【川越エリア】
『Little Edo Coffee』老舗酒店でゆるやかにカフェが拡張中
道端の看板は柳屋酒店の文字。でも店に入れば、コーヒーの香りが鼻をくすぐる。店主の鵜野友大さんは「創業70年の酒屋は父が現役で続けてますが、僕はコーヒーがやりたくて」と間借りし、2023年7月にカフェ空間を拡張。一面の窓に向かうソファ席がラグジュアリーだ。ラテをすすれば、東松山のロースターから仕入れたスペシャルティコーヒーのすっきりした苦味を、ふんわり泡が包むよう。さらにフレンチ出身の兄も参戦、フードの充実化も楽しみだ。
『Little Edo Coffee』店舗詳細
『百足屋(むかでや)』かぐわしき川越の今昔を味わう
黒漆喰仕上げの蔵造りが風格を漂わせた店構え。明治29年(1896)築の路面に面した店蔵は、川越周辺の民芸品を揃える雑貨店だが、隣の門扉はカフェへの入り口。大正期にかけて建てられた木造家屋、明治後期の文庫蔵が奥へ延び、蔵の壁、木枠のガラス戸、庭を眺めてお茶が楽しめる。もとより川越はお茶の産地。河越抹茶を当世風にアフォガードで味わえたり、席に着いたまま自分で点てられたり。川越の和文化をゆるゆる体験したい。
『百足屋』店舗詳細
『RAG CAFE Ragged edge coffee house』旅するカフェで世界を味わう
猫とバイクを愛する渡邊剛政さんと、北欧留学経験のある夕衣さん夫妻が「旅気分を味わってほしい」と、地球儀やトランクをディスプレー。フェアトレードや、炭火で手炙(あぶ)りする自家焙煎コーヒーを軸に、「本場の味というより、アレンジ」と笑いつつ、北欧のおやつ、パキスタン出身の知人のレシピを再現したビリヤニやカレーなど、旅心くすぐる味揃い。川越周辺の地粉や果実を用いたスイーツがホームのようで、まったりとボーダーレスな時間へと誘われる。
『RAG CAFE Ragged edge coffee house』店舗詳細
『あぶり珈琲』専属コーヒー鑑定士と店主が厳選するコーヒー
由緒正しき珈琲専門店。店名の「あぶり」とはフランス語の「abri=隠れ家・避難所」に由来している。「訪れる人に豊かな1人時間を過ごしてほしい」と願う店主の林さんによるセルフビルドの内装はセンスが光る。穏やかで居心地がよく、まさに“ぜいたくな暇つぶし”を体感できる場所だ。専属のコーヒー鑑定士と店主が選んだ豆を、毎日自家焙煎して作り上げるコーヒーは地元の人にも観光客にも人気。
『あぶり珈琲』店舗詳細
『音楽喫茶アマンダ』香味と音粒にとろける時間
階段に誘われると、カフェ空間。ソファ椅子とボックスのベンチシートが窓辺に設えられ、幻想文学の本棚が隅に控える。静けさを埋めるのは、ピアノ曲を中心とした静かな楽曲。レーベルや演奏家の聴き比べもでき、ファンにはたまらない。真空管アンプと自作スピーカーにより、温かく丸い音粒がきらめくようだ。お供には、ショウガを隠し味にしたスパイシーなチャイとアップルパイを。紅玉リンゴの甘酸っぱい香りにもキュンとなる。
『音楽喫茶アマンダ』店舗詳細
『Banon』わくわくとまったりを満喫!
築100年と噂(うわさ)の木造の店前に「喫茶とあれこれ」の文字。テーブルの間に、ドイツ製木工雑貨、古道具、手作り靴下などが同居する。「好きなものを集めたらこうなりました」と朗らかに笑うのは、古い街並みにほれて、2014年より店を始めた白土(しらつち)真弓さんだ。旬の果実や狭山茶を、日替わりケーキやドリンクに用い、ハンドドリップのコーヒーは作家の器で供される。「でも、誰の作か忘れちゃった」。のどかな空気にとどまりたくなる。
『Banon』店舗詳細
『バニトイベーグルカフェ』小麦香る、ずんぐりむっくりベーグル
もともとパン作りが趣味だったオーナーの加島裕子さん。「作り過ぎで、食べてくれる人がいなくなって(笑)」とベーグルの移動販売をはじめ、今では人気の路面店となった。ベーグルに使うのは北海道産の小麦粉。きめ細かく、より多くの水分を閉じ込められるため、従来のものよりモッチモチに。「ふっくら感を楽しんでほしいので、径を小さくぷっくり仕上げています」。1階でテイクアウトするもよし、2階でサンドイッチとして楽しむのもさらによし!
