藤岡歴史館
古墳群の探訪前にぜひ立ち寄りたい
2018年に開催された群馬HANI-1(はにわん)グランプリで見事1位に輝いた「笑う埴輪(はにわ)」をはじめ、市内で出土した数々の埴輪を、古墳群の解説とともに常設展示。何げなく並べられた多種多様な土偶の豊かな造形にも驚かされる。零戦(ぜろせん)の設計者でありアニメ映画『風立ちぬ』のモデルにもなった藤岡出身の堀越二郎の足跡をたどるコーナーもある。
ららん藤岡
藤岡の情報発信を担う施設充実の道の駅
上信越自動車道藤岡PA(上り方面)のハイウェイオアシスを兼ねた広大な道の駅としてマイカー族にはおなじみのスポット。噴水広場を囲むように、観光案内所をはじめ、農産物直売所の入る「アグリプラザ」、「花の交流館」、多彩な食事処やみやげ店、コンビニ、さらにミニ遊園地までもが一堂に集まる。
●営業時間、休みは施設ごとに異なる。群馬県藤岡市中1131-8。
☎︎0274-24-8220
白石古墳群
大小さまざまな規模の古墳がぎゅぎゅっと密集
市の北西部に位置し、鮎(あゆ)川と鏑(かぶら)川に挟まれた段丘に点在する古墳の総称。古墳は5世紀前半から200年以上にわたり造り続けられたと見られ、この周辺だけでも約270基が確認されているというから驚きだ。一帯は毛野国白石(けのくにしろいし)丘陵公園として整備が進められており、その一環として設けられた七輿山(ななこしやま)古墳北側の七輿の門には、駐車スペースとトイレ棟がある。
●散策自由。群馬県藤岡市白石・三ツ木・上落合。
☎︎0274-22-6999(藤岡歴史館)
庚申山総合公園
豊かな自然が残り、市民が憩うほっとスポット
周辺に住宅地が広がる平坦な地に、ここだけこんもりと突き出た丘陵地が目を引く。ぐんま百名山でもある庚申(こうしん)山(標高189m)の北東側斜面に広がる自然豊かな公園として整備され、野鳥のさえずりを耳にしながらの遊歩道散策が楽しい。園内には「ミニ動物園」や眺めのよい「ふじの咲く丘」もある。
虎屋Cafe.
随所にこだわりが光る清楚な和風お休み処
明治38年(1905)創業で藤岡を代表する和菓子屋『虎屋本店』の2階にある和風カフェ。職人手作りの餡(あん)や餅を用いた和のデザートが豊富で、人気は本店の看板商品きびどらに濃厚なソフトクリームをトッピングした「きびどら鬼ソフト」。ランチタイム限定の素材にこだわった赤飯セットメニュー(数量限定)お目当てに足を運ぶ人も多い。
麦挽屋 今助
一見ミスマッチながらクセになる複雑な味わい
地元の製麺会社・根岸物産が営む直売所で、併設する食事処の名物メニューは藤岡市主催のC-1グランプリを受賞したこともある「キムトマ焼きうどん」729円。独自の練りを加えた焼きうどん専用麺に、酸味の強い地場産トマトやキムチの入った特製ソースを絡め、味にまろやかさを出すためスクランブルエッグをトッピング。
松屋酒造
少数精鋭で醸す地元密着の小さな蔵
地域に根差した酒造りを信条としており、日本酒度+10の平井城超辛純米吟醸(1800㎖ 2750円)は、群馬県で開発された酒造好適米や酵母で醸したオール群馬の限定酒。日本酒度+3の平井城純米吟醸(1800㎖ 2750円)は穏やかな口当たりで食中酒に合う。昔ながらの舟搾りにこだわり、圧をかけずに集めた酒は出来ばえも上品。新酒の時季は酒粕(1kg570円)も特に人気。
居酒屋 奥多野
住宅街の路地裏にひそむ筋のよい古民家風酒処
大通りから狭い路地をわずかに入った先にある、地元で人気の高い居酒屋。快く出迎えてくれた店長の松岡伸さんは、きき酒師と日本ワインマスターの資格を持つだけに品揃えが充実しており、地元・群馬の蔵元の地酒も見逃せない。県内上野村で育った肉にこだわった名物「いのぶた鍋」は魚介系混合ダシをベースに味噌と醤油を加えたスープとの相性も抜群だ。
鬼瓦に出合うまち
鬼瓦(おにがわら)? 鬼面瓦(きめんがわら)? 正しいのはどっち?
