スパイスの香り舞う、ビリヤニを堪能『鎌倉バワン』[和田塚]
キッチンカーでの移動販売を経て、5年前に店を開いた店主・伊藤健太郎さん。研究を重ねたチキンビリヤニは「インドまで答え合わせに行ったんです」という自信作。山のように盛られたバスマティライスを崩すと、ヨーグルトとスパイスでマリネした鶏肉が顔を出す。ビリヤニ鍋で一緒に炊きこんで香味が一体感を増し、くせになる。野菜とスパイス入りのヨーグルト・ライタを混ぜれば、爽やかな後味に早変わり!
『鎌倉バワン』店舗詳細
自然食材のラーメンは黒と白の二枚看板『AWANOUTA』[七里ケ浜]
店主の木田橋(きだはし)亮さんは「安心して食べてもらいたい」と化学調味料を一切使わない。七里ブラックは、かつおと昆布に加え貝や乾燥野菜で出汁をとり、7種の醤油の味を重ね、コクを出す。真っ黒な見た目に反し角のない優しい味だ。一方、豚泡ラーメンは濃ゆい豚骨ベースに魚介出汁を加え、ブレンダーで泡立てる。乳化してトロトロのスープはまるでポタージュのごとし。深い甘さがたまらない。
『AWANOUTA』店舗詳細
締めの甘味までそばで攻める結セット『お蕎麦 結』[腰越]
北海道、滋賀、福井など、そば粉は産地を変えながら手打ち。店主の宮内貫(かん)さんは、粉の水分量や湿度を鑑(かんが)みて「茹でたときに、ちょいどいい塩梅になれば」と話す。十割、田舎もあるが、まずは二八の細打ちを。干ししいたけも加えたそばつゆにつければ、思いの外、しなやか。気張らぬ一品料理が並ぶなか、結のセットは「僕の好きな味でそろえました」。締めは注文後に仕上げるそば団子で。
『お蕎麦 結』店舗詳細
爽快! 海に臨む手作りの木造カフェ『Sun cafe paradise』[江の島]
6台つなげたボートトレーラーを土台にして廃材で建てたのは、海の家を13年営んだ代表のジョージさん。 「人知れずオープンしました」と相棒の店長・池田惠美さんは笑う。窓を開け放てば海風が吹き抜ける。ここでは甜菜糖(てんさいとう)で煮詰めたシロップのソーダ割りを。ベリーのほか、梅、ジンジャーなどもあり、酒ベースにも変更可。甘く爽やかな香りとともに、ずっと海を眺めたい。
『Sun cafe paradise』店舗詳細
兄弟コラボが生む魅惑のピッツァ『Latteria BeBè kamakura』[鎌倉]
自家製モッツァレラとナポリピッツァを看板に掲げる、路地奥の古民家を改装したチーズ工房併設の一軒家レストラン。手作りチーズ全般を弟の山崎大志郎さんが、薪窯で焼き上げるピッツァを兄の健太郎さんが担当する。早朝に戸塚の酪農家を訪れ、搾りたての生乳を仕入れて作るモッツァレラは、ピッツァの具となってもコクと爽やかさを失わない。おなか満杯食べても胃にやさしい、魔法の一枚なのである。
『Latteria BeBè kamakura』店舗詳細
まじめな老舗はみんなの見方『鎌倉峰本 本店』[鎌倉]
懐石料理と手打ちそばの店として知られる、大正13年(1924)創業の和食の老舗。入りやすい雰囲気づくりや、わかりやすいメニュー表記など、歴史にあぐらをかかない姿勢がうれしい。隠れた名物が創作そば。「日本中を探してもここでしか味わえない」という、地さざえと帆立の健康黒酢黒胡麻そばは、地サザエの身をそばに、肝を小鉢に使用した贅沢な一品。サザエとそばの滋味、黒ごまのコクと黒酢の調和のとれた絶妙な味わいだ。
『鎌倉峰本 本店』店舗詳細
相模湾の魚介が活きる南伊スタイル『魚介伊料理 Cazama』[鎌倉]
塩とオリーブ油で素材を活かすのが南イタリアのスタンダート。そこに相模湾の魚介が合わさり、皿の上で輝きを放つ。作り手はイタリア各地で1年半、修行を重ねたオーナーシェフ・風間理芳さん。彼は全ての前菜の盛り合わせに魚介を使用するほどの「魚のおいしさ」の伝道師。市場で自ら選んだ魚介に、ハーブとスパイスを使うだけで、しっかりとした旨味を際立たせる。鎌倉にいながら本場南イタリアの味が満喫できるのだ。
『魚介伊料理 Cazama』店舗詳細
秘密基地の本格インドカレー『香菜軒 寓』[鎌倉]
古民家の裏に隠れて立つのは、トタン屋根の小さな食堂だ。3席しかないが、表に出れば店主の三浦勉さんお手製のテラス席もあり、まるで秘密基地のよう。東京都中野区で20年以上カレー店を営んできた三浦さんは、昨年5月に故郷の鎌倉へ移転。動物性の食材を使わず、タマネギや大根、ニンジンなど、いろいろな野菜をたっぷり使ったインドカレーを提供している。風船のように膨らんだインドの大衆的なパン「プーリー」をちぎり、カレーと一緒に口へと運ぶと、煮込まれた野菜から染み出した旨味が広がる。後から感じるスパイスの香りが、次のひと口へと誘うようだ。
