蓮沼海浜公園
端から端まで歩き通すだけでもひと苦労
九十九里浜に寄り添うように南北4㎞にわたって細長く延びる広大な県立公園。メイン施設の蓮沼ウォーターガーデンは夏季のみの営業だが、気軽に散策を楽しめる水の広場やいこいの広場のほか、パークゴルフ場(4コース、全36ホール)、テニスガーデン、こどものひろばなどが点在。園内にはリゾートホテル『蓮沼ガーデンハウスマリーノ』もある。
●有料施設・展望塔を除き散策自由。
千葉県山武市蓮沼ホ368-1ほか。
☎︎0475-86-3171(公園管理事務所)
道の駅オライはすぬま
自分の家のようにくつろいだ気分に
聞き慣れない「オライ」とは地元の方言で「我が家」のこと。道の駅内の施設は情報コーナー、農産物や水産加工品などを扱う物産館、レストラン、小さな売店のみ。しかも立ち寄りやすい幹線道路沿いに立地しているわけでもないのに、わざわざここを目指して訪れる人の姿が絶えないあたりに、人気の秘訣が垣間見える。週末や祝日に開催されるイベントも何が飛び出すか楽しみだ。
さかなやの食事処うおたみ
地元客も訪れるメニュー豊富な海鮮食堂
地域に密着した鮮魚店併設の気さくな食堂。地の物を中心とした新鮮な魚介類(内容は時季により異なる)が舟盛りでどかーんと提供されるうおたみ定食1650円や、うおたみ定食にさらに揚げ物とハマグリ2、3個を追加した房総定食2750円の人気が高い。1000円前後の海鮮丼ぶりメニューも多く揃うので少食の方でも安心だ。全国各地から集めた希少な地酒の充実ぶりにもびっくり!
梶いちご園
感染症対策を施した園内でイチゴ狩りを存分楽しめる
「小手苺園」として長く親しまれてきたが今シーズン(2021年)から屋号を現名称に一新。育苗期の徹底した株づくりに始まり、根張りが良くなるよう少量多灌水にこだわり育てたイチゴは、さちのか、とちおとめ、おいCベリー、やよいひめなど13、14品種。
2021年のイチゴ狩りは5月9日まで(40分1700円、3月25日以降1500円、4月7日以降1200円)。直売所もある。
浪切不動院
不動明王を祀る朱塗りの本堂に目を奪われる
JR成東駅からほど近い標高30mの小さな丘・石塚山(石塚の森)。その中腹、沖積世(ちゅうせきせい)の凝灰質砂岩からなる硬い岩石上に、石積みの基壇に支えられた入り母屋造り瓦葺(ぶ)きで朱塗りの本堂が堂々と立つ。正式名は成東山不動院長勝寺本堂で、行基菩薩作とされる本尊の不動明王および「こんがら・せいたか」の二童子が安置されている。
山武市歴史民俗資料館
代表作「野菊の墓」で知られる伊藤左千夫の生家に隣接
1階の企画展示室では、2020年が「成東・東金食虫植物群落」国天然記念物指定百年の節目に当たったことから、現在「食虫植物群落保存 百年の道のり」第Ⅱ期を展示解説中(2021年5月30日まで)。2階では、この地で生を受け、アララギ派歌人・小説家として名を残した伊藤左千夫に関する作品や資料を常設展示している。
守屋酒造
千葉県産米による日本酒醸造にとことんこだわる
明治26年(1893)創業の蔵元で日本酒をはじめ、焼酎やリキュールも製造。代表銘柄の辛口純米・舞桜720㎖ 1375円やこだわり純米旨口・舞桜同1270円は3年熟成したうえで出荷している。5代目蔵主の守屋雅博さんはかなりのアイデアマンで例年酒蔵コンサートも企画。試飲もできる直売所ではワンカップ1本からオリジナルラベルを作ってくれるので、旅の記念やおみやげにもピッタリ。
本須賀(もとすか)海水浴場
キャッチフレーズは“空に続くビーチ”
太平洋に面し、多くの海水浴場が点在する九十九里浜。こちらは33項目の厳しい基準を設けた国際環境認証であるブルーフラッグ認証を、2019年に千葉県内で初めて取得したお墨付きのビーチとして知られる。なお現地は津波対策工事のため2021年3月末まで立入り禁止の見込み。最新情報を確認してから訪れたい。
●千葉県山武市本須賀3841ほか。
☎0475-80-1202(山武市わがまち活性課)
(日本一魅力のない)山武市を変えよう会
