代々木で落ち着いて飲める、奇跡の一軒『よよぎあん』[代々木]

しみじみおいしい鰤大根800円~、季節によって味つけや素材が変わる日高GPのもつ煮700円、豆腐味噌漬500円。
しみじみおいしい鰤大根800円~、季節によって味つけや素材が変わる日高GPのもつ煮700円、豆腐味噌漬500円。

本当に目立たない、うっかり通り過ぎてしまいそうな場所に店はある。それでも店内はいつも満員御礼。老紳士から若者まで、日本酒を片手に和やかに飲む酔客でいっぱいだ。約7時間かけてコトコト煮込んだ鰤(ぶり)大根や白菜が入ったピリ辛のもつ煮など、つまみは旬を感じる料理が多数。何を頼んでも日本酒が欲しくなってしまうのだから、う~ん、悩ましい。学生が多い喧噪(けんそう)の代々木のなかで、大人が落ち着いて飲める奇跡の一軒である。

日本酒は常時23種ほど。左から「惣邑」純米酒半合430円、「早瀬浦」純米酒半合430円、「冬華」純米吟醸原酒500円。
日本酒は常時23種ほど。左から「惣邑」純米酒半合430円、「早瀬浦」純米酒半合430円、「冬華」純米吟醸原酒500円。
調理担当でもある店主の関将伸さん。「汁物を肴に温まって〜」。
調理担当でもある店主の関将伸さん。「汁物を肴に温まって〜」。
昭和の雰囲気が漂う店内。座るだけでホッとする。「いいお酒ありますよ」。
昭和の雰囲気が漂う店内。座るだけでホッとする。「いいお酒ありますよ」。

『よよぎあん』店舗詳細

住所:東京都渋谷区代々木1-34-5 地下1階/営業時間:17:00~22:00LO/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄代々木駅から徒歩1分

日本酒のためにあるような肴と日本酒がずらり『こころむすび』[新宿御苑前]

青鯛(アオダイ)、鰊(ニシン)、鰤(ブリ)、メジマグロ、穴子などのお造り全盛り1人前2600円(2人前~、内容は日によって異なります)。
青鯛(アオダイ)、鰊(ニシン)、鰤(ブリ)、メジマグロ、穴子などのお造り全盛り1人前2600円(2人前~、内容は日によって異なります)。

日本酒のためにあるような肴が豊富で、胸はときめきっぱなし。店主が築地で目利きし、食べごろを見極めて出す鮮魚のいい刺し身や炭火でじっくり焼く天然穴子の一夜干しなどは……まいった、酒が進みすぎる! 日本酒の銘柄はスッキリ系からお燗で旨い濃醇タイプまで約40種類。ずらりと銘柄が並ぶ品書きを目の前にすると片っ端から飲みたくなってしまう。あぁ、飲み過ぎ確定である。

天然穴子の一夜干し2100円。
天然穴子の一夜干し2100円。
日本酒はさまざまな銘柄を取り揃えております。
日本酒はさまざまな銘柄を取り揃えております。
店主の石田洋司さん。「自慢の魚をぜひ食べて」。
店主の石田洋司さん。「自慢の魚をぜひ食べて」。

『こころむすび』店舗詳細

住所:東京都新宿区新宿2-8-17 SYビル1F/営業時間:11:30~13:30LO・18:00~22:00LO(土はランチ営業なし。17:30~)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅から徒歩1分

日本酒初心者も安心!な気楽な店『まつん処』[新宿三丁目]

甘辛いかさご煮付け、新鮮な活真ツブ貝刺身。自家製塩辛は酒が恐ろしいほど進む。料理は日替わり。
甘辛いかさご煮付け、新鮮な活真ツブ貝刺身。自家製塩辛は酒が恐ろしいほど進む。料理は日替わり。

