一般麺食いもプロも集う、楽しき麺会所『うどんスナック松ト麦』[駒沢大学]

出汁はいりこやウルメイワシに加え、ドライトマトで旨味を追加。つゆの基本は目黒の『すずらん』に師事。しっかりと茹できり、でんぷんでコーティングされた麺の“とろみ”が心地よい。ごぼ天は+200円。
出汁はいりこやウルメイワシに加え、ドライトマトで旨味を追加。つゆの基本は目黒の『すずらん』に師事。しっかりと茹できり、でんぷんでコーティングされた麺の“とろみ”が心地よい。ごぼ天は+200円。

うどんライターの井上こんさんは、小麦愛が極まり店を開業。壁には今まで打った品種20種の名札が! かけ600円を頼むと、この日打った岩手・ネバリゴシはムニュッと吸い付く舌ざわり、滋賀・びわほなみはもちもちと小麦による食感の違いに驚く。 「全国の小麦の魅力を伝えられたら。目指すは小麦のアンテナショップ!」 と井上さん。この麦ヲタぶりに引かれやって来た他のうどん店の店主も一般の麺好きもみな笑顔。麺&PEACEな空間がここにある。

スナックだけあり、肴も充実。〆サバガリなどおまかせ3種1000円。淳子サワー600円。
スナックだけあり、肴も充実。〆サバガリなどおまかせ3種1000円。淳子サワー600円。
「1日2種小麦を打っていて、それぞれ温・冷を選べます」と店主。
「1日2種小麦を打っていて、それぞれ温・冷を選べます」と店主。

『うどんスナック松ト麦』店舗詳細

住所:東京都世田谷区野沢2-26-5 野沢ビルB1F/営業時間:17:00~22:00(土は12:00~15:00・17:00~22:00)/定休日:火~金/アクセス:東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩9分

もちもちじゃなくて、“餅”なのだ『餅うどん 功刀屋』[旗の台]

なんだなんだ、この食感は! 口の中が微笑んでるという、不思議な感覚が、どんどんおいしさに変わる。
なんだなんだ、この食感は! 口の中が微笑んでるという、不思議な感覚が、どんどんおいしさに変わる。

「新しいうどんを作りたいんです!」 と店主の功刀(くぬぎ)さんはキッパリ。手打ちうどんを歯応えの有無だけで語られたくないと言う通り、ここの麺を噛んだ歯が感じるねっとり感は、他では味わえない。小麦粉から水にまでこだわった素材と、圧力鍋で茹で上げる絶妙の塩梅から生まれる食感と風味。上品な薄味の出汁と味を染ませた牛肉と、新感覚の弾力を備えた麺と融合する牛肉餅うどん740円の一杯に、お店が掲げる餅つきマークの意味を再確認するのだ。

概念を超えたうどんを追求する功刀さん(中央)。餠つきのイラストがかわいい。
概念を超えたうどんを追求する功刀さん(中央)。餠つきのイラストがかわいい。

『餅うどん 功刀屋』店舗詳細

住所:東京都品川区旗の台2-7-4/営業時間:11:00~14:30・18:00~19:30/定休日:無/アクセス:東急大井町線・池上線旗の台駅から徒歩1分

おなかも目も喜ぶうどん食堂『自家製さぬきうどんと肉 甚三』[大門]

養豚場を巡ってたどり着いた林SPFポークを豪快に使った肉かけ。これでエネルギー充塡(てん)間違いなし!
養豚場を巡ってたどり着いた林SPFポークを豪快に使った肉かけ。これでエネルギー充塡(てん)間違いなし!

肉かけ640円の大盛り豚肉を味わったら、 「肉の店をやりたかった」という代表・岡本さんの言葉に納得。うどん店と肉料理店の名店で働き、吟味した素材をぜいたくに使いつつ、うどんは大衆食というポリシーを崩さぬ心意気。香川の老舗製粉所の粉を使って打った麺は、エッジの利いた歯応えとおいしさで、挽きたて黒胡椒が風味を引き立てる。自家製だいだい酢もぜひ。 「故郷千葉の、どこか田舎の畑の真ん中に店を作りたい!」と笑う岡本さんの夢はきっと叶う。

