【コースガイド】

霞ケ浦大橋を渡り、湖北端を回らなければ約40km短縮し、2時間ほど早く帰ってこられる。『ル・サイク』で電動ロードバイクを借りれば、さらに快適な旅になるはずだ。その際、一緒に尻パッドを購入することを強く薦めたい。

アクセス

JR・私鉄・地下鉄上野駅からJR常磐線快速約1時間15分の土浦駅下車。また、JR常磐線高浜駅の近く、JR鹿島線潮来駅にも茨城県営の乗り捨て可能なレンタサイクルがあるので、そこからスタートするのもアリだ。

illust_2.svg

『つくば霞ヶ浦りんりんロード』 は、旧筑波鉄道の廃線敷と霞ケ浦を周回する湖岸道路からなるサイクリングロードだ。全長は180㎞にも及ぶ。特に、霞ケ浦方面は湖岸に張り付くように道があり、開放的な風景を眺めつつ走れる爽快感から、サイクリストに人気のコースだ。聞けば、初心者でも日帰りで一周する人も多いらしい。

起点は 『りんりんスクエア土浦』 がある土浦駅に設定。初めての挑戦なので、自転車は返却時間に余裕のあるHELLO CYCLING(ハローサイクリング)で調達した。本日は晴天なり。いざ出発!

反時計回りに湖を周回平らな道を走りゆく

路面には道しるべの矢羽根が。コースから外れずに、安心して走れる。

まずは駅を南下して、湖岸を目指す。桜川を渡り、そのまま川沿いを行けば、すぐさま霞ケ浦とご対面。海と見紛うばかりの広大な湖面は圧巻の一言! ちょいと自転車を停め、『グリンデルワルト』で買ったパンをむしゃり。カモの群れがぷかぷか浮かぶ景色は、なんとのどかなことか。

しかし、東西に続く湖畔は予想より広く、4時間走って、やっとこさ全行程の3分の1地点にあたる和田公園に到着。お尻が痛くなってきて少しつらい。「あれ、ちょっとなめてたかも?」 と不安が頭をよぎる。

広大な湖と田園風景の真ん中を突っ切る前半戦

湖南側の阿見町や美浦村では、常に対岸の筑波山を横目に走る。
和田公園沿いのゆるいカーブ。傍らに松の木が群生している。

けれど、湖東側の潮来(いたこ)市や行方(なめがた)市を北上してると、食事処や公園などの見どころも増え、モチベーション回復。昼食をとった 『食べ処わたなべ』 の店主・渡辺孝之さんによると、この界隈は1000年以上も昔の地名が残っていて、「千年村」と認証された地域らしい。なかなか抒情的だ。

天王崎公園で休憩を。展望塔兼トイレの「風の塔」が目印だ。
かすみがうら市と行方市を結ぶ霞ケ浦大橋。西に渡るか北上か、分かれ道。

食事処に夕焼けスポ ッ ト見どころ多い湖東側

『道の駅 たまつくり』で休憩をとったら、さらに北上する。湖北端近くのほほえみの浜を通るころはちょうど黄昏(たそがれ)時で、空を焼くような夕焼けの色には、ガツンと胸を打たれる……が、夢心地も束の間。日が沈んだ途端に周囲は暗闇に包まれ、光っているものといえば星の瞬きと自転車のライトだけ。草葉のざわめきや魚の跳ねる音にビビりながら、かすみがうら市の長い道を、ひたすら駆ける。

歩崎(あゆみざき)公園。園内にはかわいらしい水族館もある。

今思うと、『道の駅たまつくり』でショートカットコースに切り替え、富士見塚古墳を見たり、『古民家江口屋』に泊まったりというプランもありだったかも。そんなことを思いながら、『福来軒』のカレーラーメンで元気を補充。ラストスパートをかけ、無事、土浦駅へゴールイン!
込み上げる達成感は、お尻の痛みを忘れるほどで、癖になりそう。また別のプランを立て、挑戦したい!

1 りんりんスクエア土浦

チャリさんぽの起点にはここ!

『ル・サイク』で心構えを教えてもらう。

有人の『ル・サイク』と無人のHELLO CYCLING。2つのレンタルスポットがある駅直結のサイクリング拠点施設。自転車はネットで要予約。『ル・サイク』ではロードバイクや電動式などを選べるほか、ヘルメットやグローブを借りることも。

●10:00~20:00(HELLO CYCLINGは5:00~翌1:00)、不定休。☎029-835-3000

館内は自転車を引いて歩ける。目印を参考に。
地下にHELLO CYCLINGやシャワーがある。

2 グリンデルワルト

激ウマパンを朝のおともに

カステラ生地にカスタードクリーム入りの菓子パンUFO150円とサンドウイッチ350円。

「毎朝3時から仕込みを始めて、生地をじっくり発酵させてるんです」とは、店主の沼尻昇(のぼる)さん。和菓子と洋菓子の修業も積んだ経験から、カステラ生地の菓子パンやおはぎあんパン、パンで作った肉まんなど、ユニークなメニューを創作。せっかくだから景色のいい湖畔でかじりつきたい。

●8:00~20:00、火休。☎029-887-4316

沼尻さん。
1970年創業の老舗ベーカリー。

3 とみた家

おやつ代わりにうな重バーガー

創業60年の佃煮(つくだに)店の一風変わった看板は、うな重バーガー 480円だ。「うなぎを気軽に食べてもらいたい」と、3代目店主の冨田健児さんが始め、人気沸騰中! こんがり焼いたライスのバンズにふんわりうなぎのかば焼きをサンド。小腹がすいたタイミングで元気を補充したい。

●9:00~18:00、第2・4日休。☎029-886-0220

先は長いからここらで少し腹ごしらえ!

