【コースガイド】

アクセス

【行き】京浜急行品川駅から京急久里浜線で約1時間20分の三崎口駅下車。三崎口駅より京急バス「三崎港」行き約15分の終点下車。
【帰り】三浦海岸駅から京急久里浜線で約1時間10分の品川駅下車。

三崎港周辺以外に行くなら、自転車がおすすめ。京急電鉄のおトクきっぷは、特典にレンタサイクルあり。三崎口駅やうらり、油壺などで貸出&返却でき、乗り捨て(+500円)もOK。3時間900円~。

平日はちょっとさびれた雰囲気。週末に、多くの観光客が来る一大観光地とは思えない。

三崎港でバスを降り、足早に向かったのは、『朝めし あるべ』。木造の民家が並ぶ路地は、昔の港町を彷彿(ほうふつ)とさせる。三崎で生まれ育ったという店主の菊地未来さんは、この界隈にとても詳しい。話の中で驚いたのは、お葬式の祭壇や法事などで和菓子をお供えする風習が続いているということ。すぐ近くの老舗和菓子店『宮田屋』に行くと、「妊娠すると帯祝いに団子、赤ちゃんが生まれるとぼた餅という慣習もあって、ゆりかごから墓場まで和菓子が根付いているんですよ」と、4代目の川名大介さん。

街を歩けば、昔ながらの商店や昭和風情のスナック、古い蔵や民家が混在。その中に、今どきの店もちらほら増えているが、元船具店の外観を活かした 『本と屯(たむろ)』 のように、どこも街並みにさりげなく溶け込んでいる。景観の保全計画はあるものの変にガツガツし過ぎず、自然の流れの中でつくられてきたゆるい懐かしさがこの街の魅力だ。

とことん欲張って自転車と三浦海岸も満喫

レンタサイクルなら行動範囲が広がる! 電動アシスト付きで上り坂もラクラク。

午後は、レンタサイクルで遠出することに。街の中心から少し離れた『涌魚(わきな)』 も自転車ならあっという間だ。食後は、海岸線沿いを自転車で北上。こぢんまりとした港にほのぼのし、諸磯湾(もろいそわん)では運よく富士山とご対面。油壺湾の先にある『ベッカライゾンネンキント』では本場仕込みのドイツパンを手に入れて、気分上々。せっかくなので三崎港に戻る前に、昔はこっちが海の玄関口だったという北条湾へ。周辺には遊郭の跡地もあり、マグロ漁で栄えていた頃のにぎわいが目に浮かぶ。

三崎港に戻ったら、『みやがわエンゼルパーラー』のパフェでひと休み。この地で約50年続いた老舗喫茶「エンゼル」が、2020年8月にパーラーとして生まれ変わった。レトロでかわいい空間には、喫茶時代の作りやインテリアが残されていて、ほっと落ち着く。

帰りは、三浦海岸駅行きのバスに乗り、あえてひとつ手前のバス停で下車して海へ。三崎とは違う、これぞビーチという景色もいいものだ。『ねもと長嶋米酒店』や『手土産いろいろ 三浦ストア』でおみやげを吟味したあとは、地元でも話題の『ao』へ。ワインが進む気の利いた料理が揃っていて、締めの寿司も最高! 三浦海岸での時間が加われば、一日の満足感が高まること間違いなし。

1 朝めし あるべ

旨い干物以外にも発見いろいろ

カジキのテールのひもの定食800円+生たまご50円。三浦野菜の総菜3種、汁物付き。

三崎で気に入っていた古い建物が壊されてしまい、誰かに頼っている場合ではない!と、空き家の課題解決と移住・創業支援するため会社を設立した菊地さん。ここは、事業の一環のトライアルキッチンで、朝の時間帯は菊地さん自ら厨房に立つ。地元民も絶賛の干物は、旨味が深く、身もしっとり。

●6:00~10:00、月・火休。☎046-876-8492

菊地さんの手が空いていたらいろいろ聞いてみて。
築57年の建物。建築を学んだ菊地さんが設計し、できる限り既存の造りを活かして改装した。

2 宮田屋

三浦の歴史とともに約100年

右から4代目の川名大介さんと、ご両親の光義さん、奈保美さん。

大正時代から続く和菓子店。マグロ漁船で栄えた頃は、お菓子を一斗缶に入れ、船員さんに販売していた。昔は洋菓子も並んでいて、今もデコレーションケーキは予約制で注文可。看板商品「あわび最中」や、蒸しパン風の「三浦の華」、4代目が考案した焼菓子「宝玉」にもファンが多い。

●7:30~17:30、月休。☎046-881-3519

「三浦の華」120円(手前)、「宝玉」200円(左)、あわび最中170円。

3 本と屯(たむろ)

本とお茶のスペースがますます進化

最近は、町づくりに興味のある若者がミネさんに会いにやってくる。

出版社を営むミネシンゴさん夫婦の私物+知り合いからの提供を合わせた約5000冊の本や雑誌がぎっしり。コーヒーを飲みながら、好きなだけ読んでいい。2020年2月には2階に美容院がオープンし、土曜日に間借りキッチンで食事も提供開始。今後の展開が楽しみだ。