シンプルな店構えに岡本さん(左)の情熱が充満。味と量と値段が、うどん好きの胃袋を摑(つか)んで離さない。
シンプルな店構えに岡本さん(左)の情熱が充満。味と量と値段が、うどん好きの胃袋を摑(つか)んで離さない。

『自家製さぬきうどんと肉 甚三』店舗詳細

住所:東京都港区芝大門2-6-10/営業時間:11:00~15:30(土は~14:00)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄大江戸線大門駅から徒歩3分

新食感の麺ワールドへよォーこそ『うどん屋 ギビツミ』[西新橋]

魚介の風味濃厚なつゆとよく絡むよう、麺はあえて細めに。麺肌はつるりとしていて喉越しもいい。
魚介の風味濃厚なつゆとよく絡むよう、麺はあえて細めに。麺肌はつるりとしていて喉越しもいい。

こだわりの自家製麺は、麺肌つるつるで喉越し良し。噛むと不思議なむちっと感が、次のひと口を誘う。 「岩手のネバリゴシという粉を使って、この“グミ”みたいな食感を出してるんです」 と店主の内田晴子さん。出汁は真昆布など関西の味をベースに、いりこで旨味を底上げ。きつねうどん750円(夜は800円)の肉厚お揚げを口に含めば、下味の甘みとつゆの魚介出汁がジュワッとあふれ、えびす顔。

牛すじ煮込み650円、野菜天400円など夜は酒肴も充実。赤星650円。
牛すじ煮込み650円、野菜天400円など夜は酒肴も充実。赤星650円。
店主・内田さん(中央)は忌野清志郎の大ファン。麺打ち担当の椋木さん(左)は明石出身。
店主・内田さん(中央)は忌野清志郎の大ファン。麺打ち担当の椋木さん(左)は明石出身。

『うどん屋 ギビツミ』店舗詳細

住所:東京都新宿区西新宿7-19-21 いつくしまビル1F/営業時間:11:30~14:30・17:00~23:00/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄丸ノ内線西新宿駅から徒歩2分

製粉したての地粉の香りにただ恍惚。『蕎楽亭』[神楽坂]

牡蠣(かき)うどん2200円。厚岸産ほかクリーミーなカキを半生で。磯と大地(小麦)の風味が美しい和音を奏でる。
牡蠣(かき)うどん2200円。厚岸産ほかクリーミーなカキを半生で。磯と大地(小麦)の風味が美しい和音を奏でる。

ここの凄みは、そばだけでなくうどんの小麦粉も自家製粉するところ。上州の「さとのそら」という銘柄の原麦を製粉し、同じく上州「つるぴかり」とブレンドして喉ごしをプラス。「自家製粉だと、ふすま(小麦の表皮部分)をたくさん入れられて、甘さと香りがたつ麺になる。製粉時は店がパン屋みたいな香りになるよ」と店主・長谷川健二さん。和服美人のように細めで艶やかに光る麺を啜れば、小麦のフレッシュな風味にうっとり。

原麦をもつ店主・長谷川さん。
原麦をもつ店主・長谷川さん。
カウンター席で地酒もオツ。
カウンター席で地酒もオツ。

『蕎楽亭』店舗詳細

住所:東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂館1F/営業時間:11:30~14:30LO(月・祝の翌日は昼休)・17:00~20:30LO ※変更する場合もあり。/定休日:祝・不定(月もしくは日)/アクセス:JR・地下鉄飯田橋駅から徒歩5分

つけにもかけにも寄り添うたおやか麺『東奔西走』[南阿佐ヶ谷]

現在は三重県の小麦粉・伊勢の響きを主に使い、毎日店で打つ。長めの麺なのでズズッとすすって喉越しも楽しめる。ナスやタマネギなどたっぷりの具からつゆの旨味がにじみ出る。無料の白出汁でつけ汁を割ってもうまい。
現在は三重県の小麦粉・伊勢の響きを主に使い、毎日店で打つ。長めの麺なのでズズッとすすって喉越しも楽しめる。ナスやタマネギなどたっぷりの具からつゆの旨味がにじみ出る。無料の白出汁でつけ汁を割ってもうまい。

中太で角が立った麺は、一見コシが自慢かと思うが、さにあらず。むにゅっと感が心地いい、しなやかな麺なのだ。 「どこどこ風の麺というのに捉われず、ただおいしいものを求め、 マイナーチェンジを重ねてます」とは、関西で料理人の修業をした静岡出身の塚本さん。お出汁は昆布やウルメ、サバなどを重ねた関西ベース。看板の東奔西走うどん980円のつけ汁は、そこに牛肉の甘み、ゴボウなど野菜の滋味、お酢の酸味が交わり、奥行きある味わいに!

