【小金原中央商店街】団地の生活を支え、彩りを添える
小金原団地に隣接する商店街。駅から徒歩30分くらいと離れてはいるが、バスでも来られるし、何より到着した時の達成感がひとしお。
『ベーカリーモール』『一汁三菜』のような古参に、2021年にオープンした『pâtisserie omotyabako』など新しい店も加わり、あらゆる世代が楽しめそうだ。『ダガシヤダイチャン』では、ちびっこが、握りしめた小銭とカゴに入れた駄菓子を交互に見て、あと何個買えるか暗算している姿がなんともかわいらしい。
●JR常磐線北小金駅から新京成バス「バス案内所」行き約13分の終点下車1分。千葉県松戸市小金原6丁目
小銭を握りしめて駄菓子を選ぶ楽しみ『ダガシヤダイチャン』
商店街に電車? 実はこれ、昔の駅舎を模した店舗で、駄菓子屋だ。月1、2回の営業日には開店前から子供たちや付き添いの大人、童心に帰った老若男女が列を作り、大盛況。ホームの壁面にはぎっしりと駄菓子やアイドルのブロマイドなど商品が詰め込まれ、レトロゲームが並ぶ車内にはピンボール式の運だめしコーナーも。「みんなの笑顔がうれしい」と、ダイチャンこと店主の大村將英さん。
13:00~17:00、不定期営業(月1~2回、日曜に営業)
千葉県松戸市小金原6-2-1
☎なし
営業日などの詳細は、公式HP(http://www.dagashiya-daichan.jp/)参照
種類豊富なパンに囲まれ、大興奮『ベーカリーモール』
創業約45年。当時スタッフだった前田秀章さんが2000年頃に店を引き継ぐと、フランスパンをはじめ、商品の種類がどんどん増え、今では約150種類に。毎日通う常連も多いが、全品制覇するのは難しい。一番人気のちくわロールはもちろん、「アーモンドクリームを挟んだクロワッサンバターケーキもおすすめ」と前田さん。総菜パンはどれもサイズが大きめで、おなかいっぱいにしてくれる。
9:00~19:30、日・祝休
千葉県松戸市小金原6-5-22
☎047-342-9928
野菜のケーキも王道も気になる『pâtisserie omotyabako』
ときめきを胸にショーケースを眺めているとふと目に止まった、ねぎのティラミス。さらに季節野菜を取り入れたケーキがいくつかあり、農家から直接仕入れた新鮮でえぐみのない野菜を使っているとか。「意外なおいしさに驚きつつ、楽しんでほしいです」と内田夫妻。ショートケーキをはじめ、王道も素材を存分に生かしたフレッシュな味わい。マドレーヌなどの焼き菓子は手みやげにぴったり。
10:00~22:00(連休最終日は~19:00)、不定休(SNSで要確認)。
千葉県松戸市小金原6-2-10
☎047-369-7768
Instagram:@patisserie.omotyabako
どこか懐かしくて、ホッとする味『一汁三菜』
「おばあちゃんの家で食べるごはんみたいって、よく言われます」。注文を受け、ショーケースにある照りっとしたかぼちゃ煮をパックに詰めながら、「たいしたことはしていないんですよ。家庭料理の延長」と、店主の小林葉子さんは笑う。とはいえ、丁寧に形良くカットされた野菜にはしっかりと味が染み込んでいる。太さのある房総ひじきを口に入れるとふっくらした食感に癒やされる。
10:00~19:00、水休。
千葉県松戸市小金原6-2-9
☎047-349-4181
【亀有銀座商店街振興組合(ゆうろーど)】亀有駅前に広がる活気あふれる商店街
全長約200mの通りに飲食店や食料品店、花屋、ブティックといったさまざまな店が連なる。なかでも『FOOD PLACE ITO』は4代続く八百屋。創業者はこの界隈でリヤカーを引き、野菜を売っていたという。
『うなぎ川亀』も昔からある。常連ともなればさすがによく分かっていて、ちょうど焼き上がる頃に来店。
2020年には、亀有出身の阿部翔平さんが商店街に『CRAFTICE』をオープン。「子供時代の風景が残っていてうれしいです」。
●JR常磐線亀有駅から徒歩1分。東京都葛飾区亀有3丁目
地域の食を長年支える老舗青果店『FOOD PLACE ITO』
3代目の伊藤和宏さん、4代目の夏海さんが周辺の市場を回り、野菜や果物を仕入れ。ジャガイモ1つとっても複数の品種を揃えるなど、随所に目利き力が感じられる。小ぶりな野菜を「使い切りサイズ」として詰め、100円で販売するお買い得商品も人気。「地場産業も応援したい」と、加工食品のコーナーには『金亀食品加工』のこんにゃくを置く。