『香菜軒 寓』店舗詳細
味噌を愛する気持ちが半端ない!『味噌屋 鎌倉INOUE』[鎌倉]
「日本人のソウルフードなのに、味噌離れはどんどん進んでいて悲しい!」と、嘆く店主の井上遊太さん。16年間、レストランのシェフとして培ってきた技術を活かして味噌料理を開発。
いろいろな土地の味噌を、食材や料理に合わせて使い分ける。ランチでは、味噌漬けした鶏肉をフライドチキンに。酵素の力で、ふんわり柔らかな揚がり具合だ。オーダーが入ってから包丁を入れるシャキシャキの鎌倉野菜と一緒に食べよう。
『味噌屋 鎌倉INOUE』店舗詳細
帰りたくなる、至福の昼食『BISTROT La PEKNIKOVA』[北鎌倉]
帝国ホテルで20年余り勤めた店主の馬場周吾さんは、料理ありきでメニューを決めるのではなく、その瞬間に手に入る食材で料理を考えたいと、独立を決意。地の食材が豊富な鎌倉に店を構えた。今日のメインは小坪産マトダイのボワレ。パリッと焼いた皮と、ふわふわの白身は、バターソースの豊潤な香りと相まって、白ワインとぴったり。見晴らしのよいテラス席で、四季折々の自然を眺めながら本格フレンチのコースを食す贅沢さときたら、もうたまらない。
『BISTROTLa PEKNIKOVA』店舗詳細
季節を常に意識した親方の定食を『茶飯事』[北鎌倉]
この地で20年間、懐石料理店として愛されていた「口悦」が生まれ変わったのは2016年6月のこと。親方の嘉山伸二さんと、女将のアイ子さんが「お客さんには、時間を気にせずにゆっくりしてほしい」と定食屋として再出発した。炊いた米を水で洗って作る雑炊は、さらさらのごはんが口当たりよく、薄めの塩味が優しい味。小鉢3つと煮物は懐石時代と変わらぬクオリティで、たっぷり時間をかけて楽しみたい、贅沢な昼食だ。雑炊以外にもご飯物メニューが人気。
『茶飯事』店舗詳細
/定休日:水/アクセス:JR 横須賀線北鎌倉駅から徒歩8分
鶏スープで安らぐ味 さっぱりフォーに舌鼓『Pho RASCAL』[鎌倉]
「ラーメンのような感覚で、フォーを身近に味わってほしくて」と、店主の新井秀明さん。鶏や香味野菜、ホールスパイスで引いたスープには、蒸し鶏を作る際に染み出たエキスも加える。はっきりした塩味の奥に、甘みがちらりと顔を出し、ぷるっと弾力ある麺との相性バッチリ。最後の一滴まで飲み干せそうな優しさだ。春巻きやなますなどのつまみとともに、だらりと昼酒モードに入るのも◎
『Pho RASCAL』店舗詳細
サクふわのフライは、昼でもビール恋しや『和処 大むら』[鎌倉]
地元民御用達の飲み屋に、昼も客がひっきりなし。海鮮丼、分厚いとんかつなど、それぞれにファンが付くが、本日のフライ定食もはずせない。仲買と小坪の漁師からの入手状況で変わるが、アジ、カマスなど、手切りキャベツを背に3、4種が屹立。サラダ油で揚げられ、軽い歯触りのあと、ふくよかな香味に頬が緩む。店主の大村篤男さんは宮城県の洋野菜農家だった頃から料理好きだったという。
『和処 大むら』店舗詳細
精進料理の手法が極上の味を生む『海光庵』[長谷]
長谷寺の境内にある食事処でいただける。1200年以上前から続く古寺だけに、オリジナルカレーの誕生にも歴史あり。住職による発案から、構想5年を費やしやっと完成したのだとか。ご飯は五色米でヘルシーに。コンニャクや大豆がトッピングされている。動物性の食材は一切使っていないのに、濃厚なコクと旨味に驚く。その秘密は、じっくり炒った大豆を一晩水に漬けてとっただしにある。この料理法、精進料理の基本なのだとか。
『海光庵』店舗詳細
麺とお茶漬けで2倍楽しめる『麺屋ウエーブ』[和田塚]
鎌倉唯一、全国でも珍しいカレーつけ麺の専門店を営むのは、サーフィン好きの店主・野村政人さん。都内でカレー店を16年営んでいたカレーのプロ。子どもが生まれるのを機に、自然が身近な鎌倉に引っ越してきたが、カレーの老舗が多い地で勝負するにはどうしたら?……と考えてたどり着いたのが「つけ麺」だった。麺を食べ終えると、ご飯とだし汁が供されて、今度はお茶漬けでサラサラッと。最後の一滴までおいしくいただける。
『麺屋ウエーブ』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=四宮明子、teamまめ(佐藤さゆり、高橋健太、松井一恵)、大海渡宏美(風来堂)、林加奈子 撮影=猪俣慎吾、木村心保、鈴木奈保子、原 幹和、淵江亮一、金井塚太郎