毎日店で作る麺は、加水の妙でのびやかな食感に。梅豚みぞれうどん900円など、かけで食べても抜群にうまい麺。
毎日店で作る麺は、加水の妙でのびやかな食感に。梅豚みぞれうどん900円など、かけで食べても抜群にうまい麺。
夜はおでんなどを扱ううどん酒場として営業。
夜はおでんなどを扱ううどん酒場として営業。

『東奔西走』店舗詳細

住所:東京都杉並区阿佐谷南1-11-2/営業時間:11:30~15:00LO・17:00~21:30LO(土・日・祝は16:30~)/定休日:月・隔週の日/アクセス:地下鉄丸ノ内線南阿佐ケ谷駅から徒歩3分

晩秋の体を温める幸せけんちん!『志な乃』[押上]

ニンジンやゴボウがカレーの具サイズで入るけんちんうどん1200円は蕎楽亭店主もお気に入り。
ニンジンやゴボウがカレーの具サイズで入るけんちんうどん1200円は蕎楽亭店主もお気に入り。

30年以上続く老舗の看板は、けんちんうどん。「朝から里芋なんかの皮をむいてさ、ゴマ油をひいた鉄鍋で炒めて。そっから鰹節をダーッと入れてじっくり煮込む。だからウチのは具が大きくても味が染みてるの」と女将の恵子さん。具材がゴロゴロ入った白味噌の濃厚ツユは、豪快ながら懐かしい味わいで店主夫婦の人柄のよう。そこに主人・正男さんが打った細めでコシのある麺が絡めば、益子焼の巨大丼も一気呵成に完食!

とろろうどん1250円で透明感がありやや平打ち、やわらかな粘りがある麺の喉ごしを堪能。稲庭の麺に近い食感。
とろろうどん1250円で透明感がありやや平打ち、やわらかな粘りがある麺の喉ごしを堪能。稲庭の麺に近い食感。

『志な乃』店舗詳細

住所:東京都墨田区業平3-11-4 MSビル2F/営業時間:11:00~14:30・17:00~20:00(日・祝は昼のみ)※変更する場合もあり。/定休日:水/アクセス:JR・私鉄・地下鉄押上駅から徒歩1分

やるきトニーさん、おかわりもう一杯!『やるき』[中野]

カレー焼きうどん660円。
カレー焼きうどん660円。

インド・ニューデリー出身、気軽なやすらぎ処『やるき茶屋』で経験を積んだトニーさんが営む居酒屋。おでん、モツ煮といった定番つまみも、ここではスパイス香る魅惑の味わいに変身。焼きうどんもしかり。うどん専用に調合した約10種のパウダースパイスと、手製の鶏挽き肉入りのカレーペーストを投入。額に汗がにじみだすほどのシャープな辛さが、ビールを加速させる。そして訪れる爽快な疾走感。

お客のリクエストに応えるうち、チリペッパーが増量。辛さは調節可能。
お客のリクエストに応えるうち、チリペッパーが増量。辛さは調節可能。
店主の目が行き届く、アットホームな店内。スパイスの芳香で満ちる。
店主の目が行き届く、アットホームな店内。スパイスの芳香で満ちる。

『やるき』店舗詳細

住所:東京都中野区本町4-36-7/営業時間:11:30~14:00・17:00~23:00(月・祝は夜のみ)、土16:00~22:00 ※コロナで時短営業中のため、平日の夜(月を除く)・土16:00~20:00、月・祝17:00~20:00/定休日:日/アクセス:地下鉄丸ノ内線新中野駅から徒歩5分

精鋭のトッピング揃いです。『お山のすぎの子』[三軒茶屋]

とんカレーうどん1100円。
とんカレーうどん1100円。

手打ちうどん、北海道・日高の昆布と四国直送のいりこをきかせたダシが評判。創業30年超、「いろいろ試して、合う物のみ残してます」と2代目が語るカレーうどんのラインナップは、モチ、かき揚げ、エビフライ……など独創的な全7種。なかでも、揚げたてサクサクのトンカツ、シャキシャキの千切りキャベツをのせたとんカレーうどんは、コシのあるうどんとの対比が楽しい。濃厚なカレーがひたひたしみていくのも、これまたよい具合。