魅力度最下位の結果を受け、「何とかしないと」と会を立ち上げたのが市内でリフォーム会社を営む池田久和さん。子ども食堂の運営などで培った人脈を頼りに寄付や物品の提供を募り、山武市のPRを自発的に始めた。「手作りの活動ですが、イベントに立ち寄った人にSNSなどで山武市の名を広めてもらうだけでなく、地元住民の意識も変わるきっかけになれば」との思いも。最下位脱出に向けた企画を引き続きアレコレ考案中だという。
九十九里七福神めぐり
御朱印をいただいて七福神の徳を得よう
市内に点在する馬頭観音堂(毘沙門天)、光明寺(寿老人)、慈広寺(恵比寿神)、月蔵寺(大黒天)、海厳寺(弁才天尊)、真光寺(布袋尊)、宝積寺(福禄寿)に祀られている七福神。宝船に乗った七福神のイラストが描かれた御朱印紙を手に各寺に詣でる趣向だ。なお馬頭観音堂は無人のため御朱印は光明寺でいただく。
●御朱印紙500円、御朱印代1カ所200円。
御朱印対応時間帯は寺ごとに異なる。山武市内各所。
☎0475-82-4597(同事務局/光明寺内)
マラソンの碑
地元のパンフレットにも載っていない隠れスポット
女子マラソンの名伯楽として多くのランナーを育てた故・小出義雄氏。光明寺裏山は山武農業高校在学中にこの地で合宿を張り、練習に明け暮れた場所であることから、縁あって同寺境内に碑を建立。教え子でシドニー五輪女子マラソン金メダリスト・高橋尚子と本人の足形が仲良く並んでいる。
●見学自由。千葉県山武市富田1715
☎0475-82-4597(光明寺)
たまごやとよまる 松尾本店
県内に5店舗を展開する人気店の拠点が山武市に
日々のニワトリの世話、良質な飼料、清潔保持を徹底し、安全・安心でおいしい卵づくりにこだわる。看板商品のまことのたまごは生臭みがなく濃厚なコクが特徴。地元・大高醤油の協力を得て開発した甘めのオリジナルだし醤油320円とたまごかけご飯との相性も抜群だ。プリンなどのスイーツも販売。イートインコーナーもある。
しだれ桜
市北西部の古刹で春の訪れを身近に感じる
山武市北西部、旧山武町内埴谷地区にある長光寺と妙宣寺。それぞれの境内に植えられたしだれ桜は、春の訪れとともに薄紅色の小さな花を咲かせ、地域住民に親しまれてきた。例年3月中旬に開花し、2週間ほどではかなく散るが、その年の気候により前後するので、観光協会のHPで最新の開花状況を確認してから出かけるといいだろう。
●見学自由。千葉県山武市埴谷1175(長光寺)
千葉県山武市埴谷1396(妙宣寺)
☎0475-82-2071(わが街ご案内処)
小川豊商店
昔ながらの天日干しにこだわる落花生専門店
1955年創業の千葉県産落花生(ピーナッツ)専門店。現在は3代目の小川周哉さんが店を取り仕切る。以前は近隣の契約農家から仕入れた良質の落花生のみを取り扱っていたが、近年自家栽培も手がけ始めた。滋味深い味わいの従来品種「千葉半立」に加え、よりいっそう甘みが強く、しっとりとした口当たりの新品種「Qなっつ」の生産・加工・販売にも積極的に取り組んでいる。
さんぶの森公園
野鳥のさえずりを耳に気ままな散策を楽しめる
遠くからでもひときわ目立つグリーンタワーが目印の、起伏を生かした自然豊かな公園。ランドマークのグリーンタワー(内部立ち入り不可)を取り囲むように、芝生が目にも鮮やかなふれあい広場や季節の花が咲き誇る花の谷、やすらぎの池などが点在している。園内には遊歩道も整備されているので、気軽に森林浴を楽しむのにも好適だ。
●散策自由。千葉県山武市埴谷1904-3
☎0475-80-9100(公園管理事務所は月休〔祝の場合は翌火休〕)
賀茂神社の大杉
地域の歴史を静かに見守ってきた御神木
人影少ないうっそうとした森にある賀茂神社。社殿に向けて年季の入った石段を上っていくと、右手に高さ35m、胸高の太さ6.35mの大きな杉が現れる。今から500年ほど前に植樹されたと伝わる老樹で、御神木として今なお氏子の信仰を集めている。市指定天然記念物。
●見学自由。千葉県山武市森1093
☎0475-82-2842(山武市歴史民俗資料館)
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2021年3月号より