10:00~19:30(祝は~19:00)、日休
東京都葛飾区亀有3-32-4
☎03-3602-1480
Instagram:@food_place_ito
うなぎを焼く香りが通りに漂う『うなぎ川亀』
タレが焼ける、香ばしくて甘い香りに誘われる。じっくり蒸してから焼き台にのせるそうで、裏表に返す際「柔らかくなった身が壊れないようにそっと動かすのが肝心」と4代目の仲林孝行さん。毎日11時過ぎにうなぎを焼き始め、12時前頃にそれが終わると、続いて串物に取り掛かる。きも焼き432円、ひれ焼き216円は蒸さずに焼く「地焼き」。焼きたてを食べ歩くのも醍醐味の1つ。
11:00~18:00、水休(不定休あり)
東京都葛飾区亀有3-21-7
☎03-3601-3507
目当ては季節感満載のジェラート『CRAFTICE』
ジェラートは季節の果物を使い、素材に合わせてミルクベースをカスタムしながら店内で一から製造。素材の良さが重要で、店主の阿部翔平さんは「市場に出回らないものは、直接農家に買いに行きます」と熱心だ。フレーバーによって砂糖を使い分け、甘くなりすぎないようバランスを調整。冬~3月初旬は、ジェラートにも使用している茨城県産「誉印のさつまいも」を焼きいもにもしている。
11:00~19:00LO、無休
東京都葛飾区亀有3-19-5
☎なし
Instagram:@craft_ice_coffee
【金町末広商店会】小体な店々が並び、温かい生活感がにじむ
住宅地が近いため、昼夕のピーク時以外はとてものどか。児童公園で空を見上げて、『mikiya』のおにぎりを頬張るのが至福のひとときだ。「祖父がここで『三㐂屋米店』を営んでいました」と、店主の山本友美さん。
商店街はここ10年ほどで代替わりの時期に入り、空いた店舗に「地元で店を始めたい」と『WAO』のようなカフェもオープンしている。老舗の『島村煎餅』では3代目がせんべいを手焼きし、看板猫のみぃちゃんが女将と一緒に店番をする。
●JR常磐線金町駅、または京成電鉄金町線京成金町駅から徒歩3分。東京都葛飾区金町4~6
バリボリといい音がするせんべい『島村煎餅』
昭和8年(1933)から続く、商店街きっての老舗。看板商品は昔ながらの堅焼きで、3代目が今も変わらず手焼きしている。顎に力を入れてかじるとバリッと威勢のいい音が響き、それでいて歯切れが良く、噛(か)むたびに米の旨味がふわり。長年注ぎ足してきた醤油だれに引き立てられ、銘柄米のふくよかな風味が口の中に広がる。他に、海苔付き、子供にも人気なざらめ、香り高い抹茶など全11種。
9:00~18:00、不定休
東京都葛飾区金町5-13-1
☎03-3607-1804
あふれる素朴さにみんなほっこり『mikiya』
店頭に、有機米のおにぎりがずらり。昼時になると、よく来るという小さな子供が母親に手を引かれてやって来て、チーズやおかかが入ったお気に入りを指差す姿も。腹ペコならボリューミーなスパムにぎりか、自家製の梅干しを使った玄米うめ210円を。圧力釜で時間をかけて炊き上げた玄米はむちっとして噛み応えがあり、旨味が強く、腹持ちがいい。おかずセット410円。豚汁300円。
7:30~16:00(土は10:00~)、日・月・祝休
東京都葛飾区金町5-14-7
☎03-5876-3585
Instagram:@mikiya2019
ピュアで朗らかな甘みにうっとり『たべものと日用品 WAO』
自家製アイスと生クリームに、果物やメレンゲなどを組み合わせたヴァシュラン(内容は季節によって変更)。見目麗しいのにどこか親しみやすい味わいがするのは、店主・和田麻子さんが「家族のためによくお菓子を作っていたから」かもしれない。手を加えすぎず、真っ直ぐに素材の魅力を引き出している。ちびっこには、2軒隣の姉妹店『アコルタージュ』(木・金・土営業)のアイスが好評。
11:00~16:00LO、火休
東京都葛飾区金町4-23-11
☎03-5876-3167
Instagram:@tabemono_to_nichiyouhin_wao
取材・文=信藤舞子 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2025年3月号より