うどんは1日寝かせてコシを生む。カレーは3種のルーをブレンドして濃厚に。
うどんは1日寝かせてコシを生む。カレーは3種のルーをブレンドして濃厚に。
40席以上の奥行きある空間。
40席以上の奥行きある空間。

『お山のすぎの子』店舗詳細

住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-34-11/営業時間:11:00~22:00/定休日:不定/アクセス:東急電鉄東急田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩4分

京の出汁とカリーが結婚した味や!『かれんど』[調布]

あんかけカリーうどん850円。
あんかけカリーうどん850円。

昭和60年、店主・鈴木寿彦さんは商社マン時代に本場のスパイスや料理に触れ“本物のカリー”を伝えるべく開業。「10年経った頃、白い神様が店の中をふわ~っと通ってな、カリーうどんを作ってみたらって囁(ささや)いたんや」。実は鈴木さんは京都の料理旅館の生まれ。透明感のある京風の出汁をなじみ深いあんかけにし、自慢のカリーと合わせることに。たっぷりのショウガ、桜エビ、鰹節からも味が染み出し、オンリーワンの一杯が完成だ。

上品な出汁とスパイスの芳香が融合。ミニライス付き。
上品な出汁とスパイスの芳香が融合。ミニライス付き。
壁には使用しているスパイスの解説などが貼られ、待つ間も楽しい。
壁には使用しているスパイスの解説などが貼られ、待つ間も楽しい。

『かれんど』店舗詳細

住所:東京都調布市布田1-43-3 オリエントマンション1F /営業時間:12:00~23:30LO ※変更する場合もあり。/定休日:日/アクセス:京王電鉄京王線調布駅から徒歩2分

麺の求道者がつむぐ新・武蔵野物語『手打ちうどん長谷川』[大泉学園]

糧うどん  冷もり836円。紅芋を使った麺の紅白で、かつてハレの日に食べた武蔵野のうどんを表現。
糧うどん 冷もり836円。紅芋を使った麺の紅白で、かつてハレの日に食べた武蔵野のうどんを表現。

「一推しメニューを聞かれてもみんな自分の子みたいなもんだから……」とうどん愛を語る店主・長谷川匡俊さん。地粉の農林61号で打った麺を見ると、表面に茶色い粒々が!「ローストしたふすまを入れてるから。ミネラル豊富で香りも高くなるんです」。早速麺を啜れば、小麦の優しい香りは武蔵野風ながら、つるっとした食感は讃岐のよう。「香川の粉もブレンドしてます。武蔵野に讃岐のいいとこを足したうどんが自分の理想ですね」。

紀州の梅肉、とろろ昆布やおかかなどをトッピングした梅昆布うどん891円。旨味や酸味、ツユの甘みの多重奏。
紀州の梅肉、とろろ昆布やおかかなどをトッピングした梅昆布うどん891円。旨味や酸味、ツユの甘みの多重奏。
丁寧に1本ずつ麺に触れて茹で具合を確かめ、美しく盛る。
丁寧に1本ずつ麺に触れて茹で具合を確かめ、美しく盛る。
地酒も充実。
地酒も充実。

『手打ちうどん長谷川』店舗詳細

住所:東京都練馬区東大泉4-3-18-102/営業時間:11:30~14:30・18:00~20:30(麺切れ次第終了)※変更する場合もあり。/定休日:月・第1火(祝の場合は翌日)/アクセス:西武鉄道池袋線大泉学園駅から徒歩すぐ

毎日食べたい優しい300円うどん『讃岐うどん いわい』[十条]

出汁の風味も味わいたい、ひやあつうどん並300円。丸々1本のちくわ天100円は揚げたてで提供。うどん大盛りは400円均一。
出汁の風味も味わいたい、ひやあつうどん並300円。丸々1本のちくわ天100円は揚げたてで提供。うどん大盛りは400円均一。