「日本酒の好みは色々あっていいんですよ。お好きなように楽しく飲んでほしい」とは店主の林原正明さん。ここではウンチクは不要。日本酒になじみのない初心者でも、安心して飲めるのがうれしい。銘柄は「洌(れつ)」や「鍋島」など、主人が自信を持っておすすめするお酒が常時8種類ほど。常連客が必ず注文する自家製の塩辛や鮮魚の刺し身、煮付けなどの肴は酒が止まらなくなること間違いなし。理屈抜きで日本酒に酔えるって、気持ちいいですよ。

並々注がれる日本酒。
並々注がれる日本酒。
「鍋島」特別純米生酒800円、「洌」純米無濾過生原酒700円。
「鍋島」特別純米生酒800円、「洌」純米無濾過生原酒700円。
日本酒を愛する店主の林原正明さん。「旨い日本酒揃ってるよ」。
日本酒を愛する店主の林原正明さん。「旨い日本酒揃ってるよ」。

『まつん処』店舗詳細

住所:東京都新宿区新宿3-8-5 イオヤビルB1 /営業時間:18:00~翌3:00LO/定休日:火/アクセス:地下鉄新宿三丁目駅から徒歩1分

魚屋ならではの目利き&太っ腹に感謝『タカマル鮮魚店 1号店』[新宿西口]

タカマル定食は、刺し身の桶盛りにごはん、あら汁が付いて1382円。ランチタイムは1080円で、ごはんとあら汁がおかわり無料に。
タカマル定食は、刺し身の桶盛りにごはん、あら汁が付いて1382円。ランチタイムは1080円で、ごはんとあら汁がおかわり無料に。

母体は鮮魚卸会社。目利きのプロが選りすぐった魚介はポテンシャルがハンパじゃない。その底力を存分に味わうには、タカマル定食がおすすめだ。刺し身は器に収まり切らず、エビがひょいっと顔を出す。マグロの分厚いひと切れを頬張ると、脂の甘みが口中に充満し夢見心地。ハリがあり、それでいて歯がスッと入る柔らかさも魅力だ。白飯をかき込めば、絡み合って味わい深い。あら汁を啜り、胃袋の隅まで旨味を染み渡らせるべし。

ショーケースには、その日の朝に仕入れた魚介が並ぶ。刺し身、柵、弁当などすべて持ち帰り可。
ショーケースには、その日の朝に仕入れた魚介が並ぶ。刺し身、柵、弁当などすべて持ち帰り可。

『タカマル鮮魚店 1号店』店舗詳細

住所:東京都新宿区西新宿7-15-1 アパライトビル1F/営業時間:11:00~23:00LO/定休日:無/アクセス:地下鉄大江戸線新宿西口駅から徒歩2分

熟練の焼き技が魚の持ち味を増幅『原始焼 二代目 魚々子』[西新宿]

カサゴ2000円前後。サイズや仕入れ状況で値段が変わる。
カサゴ2000円前後。サイズや仕入れ状況で値段が変わる。

仕入れの際は産地にこだわらず、時季によって品質のいいものを選ぶ。「刺し身で食べておいしい魚は焼いても旨いんです」と店長の加藤貴則さん。ていねいに焼き加減を確認し、遠火、近火を使い分ける姿は、まるで魚と対話しているよう。炭火に炙(あぶ)られ、表面にぷくぷくと脂がふくれているのを見ると、つい酒が進む。写真のカサゴは、あんぐり口を開け、胸ビレを広げる様子が迫力大。そんな見た目のわりに、ほわっと甘い癒やし系の味だ。

炉端台に近いカウンターが特等席。
炉端台に近いカウンターが特等席。
焼き上がりを待つ間、燻製ポテトサラダ700円をつまみながら日本酒1合1000円~をちびちびやるのが定番。
焼き上がりを待つ間、燻製ポテトサラダ700円をつまみながら日本酒1合1000円~をちびちびやるのが定番。

『原始焼 二代目 魚々子』店舗詳細

住所:東京都新宿区西新宿7-19-22 ダイカンプラザシティ1F/営業時間:11:30~14:30・17:00~22:00(金・祝前日は~23:00。土はランチ営業なしで16:00~22:00)/定休日:日(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄丸ノ内線西新宿駅から徒歩2分