藤岡のまちを歩くと、公共施設やお寺の本堂の屋根などで目にすることのある鬼瓦。そんな鬼瓦づくりを手がけるのが市内ではただ一人、全国的にも数えるほどしかいない“手彫りの鬼瓦職人”山口茂さんだ。山口さん曰く、「誤解している人が多いけど、鬼瓦とは文様などの細工を施した瓦の総称で、そのなかで鬼の顔をかたどった瓦を鬼面瓦と呼ぶんだよね」とのこと。私自身すっかり誤解していたが、意外に違いを知らない藤岡市民も多いかも。
関東管領平井城址公園
復元された城跡に立ち戦国の乱世に思いを馳(は)せる
関東管領(かんれい)とは室町時代に東国支配の要であった鎌倉公方(くぼう)の補佐役であり、鎌倉府の最高職のことを指す。関東管領として実権を握った山内上杉氏の居城である平井城の築城時期は説が分かれるが、天文21年(1552)に落城した居城跡の発掘が進み、現在は明るい公園として復元整備されている。界隈は民有地が入り組んでいるため訪れる際は注意したい。西方には山城を復元整備した関東管領金山城址(かなやまじょうし)公園もある。
●散策自由。群馬県藤岡市西平井235-1ほか。
高山社(たかやましゃ)跡・ 高山社情報館
意外に知られていない、藤岡が誇る世界文化遺産
世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構成する資産の一つ・高山社跡。良質な繭を安定供給するための養蚕法「清温育(せいおんいく)」を確立した高山長五郎が、技術の普及のために指導し、養蚕業の発展に努めた教育組織が高山社である。高山社跡と遊歩道で結ばれた高山社情報館では、養蚕にまつわる基礎知識をガイド付きで分かりやすく理解できる。
二千階段
脚力自慢なら挑みたい子王山への激坂登山道
かつて平将門の家臣が山城を築いた地と伝えられる標高551mの子王山(こおうやま)。下日野側と高山側に登山口があり、それぞれ約1600段と約400段の階段が山頂へと続いている。足を踏み入れると、段数を数えるのが億劫(おっくう)になるほど傾斜がきつい場所もあるので、心して臨もう。踏破するなら、足場の悪い下日野側から登ってから明るく整備された高山側へと下り、各登山口間は山腹の迂(う)回路を利用するのがおすすめだ。
●散策自由、1周所要約60分。群馬県藤岡市下日野・高山。
蛇喰渓谷遊歩道
渓谷美を眺めながら鮎川沿いをブラブラ
鮎川をせき止め、一帯の田畑を水浸しにしたとの大蛇伝説が残る日野地区。浸食された緑色片岩などが目を引く蛇喰(じゃばみ)渓谷に沿うように、印地橋から片道500mほどの平坦な遊歩道が県道175号の対岸に整備されている。訪れる人は少なく、取材時には大蛇ならぬアオダイショウや野生のシカに出くわすハプニングも。
●散策自由、往復所要約20分。群馬県藤岡市下日野。
土と火の里公園
のどかな山々に囲まれた市営の工芸体験村
鮎川沿いの静かな環境で、気軽にものづくり体験を楽しめる。園内には染色工房、ガラス工房、陶芸工房が立ち並び、自分だけのオリジナル作品を専門家の指導を受けながら作ることができる。体験内容が限られる日や時間帯もあるので事前予約が望ましい。食事処や作家の作品を集めた売店も併設。
桜山公園
春と冬に2度も花が咲く希少種の冬桜は今が見頃
群馬県民であれば誰もが知っているとされる「上毛(じょうもう)かるた」で、「三波石(さんばせき)と共に名高い冬桜(ふゆざくら)」と詠まれる国指定の名勝および天然記念物の冬桜。公園として散策路が整備された標高591mの桜山一帯には約7000本もの冬桜が植えられ、例年11月〜12月半ばに開花の見頃を迎え、多くの見物客でにぎわう。「さくら名所100選の地」にも選定されている。
●散策自由。群馬県藤岡市三波川2166-1ほか。
☎︎0274-52-3111(藤岡市鬼石〈おにし〉総合支所にぎわい観光課)
八塩(やしお)館
冬桜見物とあわせて立ち寄りたい古湯
古くより「塩ノ湯口八箇所」と呼ばれ、塩分濃度の高い鉱泉が湧出することからその名が付いたとされる八塩温泉。現在3軒の宿が点在しているが、最も山寄りに位置するのがこちらの湯だ。地元で産出した三波石をふんだんにあしらった岩風呂は、南向きで明るい。
不動の滝
規模は小さいものの特有の神秘さが漂う
県道から三波川を渡り、うっそうとした森の中を道標に導かれて歩くこと約5分。轟音(ごうおん)とともに姿を見せるのが不動の滝だ。落差はおそらく10mもないと思われるが、周囲から隔絶された感が色濃く漂う。名の由来となった不動明王を祀る御荷鉾(みかぼ)山不動尊にも立ち寄りたい。一帯の自然歩道は関東ふれあいの道にも選定されている。
●散策自由。群馬県藤岡市三波川。
下久保(しもくぼ)ダム
ダムマニアも一目置くL字形堤体を見逃すな
群馬県と埼玉県を隔てる神流川をせき止め1968年に完成。地形を活かした堤体は全国的にも珍しいL字形をしており、重力式コンクリートダムとしては日本一の堤頂長を誇る(主ダムと補助ダムの合計605m)。
●散策自由、群馬県藤岡市保美濃山ほか。
ダム訪問の記念に、ボリュームたっぷりの「下久保ダムカレー」もぜひ(『道の駅上州おにし』内「暖炉亭」)。
●11:00〜14:00(土・日・祝は15:00まで)。火休(祝の場合は翌水休)。群馬県藤岡市譲原1089-2。
☎︎0274-52-3300
三波石峡
巨石や奇岩が独特の景観を生み出す
神流川の流れが生み出した約1.5kmのV字峡谷で、桜山公園の冬桜同様、国の名勝および天然記念物に指定されている。庭石として名高い緑色片岩の三波石が渓谷美にアクセントを加え、見る者を魅了する。川床へ近づける歩道は滑りやすいので要注意だ。なお現地へのアクセス道路は復旧工事のため本年11月末まで通行止めの予定。最新情報はよく確認を。
●散策自由。群馬県藤岡市譲原。
☎︎0274-52-3111(藤岡市鬼石総合支所にぎわい観光課)
ばぁばのシフォン
安心・安全な手作りスイーツに頬が緩む
元々は電器店のおかみだった梅原忍さん。独学で覚えた手作りお菓子が評判を呼び、2016年にイートインスペースを備えた小さな店をオープンした。近隣の契約農家から取り寄せた新鮮な卵に、地元で採れる果物や野菜などを加えたシフォンケーキは定番4種(各250円)と季節の日替わり4種(各300円)。絶妙なフワフワの食感に、ばぁばの人となりが垣間見えるよう。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2020年12月号より