新鮮野菜が自慢の隠れ家イタリアン『Osteria Sato』
シェフの佐藤敬(たかし)さんは、川越の旬の野菜を使うことにこだわる。「飲食店には卸さない農家さんなのですが、お客さんにいいものを出したくて頼み込みました」。手作りジェノベーゼソースのパスタは、バジルと松の実の風味が力強く絡み合い、そこにプチトマトのみずみずしさが加わって、さっぱりとした後味に。また、サラダにかかるドレッシングは何種類もの野菜を、丁寧にすり鉢で潰して作る。隠し味に和風出汁も入り、癖になる味だ。
『Osteria Sato』店舗詳細
こだわり製法のドデカいハンバーガー『BURGERCAFE honohono』
店主の大坪信介さんは、起業前から「やるなら大好きなハンバーガーだ!」と決め、3年前に店を開いた。一推しは店の名を冠したホノホノバーガーだ。表面を炭火でパリッと炙った特注バンズに挟まれたパティは、US牛を和牛の牛脂と共に練り込んで、ミディアムレアに。歯ごたえの強い粗挽き肉から出る肉汁に、とろりと崩れたフライドエッグの黄身とBBQソースが混ざり合う。パインの甘さがさらに味を引き立て、次の一口にいざなう。
『BURGERCAFE honohono』店舗詳細
店主の閃きとアレンジが光る創作洋食『cafe+kitchen 北風と太陽』
「僕の師匠は近所のメシ屋のおっちゃんたちです」と笑う岩上貴彦さん。幼少期から様々な飲食店の店主に伝授された技術に、自らの閃きを加えた料理を日々、生み出している。中でも人気はタコライス。どっさり盛られたチリコンカーンは、岩上さんの「給食の思い出」をヒントに赤・白インゲンとひよこ豆、さらに癖の強いクミンを加えた渾身の一品。トッピングのハラペーニョも合わせれば心地よい辛さが加わり、よりやみつきになる。
『cafe+kitchen 北風と太陽』店舗詳細
ウィーンと猫がテーマの珍しい店『Mie Coco』
「川越で身近にウィーン料理は見かけないので、食べてもらいたくて」と、店主の初山香代子さん。ウィーンへ留学した際に知った現地の味を再現、さらに大好きな猫を店内のモチーフにしている。代表的な料理は、ウィーン風カツレツ・ウィーナーシュニッツェルだ。叩いて柔らかくした豚モモ肉に細かく砕いたパン粉を付け、揚げ焼きに。ザクッとかじるとバターとレモンの香りがふわり。ウィーン銘産ゲッサービールの芳醇な味とよく合う。
『Mie Coco』店舗詳細
アンティーク空間で男の手料理を『CAFFE1925』
ダンスホール、アパートメントと変遷した建物にイタリア国旗が揺れる。「アンティーク店を営むオーナーがここで喫茶を始めたくなって」と、イタリア人が手ほどきする男の料理教室で、フルコースまで手がけていた内山清高さんが腕を振るうことに。ワタリガニや、大エビなどを用い、手間を重ねた贅沢な生パスタにはさらにグレードアップ。窓、内装、庭を望むテラス席などを手作りした空間は、まるで英国の田園カフェのようで、優雅な心地になれる。
日本米で再現したバレンシア伝統の味『Restauranteすぺいん亭 本店』
倉庫のような空間、砕いた瓦を貼った仕切り、木製のタワー、ステンドグラスなどが息を呑む美しさ。1983 年創業時の建物が老朽化で解体され、98年より2号店が本店に。オーナーの村田禮三(れいぞう)さんが毎朝6時すぎからスープ、具材を仕込むパエリアは、米粒が貝、野菜、肉の旨味を吸い込み、香りが鼻腔でグンと膨らんでいく。
『Restauranteすぺいん亭 本店』店舗詳細
江戸から味を守り続けて200年『小川菊』
文化年間(1804〜1818 年)の創業以来、200年以上にわたり代々受け継がれてきた伝統の味。一子相伝の秘伝のタレを操るのは、現在7 代目の店主・小川修一郎さん。上うな重4000 円は口に含むと、ふっくらとした身と甘口で深みのあるタレが絡み、自然と笑みがこぼれる。米にもこだわっており、小川さん知人の農家が作る、地元川越産を使用。お店は大正時代初期の建造で築100 年以上の木造3 階建て。屋久杉を使った天井や年季の入った調度品が、歴史の重みを静かに語る。
『小川菊』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=佐藤さゆり・髙橋健太(teamまめ)、風来堂 撮影=金井塚太郎、山出高士、オカダタカオ、木村心保、鈴木愛子