「香川のうどん屋約900軒のなかでも、水回し(小麦粉に加水しこねる作業)から手作業で打ってる『宮武』のうどんに惚れてしまって」と主人の岩井佑介さん。同店で修業した主人が打つ麺はもっちりしなやかで、麺を冷水でしめ熱いツユをかける“ひやあつ”で味わえばコシも増して絶妙食感に。たっぷりのいりこや利尻昆布などでとるダシは食べ飽きない優しい味わい。「うどんは日常食。値段も味も毎日食べやすいものを心がけてます」。

小麦の甘みや風味を感じるなら、つけ汁で味わう湯だめうどん300円。こちらも冷水でしめ、麺のコシをプラス。
小麦の甘みや風味を感じるなら、つけ汁で味わう湯だめうどん300円。こちらも冷水でしめ、麺のコシをプラス。
店主の岩井さん。
店主の岩井さん。

『讃岐うどん いわい』店舗詳細

住所:東京都北区上十条3-28-7/営業時間:11:00~14:30・17:30~21:00(日は10:00~15:00のみ)/定休日:月/アクセス:JR埼京線十条駅から徒歩5分

丼の底が見たくなる芳醇な出汁と麗し麺『はし田たい吉 新橋』[内幸町]

福岡 博多うどん。基本はやわふわで角のない麺や平麺が主流。出汁は、いりこやあごなどを用い、カエシには福岡の甘い醤油を使うので、ほんのり甘く澄んだつゆが特徴だ。
福岡 博多うどん。基本はやわふわで角のない麺や平麺が主流。出汁は、いりこやあごなどを用い、カエシには福岡の甘い醤油を使うので、ほんのり甘く澄んだつゆが特徴だ。

ごぼう天うどん600円から昇るいい香りに、まずはつゆをひと口。長崎産あご出汁の上品な甘さ、枕崎産かつお節の豊かな旨味がぶわっと広がる。「飲み干してもらえるようなつゆを作りました」とプロデューサーの橋田さん。細い平打ち麺を手繰れば、なめらかでしっとり食感の後に、福岡県糸島産小麦・チクゴイズミの芳醇な風味が。「打ちたて麺の香りのよさを味わってほしい。喉越しのよさも求め、麺は約60cmと長めに切っています」。

橋田さんほかスタッフは、みんな博多出身か博多在住経験者。「カエシには博多のジョーキュウ醤油を使用。ごぼ天は衣がふやけないよう、あえて別盛りにしています」。
橋田さんほかスタッフは、みんな博多出身か博多在住経験者。「カエシには博多のジョーキュウ醤油を使用。ごぼ天は衣がふやけないよう、あえて別盛りにしています」。
カウンターで全13席。手前には製麺室があり、毎朝麺打ち。
カウンターで全13席。手前には製麺室があり、毎朝麺打ち。

『はし田たい吉 新橋』店舗詳細

住所:東京都港区西新橋1-15-7/営業時間:11:30~14:30・17:00~19:30LO(麺なくなり次第終了)/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄三田線内幸町駅から徒歩1分

伊勢のやわうどんを絶妙アレンジ『いせ万』[高田馬場]

三重 伊勢うどん。麺は1cm前後と太く、もちもちでコシが弱い。水で締めず熱々で出すのが基本。たまり醤油をベースにみりんやかつお出汁を合わせたコクのあるたれを絡めて食す。
三重 伊勢うどん。麺は1cm前後と太く、もちもちでコシが弱い。水で締めず熱々で出すのが基本。たまり醤油をベースにみりんやかつお出汁を合わせたコクのあるたれを絡めて食す。

伊勢商人にルーツをもつ店主の大西秀一さん。「先祖が喜ぶかなと思い、15年前に伊勢うどんの店をはじめました」。麺は三重の小麦・あやひかりで打ったものを伊勢から直送。伊勢で主流の茹でおきではなく、茹でたてで出すので麺肌はやわらかいが芯はむちっと弾力も。通常の伊勢おうどん550円もうまいが、昆布や煮干しなどで毎日出汁を引く関西風つゆのかけうどんと、このむちむち麺がばっちり合うのだ。

野菜が彩る、いかさつまおうどん780円。かけうどんは締めにご飯を入れておじやに。
野菜が彩る、いかさつまおうどん780円。かけうどんは締めにご飯を入れておじやに。