●10:00~17:00、月と第2・4火休。☎050-3592-4819

ドリンクは、ブレンドコーヒー 400円、ビール500円など。

4  涌魚(わきな)

ここまで足を延ばす価値あり

この日は、ホウボウ、ヒラメ、スミイカなど全7種。もちろん、三崎マグロも。

店主・飯嶋渉さんの父親は三崎の漁師。そのあとを継いだ兄の手伝いで、毎朝漁に出る。魚影が濃く、500種類は捕れるとか。海鮮丼1700円は、魚の旨味や甘みが濃くてびっくり! それぞれのねっとりとした絶妙な舌触りから丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。

●11:30~14:30・17:30~ 21:00、金・第1木休。☎046-884-9323

基本は飯嶋さん一人で、昼は奥さまがお手伝い。

5  諸磯湾(もろいそわん)

富士山の絶好のビュースポット

小さな入り江に停泊したヨットの間に、裾野まで大きく見える富士山が絵になる。交通手段が少ないため、静かで海も透明度が高い。毎年4月29日と8月14日ごろに、ダイヤモンド富士が見られることでも有名。

諸磯湾に立つ小屋。壁面の文字がシンプルで粋。
諸磯湾からさらに下った浜諸磯に立つ諸磯神明社。小桜姫の伝説から、パワースポットとしても人気。

6 ベッカライゾンネンキント

開店と同時にお客さんが続々

人気のプレッツェルは180円~。続々とお客さんが訪れ、早く売り切れることも。

店主の重田明子さんは元パティシエで、ドイツへお菓子作りの修業に行ったはずが、パンのおいしさに目覚め、いつしかパン職人に。祭事での出店が評判で店を構えることになった。「パンはドイツの作り方しか知らなくて」と言うが、だからこそ現地のレシピに忠実で、本場の味が楽しめるのだ。

●10:00~17:00、火・水休。☎046-880-1505

生まれ育った小網代に、2020年4月オープン。

風景にも注目

三崎は高台に住宅地があり、長~い階段が多い。毎日上り下りしてたら鍛えられそう。
階段の上にある本瑞寺。散歩道からは城ケ島や橋、港が一望できる。
路地に入ると、猫との遭遇率が高い。

7 みやがわエンゼルパーラー

思い出に残る旬の味わい

朝摘みいちご、メロン、せとかのぜいたくパフェ 2090円。果物の内容は、収穫次第で変更あり。

宮川湾にあった「みやがわベーグル」のチームが、「エンゼル」の場所にオープンしたというのが店名の由来。店主の蛭田奈奈さんが開店前に農園で果物を仕入れるため鮮度抜群で、特にイチゴは朝摘み! 果物を活かしたシンプルな味だから、軽くてペロリと食べられる。

●11:00~16:00ごろ、月・火休(4月~は11:00 ~ 17:00、火・水休。祝日は営業。SNSで要確認)。☎046-845-8118

おみやげなら、『うらり』も忘れずに。「やさい館」では地場野菜のほか、三崎恵水産のマグロコンフィもおすすめ。
エンジ色のカーペットが敷かれ、靴を脱いで上がる。

8 ねもと長嶋米酒店

おみやげ探しや休憩スポットとしてもどうぞ

三浦のおみやげコーナーには、三浦大根焼酎1430円、松輪産のひじき375円など。

幅広い年代の人たちがふらっと入れるような場所にしたいと、2020年8月にリニューアル。三浦の野菜やみやげ、駄菓子コーナーを新設。配送トラックのイラストがかわいいオリジナルバッグ600円~も。店先のベンチで、購入した缶ビールなどをぷはーっと飲んじゃってもOK。

●8:30~19:00、水・第3木休。☎046-888-0002

5代目の長嶋崇さんと奥様の年世さん。

9 手土産いろいろ 三浦ストア

農園の枠を超えたアイデアがキラリ

尚子さんが何代目かわからないほど、高梨農園の歴史は長い。

色とりどりのピクルスやジャムがずらり。どれも素材を大切にした自然でやさしい味だ。これらを考案したのは、三浦半島で古くから続く高梨農園の髙梨尚子さん。ご主人担当の骨董品や古物の店『讃々舎(さんさんしゃ)』の商品も並ぶ。味わい深い器やカゴなど、気になるものばかり。

●11:00~18:30、水・木休。☎046-874-4654

季節の三浦ピクルス550円~。時季により中身は変わる。

10 ao

飲んだり、食べたり。旅の締めに最高!

三浦野菜のサラダ950円、太刀魚のフリット950円など。おひとり様は少なめもOK。

約30年続いた「鮨処紀川」が父親から息子にバトンタッチされ、『ao』に生まれ変わった。メニューはジャンルを問わず、カルパッチョや唐揚げ、パスタ、よだれ鶏など、「自分たちがお酒と楽しみたいと思うもの」。寿司屋時代の煮つけや刺し身などがあるほか、オリーブオイルで味わうかんぴょう巻きが斬新でおいしい!

●12:00~21:00、日・月休。☎046-854-8477

店主の木川賢太さんと奥様の奈津貴さん。
暖簾に寿司屋の名残を感じる。
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昭和の風情が残る三浦海岸駅前。飲み足りなければさくっともう一杯。

取材・文=井島加恵 撮影=小澤義人
『散歩の達人』2021年4月号より