寡黙な店主が生み出す多彩な魚料理『淡水研究室』[代々木]

活〆皮はぎ薄造り1680~2300円時価。
活〆皮はぎ薄造り1680~2300円時価。

「産卵に向けて餌をたっぷり取ったカワハギは、肝臓が大きく発達しています」と、店主の保科芳行さん。生の状態を裏漉(うらご)しして肝ダレを作り、お造りに添える。身を噛むと旨味がにじみ、肝のコクがふんわり。飲み込んだ後も香りが鼻腔(びこう)を漂い、幸福感は続く。強火でレアに焼いた真タラの白子は舌の上でプルンと揺れ、甘みを放つ。保科さんにとって食材のよさを引き出すことが第一義。そのために刺し身、焼き、鍋など演出法は多岐に渡る。

真鱈の焼白子 ゆず風味1680円。
真鱈の焼白子 ゆず風味1680円。
「産地は時季によって異なります」と保科さん。
「産地は時季によって異なります」と保科さん。

『淡水研究室』店舗詳細

住所:東京都渋谷区代々木1-13-2/営業時間:18:00~24:00(土は17:00~23:00)/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄大江戸線代々木駅から徒歩3分

鮮度にこだわった肉と充実の野菜焼き『三代目ウエゾノヤ』[新宿御苑前]

お任せ6本。タバスコでいただくハツモト(ハツの中落ち)が斬新。
お任せ6本。タバスコでいただくハツモト(ハツの中落ち)が斬新。

古民家を改装し御苑脇に出店。新旧のよさが同居する落ち着いた佇まいに、老若男女が集う。まずは、お通しのさっぱり茶わん蒸し、口直しのキャベツが供され「銘柄を限定せず、その日に鮮度のよい鶏を仕入れている」という焼き鳥は、おまかせ6本1188円を注文。串ごとの歯触り、味わい、風味のバリエーションに素材の力が感じられ、深く満足。炭火でまるごと炙(あぶ)った野菜焼き220円~を頼めば、さらに味わいの幅が広がる。

とりわさ650円は、刻みわさびが爽やか! 東京では珍しい出雲誉650円が合う。
とりわさ650円は、刻みわさびが爽やか! 東京では珍しい出雲誉650円が合う。
大分の老舗旅荘・上園屋旅館の三代目若旦那が営むことが店名の由来。
大分の老舗旅荘・上園屋旅館の三代目若旦那が営むことが店名の由来。

『三代目ウエゾノヤ』店舗詳細

住所:東京都新宿区新宿2-1-7/営業時間:18:00~24:00/定休日:日/アクセス:地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅から徒歩1分

ワサビをのせたつくねでさっぱり『品川亭』[西新宿五丁目]

ワサビがちょこんとのせたつくねをタル酒660円で。分厚いたんの塩焼き1人前880円も人気。
ワサビがちょこんとのせたつくねをタル酒660円で。分厚いたんの塩焼き1人前880円も人気。

西新宿のビル群から十二社の住宅地へ。路地裏に昭和がわずかに残る一角がある。その一軒がここ。焼き鳥メニューの人気はつくね550円。常連さんのリクエストから定番メニューとなった珍しいワサビ添えつくねで、さっぱりとした味わいが日本酒との相性よし。網焼きした豚のたん、なんこつ、はつは1人前880円。特にたんは1本を分厚くカットしてボリュームがあり、さっくりとした歯ごたえにビール(大)770円を思わず注文。

映画のセットのような居酒屋風情に満ちたこぢんまりした店内。
映画のセットのような居酒屋風情に満ちたこぢんまりした店内。
旅館を改装。人情に厚い店。
旅館を改装。人情に厚い店。

『品川亭』店舗詳細

住所:東京都新宿区西新宿4-13-13/営業時間:17:30~23:30/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄大江戸線西新宿五丁目駅から徒歩5分

取材・文=山内聖子、信藤舞子(teamまめ)、志田真一朗 撮影=本野克佳、オカダタカオ、高野尚人、丸毛透(青木)