『いせ万』店舗詳細

住所:東京都新宿区高田馬場2-6-6/営業時間:11:30~14:00/定休日:日・祝(土不定あり)/アクセス:JR・私鉄・地下鉄高田馬場駅から徒歩7分

熟成麺を茹できり、しなやか食感に『筑後うどん まがり』[新大塚]

福岡 筑後うどん。筑後は米と小麦の二毛作が盛んで、ご飯のおかずにうどんを食べることも。中には50分近く茹で切る店もあるほど、ふんわりして粘りのある麺が主流。
福岡 筑後うどん。筑後は米と小麦の二毛作が盛んで、ご飯のおかずにうどんを食べることも。中には50分近く茹で切る店もあるほど、ふんわりして粘りのある麺が主流。

ごぼ天肉うどん910円をすすると、なめらかで絹のようなきめ細かな食感に恍惚。「やわらかいけど芯があり、伸びもある麺が理想です」と店主・大曲さん。粉はでんぷん質の多いチクゴイズミを使用。計4日も寝かして切れにくい、しなやかな麺に。この女性的な麺に寄り添うのが、羅臼昆布やあご、いりこを重ねたやさしいつゆ。大曲さんが我が子に何種も食べてもらい、一番食べ飽きなかったつゆを選んだそう!

開業時は30分、今でも13分近く茹でる『筑後うどん まがり』のうどん。茹で攻めることで伸びやかな食感に。牛肉の甘みの染み出たつゆが味わい深い。
開業時は30分、今でも13分近く茹でる『筑後うどん まがり』のうどん。茹で攻めることで伸びやかな食感に。牛肉の甘みの染み出たつゆが味わい深い。
うどんのつゆで炊いた、かしわめし220円。
うどんのつゆで炊いた、かしわめし220円。
カウンター全15席で、奥には製麺室。福岡県大川市で筑後うどんを食べて育った大曲さんが、2020年に開業。
カウンター全15席で、奥には製麺室。福岡県大川市で筑後うどんを食べて育った大曲さんが、2020年に開業。

『筑後うどん まがり』店舗詳細

住所:東京都豊島区南大塚2-25-11/営業時間:11:30~15:15LO・17:30~20:45LO/定休日:月/アクセス:地下鉄丸ノ内線新大塚駅から徒歩1分

出汁の風味をまとう細身のふわふわ麺『釜あげうどんはつとみ』[江戸川橋]

宮崎 釜揚げうどん。細身でふわふわ、しなやかな麺が特徴。出汁にいりこは必須で、しいたけを使う店も。もちもち感を直に味わえる釜あげのほか、かけうどんで味わうのが主流。
宮崎 釜揚げうどん。細身でふわふわ、しなやかな麺が特徴。出汁にいりこは必須で、しいたけを使う店も。もちもち感を直に味わえる釜あげのほか、かけうどんで味わうのが主流。

長野出身で、もともとそば派だった店主の熊谷晃さんは、渋谷『澤乃井』で宮崎うどんの旨さに開眼。約20年も同店に勤め、13年前に独立した。看板の釜あげうどん700円(写真のかきあげ天釜は1200円)の麺を手繰ると、ふわっとした舌触りで、喉越しもいい。つゆも素晴らしく、澄んでいるのにかつお、しいたけ、昆布、いりこなどを重ねた出汁の風味が濃厚。釜あげならではのとろりとした麺肌が、この珠玉のつゆをたっぷり拾い舌へ運んでくれるのだ。

自家製の麺は毎日約5㎜と細打ち。対流がおき、芯までしっかり熱を伝えられる大きな羽釜で茹でる。「梅豚うどん、五目うどん各980円などかけうどんもぜひ」と店主。
自家製の麺は毎日約5㎜と細打ち。対流がおき、芯までしっかり熱を伝えられる大きな羽釜で茹でる。「梅豚うどん、五目うどん各980円などかけうどんもぜひ」と店主。
店内にはカウンターとテーブル席を用意。
店内にはカウンターとテーブル席を用意。

『釜あげうどんはつとみ』店舗詳細

住所:東京都文京区関口1-48-5 イシダビル1F /営業時間:11:30~14:00・17:30~20:45LO/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄有楽町線江戸川橋駅から徒歩3分

取材・文=土屋広道(編集部)、鈴木健太、沼由美子 撮影=オカダタカオ、加藤昌人