、しみじみほっこり。人気はえび天カレーで、牛乳のまろみ、後を引くスパイス、さっくり軽いエビ天がアクセント。思わず無心になる一杯だ。夜は一品料理も目白押しで、そば前ならぬうどん前料理もはずせない。
『竹や』店舗詳細
おいしい辛さにスプーンが進みます『セイロンドロップ』[御茶ノ水]
スリランカ人の店主・ヴェルさんがスリランカ紅茶専門のティールームとしてオープン。ランチともなれば行列ができるほどカレーの人気も高い。ヴェルさんのカレーは、モルジブフィッシュでダシをとる伝統的なスタイルながら、30種以上のスパイスをブレンドしたガツンと辛くて香り高いオリジナル。つけあわせのポルサンボル(辛いふりかけ)や野菜などを混ぜながら食べると味や辛さが変化して楽しい。食後の紅茶やスイーツも絶品!
『セイロンドロップ』店舗詳細
旬魚と酒をアットホームな割烹で『酒菜 向日葵』[水道橋]
コチのうす造りを中心に、ハモの湯引きや貝類を丁寧に盛り合わせたお刺し身は、絵のような美しさ。ちりばめたミョウガ、海藻、レースみたいな切り口のハスイモも、皿上のすべてがピチピチだ。「素材が良いのは当たり前。どう喜んでいただくかを考えています」と大将の加瀬眞孝(まさなり)さん。熱い板前魂の持ち主で、ふと耳にしたお客の好物を、ある時そっと出すサプライズも企てる。料理に合うお酒は、唎酒師の若女将に選んでもらおう。
『酒菜 向日葵』店舗詳細
大人のたしなみ、仕事帰りの一杯飲み屋『スタンドヒーロー』[水道橋]
見よ、この厚さ! これはもうハムカツ界におけるひとつの究極だ。この厚さでも注文してすぐに出てくるスピード感は、そのままでも食べられるハムだからこそ。水道橋駅すぐの立地の良さも相まって、17時の開店と同時に続々と仕事帰りのサラリーマンがやってくる。18時にもなると満席となる日も多い。常連さんの中には開店当初から11年、週に4、5回来続けている人もいるほど。「ここは調理に心がこもってるからね!」。
『スタンドヒーロー』店舗詳細
トッピングで楽しむ懐かしの欧風『ボナッ』[水道橋]
チキンベースのブイヨンと溶け込んだ野菜の旨味を生かした、油分ひかえめの欧風カレーに、多様なトッピングを加えて楽しめる。野菜・納豆カレー900円は、納豆のまろやかさ、野菜のシャキシャキ感がさっぱりめのカレーに意外なほどマッチする。「近所のおばあちゃんも食べに来る」「常連に女性が多い」という話にも納得の、ほっと安心する懐かしい味だ。なお若い学生も「むしろ新しい味」と喜んで食べているそう。
『ボナッ』店舗詳細
【バーガーはテイクアウト】甘辛醤油ダレが独特でおいしい!『新潟カツ丼 タレカツ神保町本店』[水道橋]
ただでさえ新潟の誇る食文化「タレカツ丼」を東京で食べられる店が少ないのに、それを豪華にもバーガーで食べさせてくれるなんて!このバンズの分厚さ、ムッチリ感もちょっとほかにないですし、そもそもタレの甘辛具合、カツへの絡み方もバッチリだと思います。衣のサクサク感も残っていて、食感のアクセントにもなっています。ちなみに少し離れたところにあるすずらん通り店では、本店にはない「タレカツサンド」もありますよ。
『新潟カツ丼 タレカツ神保町本店』店舗詳細
【テイクアウト】蓋が閉まらないのもご愛嬌!『旅』[水道橋]
高架下の立ち飲み屋が、日中だけ弁当屋に。料理上手のお母さんが腕をふるい、朝はおにぎり、昼は鮭弁当を格安で提供する。入れ物に収まり切らないほどのボリュームは、「いっぱい食べてね」という真心の表れ。
『旅』店舗詳細
【テイクアウト】餃子カレーは愛情満載の岩間家の味『arash~exoticdining~』[水道橋]
昭和の頃、岩間家のおばあちゃんが家族のために作った餃子。これを再現すべく、「おいしくな~れ」と唱えながらじっくり手ごねする。牛と豚の合いびき肉を使用し、その旨味を引き立たせるため皮は薄く。カレーをつけて食べても◎。
『arash~exoticdining~』店舗詳細
取材・文=かつとんたろう、神田ぱん、teamまめ(佐藤さゆり・松井一恵・信藤舞子)、阿部栄一郎、速志 淳、山内聖子 撮影=高野尚人、阿部栄一郎、オカダタカオ、井上洋平、小野広幸、丸毛 透、関 尚道、鈴木俊介