4 湖岸地蔵尊

筑波山を見つめ何を思う?

稲敷市の湖岸沿いで不意に出くわす子連れの地蔵。親地蔵の背中に刻まれているかすれた文字は、「天保十二年丑年吉日」と読める。はるか昔から界隈を水難から守っていたのかも。筑波山を望むように立つ姿が、どこか胸を打つ。少し進むと、青面金剛像とも出合える。

「お地蔵さんの近くに私もいるから見つけてみてね」

5 あらいやオートコーナー

寄らずにいられぬ珍スポット

年季の入った自販機。お札と500円玉は使えないので事前に用意を!

乳製品の販売を生業としていた先代店主が、商売の幅を広げようと1972年から手仕込み弁当の自販機を設置。以来、地元民やサイクリストの休憩所として人気のスポットに。品書きは焼肉弁当と唐揚げ弁当、ひれかつ弁当が定番。330円とリーズナブルながら、国産肉を使うこだわりようだ。

●8:00~20:00(随時補充、売り切れ次第終了)、不定休。☎0299-78-2526

焼肉弁当。手に取ってみるとホッカホカ。
店頭にテーブルあり。

6 食べ処わたなべ

和もあり洋もあり、昼めし処に◎

うどんミニ天丼セット1100円。

「色々な献立があったら楽しいと思って」と、店主の渡辺孝之さん。和食の技術を応用して、焼き魚やハンバーグ、ポークジンジャーといった、和洋問わぬ多彩なメニューが並ぶ。中でも人気はうどんだ。北海道産の小麦100%のコシの強い麺をすすると、ツルツル喉越しがなんとも爽快。

●11:30~14:00・17:00~21:00、木休。☎0299-72-1163

和風ハンバーグ935円。定食にするなら1200円だ。
右から渡辺さん、妻の広美さん、息子の佑一さん。「いっぱい食べて残りの道のりもがんばってね!」

7 道の駅 たまつくり

行方市の名産物はここで網羅

なめパックン500円と、紫イモを使った行方市産クラフトビール・行方の紫福500円。

行方市産の野菜や水産物、おみやげがズラリと並ぶ道の駅の看板は、ご当地バーガーのなめパックン。ナマズ肉のフライをたっぷり野菜と一緒にパティではさんだ一品だ。かぶりつくと、肉厚であっさりとしたナマズがピザソースと絡み、乙な味。もうひと息走るための元気をチャージできそう。

●10:00~16:00(土・日・祝は9:00~)、不定休。☎0299-36-2781

霞ケ浦の魚介類。

8 ほほえみの浜

波の音をBGMにして日没を見守る

霞ケ浦の北端に差し掛かる道を走っていると、ざざっと心地よい波の音が。2010年に造られた人工浜で、夕暮れ時に通りかかると、沈みゆく夕日の圧倒的存在感に、ペダルをこぐ足を止められる。しばし時間を忘れて見ほれていたい。

9 悠遊農園たまり(風の丘テラス)

夕暮れ時は見逃すべからず!

小美玉市の高台にひっそり潜んでいる、小さなテラス。霞ケ浦を一望できるこの場所からは、5月には筑波山にまっすぐ夕日が沈む「ダイヤモンド筑波」を拝むことができる。ぜひ立ち寄りたい、隠れた夕日スポットだ。

10 富士見塚古墳公園

古墳に上って見渡すパノラマ

古墳に上って見渡すパノラマ

高台の公園に鎮座するのは、6世紀初めごろに造られたと言われる、茨城県内でも有数の規模を誇る前方後円墳。古墳の階段を上れば周囲を360度見渡せる。なんだか空が少し近くなったような気分だ。また、ふもとには出土した埴輪や土器を鑑賞できる展示館もある(9:00~16:30、月休。無料。☎029-896-0174)。見学自由。

11 福来軒

名産たっぷりの町中華で夕食を

レンコンカレーラーメン750円。

「名産物を使って地元を盛り上げようと思って」とは、店主の藤澤一志さん。看板はレンコンカレーラーメンだ。リンゴの甘み感じるカレースープと濃厚で辛みあるキーマを少しずつ混ぜながら自家製レンコン麺をすすれば、疲れた体に活力が戻る。また、もうひとつの名物・カレーコロッケも外せない。揚げたてのサクサク食感に自然と頬が緩む。

●11:00~20:00、日休。☎029-821-1162

土浦に停泊した飛行船にちなんだツェッペリンカレーコロッケ160円。
藤澤さん。

【泊まるならここ!】ゲストハウス 古民家 江口屋

情緒あふれる古民家ゲストハウス

客室は洋室と和室が選べる。写真は洋室。

造り酒屋だった明治後期築の古民家を、昨年7月に改修。ゲストハウスとして生まれ変わった。梁(はり)や柱、土間など、もとの造作を活かした温かみある空間が心を落ち着かせる。羽釜で炊いたご飯や地産の野菜たっぷりの朝食。薪割り体験なども楽しめる。また、翌朝は早起きをして向かいの歩崎公園に繰り出し、昇る朝日を拝みたい。

●IN15:00~21:00・OUT~10:00、月休。1泊1人7700円~(朝食付き。1人での利用は+2000円)。☎080-9095-7800(9:00~17:00)

茶の間は共用スペース。酒やつまみを持ち込んで過ごすのも可能だ。
宿泊料+2万円で1棟貸し切りもできる。

取材・文=高橋健太(teamまめ) 撮影=鈴木康史
『散歩の達人』2021年4月号より