『バニトイベーグルカフェ』店舗詳細
『Ehon Cafe イングリッシュ・ブルーベル』ここはまるでリトル・イギリス
バラのツルやハーブに彩られた瀟洒な外観に誘われ、中に入ればイギリスのティールームのような雰囲気。「児童文学や絵本が好きで、そのうち児童文学が盛んなイギリスの文化全体が好きになって」と店長の片居木薫さん。店内右手の棚は約1300冊の絵本で埋め尽くされ、自由に手に取り購入できる。イギリスの田舎のスコーンのように大きなシナモンロールスコーンを片手に買った絵本をパラパラ――そんな優雅な時間がここにはあります。
『Ehon Cafe イングリッシュ・ブルーベル』店舗詳細
『さつまいもCafe』老舗和菓子店が運営する文化財指定の蔵喫茶
埼玉県を代表する和菓子店『くらづくり本舗』が営む唯一の喫茶処、『さつまいもCafe』。市の有形文化財である蔵を利用した空間は、まるで時代をタイムスリップしたかのような雰囲気だ。和菓子店の商品を活かした甘味だけではなく、秘伝のレシピを守りながら作り上げるわっぱ飯「蔵飯」や、その他の食事メニューも豊富にある。しっかり食事をしたい時、小腹が空いた時と、いつでも足を伸ばしたいメニューが揃っている。
『さつまいもCafe』店舗詳細
『アートカフェエレバート』レトロな洋建築で味わう厳選コーヒーとビール
一際モダンな雰囲気を醸し出す洋館建築に入る『アートカフェエレバート』は、2007年に美術館の跡地で開店した。蔵の雰囲気を残した店内は、地元画家による水彩画が点在し、落ち着いた雰囲気。洋建築の外観とは異なる様相を楽しめる。キーコーヒーのマイスター店舗でしか扱わない貴重なコーヒーをはじめ、川越産さつまいもをふんだんに使用した「自家製さつまいもプリン」、気鋭のクラフトビール「COEDOビール」を多種類のメニューを揃える。
『アートカフェエレバート』店舗詳細
『カフェマチルダ』熱々パンケーキと懐かしクリームソーダ
中学の同級生2人で始めた、パンケーキ専門のアメリカンカフェ&ダイナー。店内の鉄板で焼き上げるパンケーキは昔ながらの薄くてもちもちの生地。人気のスイーツメニューの他に、バリエーション豊かでボリューミーな食事系メニューも揃える。キッシュなアメリカン雑貨が並ぶ雰囲気満載の店内で、ビッグサイズのメニューを頬張れば、気分はすっかりオールドアメリカンに。「パンケーキを日常の食事の一つにしたい」という店主の2人の願いから、モーニング・ランチ・ディナーと朝から晩まで長い時間楽しめるはうれしいところだ。
『カフェマチルダ』店舗詳細
『CAFE & SPACE NANAWATA』食と芸術の文化交流スペース
パティシエである妻・淑子さん、美術館で学芸員として働く夫・幸宣さんの願いを叶える形で始めた『CAFE & SPACE NANAWATA』。それぞれの持ち味を活かすためカフェとギャラリーを同空間で営んでいる。「生産者の顔が見える素材」にこだわったエクレアや焼菓子の数々は、パティシエ淑子さんの真骨頂の品。食事メニューも充実だ。幸宣さんが自ら企画する芸術家の個展やサロンコンサートは、季節に応じて開催される。食との交流だけではなく、芸術との交流もできるこの空間は、訪れる人それぞれの楽しみ方を見つけられる。
『CAFE & SPACE NANAWATA』店舗詳細
『glin coffee』手にするだけで心躍る多彩なメニュー
“1杯のコーヒーを介してワクワクした時間と場所を提供したい”という想いで開店した、川越近郊で展開する気鋭のコーヒー店。直焙煎所では豆の選定作業や焙煎も行うほど力を注ぐ。コーヒー以外のドリンクや人気メニューのかわごえコッペパンなど、見た目や色合いも鮮やかな、手にするだけで心躍る商品を取り揃えている。
『glin coffee』店舗詳細
/定休日:無/アクセス:西武鉄道新宿線本川越駅から徒歩15分
【ちょっと足を延ばして】
『onocafe』農家の庭先が農園野菜カフェ
「使う野菜は全部、自家の無農薬栽培です」と小野夫妻は、料理人の真智子さんをはじめとした仲間を引き込み、2023年8月にカフェを誕生させた。場所は『小野農園』の庭先。青色のトレーラーハウスで注文し、納屋改装の粋な空間で味わうオープン&牧歌的風情も魅力だ。「品種でも香味や水分が変わるので」と、都度レシピを変えたベジランチ、ベジスイーツがずらり。素朴なカップに注がれた川越紅茶のやわらかな香りと一緒にのんびり味わいたい。
『onocafe』店舗詳細
取材・文=林さゆり、鈴木健太、佐藤成美(風来堂)、永見薫 撮影=木村心保、加藤昌人、金井塚太郎、永見薫、佐藤侑治