高架下の片隅ではじめの一歩を踏み出そう『あやセンター ぐるぐる』

イベントがないときは「park」でカフェ利用も。作業や打ち合わせ、キッズスペースとしても開放している。
イベントがないときは「park」でカフェ利用も。作業や打ち合わせ、キッズスペースとしても開放している。
綾瀬高架下の新たな動きを実感!
綾瀬高架下の新たな動きを実感!

「やりたいことを、なんでもカタチに」とは、コミュニティービルダーの君塚豊さん。何かを始めたい地域住民の背中を押すべく、行政と連携して作られた空間だ。書店とバーを併設した「oasis」でやりたいことを見つけ、「base」で相談。「park」でイベントを実施する。これなら一歩を踏み出せそうだ。

住所:東京都足立区綾瀬4-6-34/営業時間:base・parkは11:00~18:00(土・日・祝は10:00~)、oasisは14:00~20:00(土・日・祝は10:00~19:00)/定休日:月

多種多様なベーグルに心惑う、心弾む『しんのすけベーグル』

スパイス香る夏野菜カレー370円(左)で元気補充! もちふわ軽やか食感の玄米ベーグル200円(中央)。酸味と甘みが絶妙な、ブルーベリーチーズ330円。ベーグルは何味にもなれるんだ!
スパイス香る夏野菜カレー370円(左)で元気補充! もちふわ軽やか食感の玄米ベーグル200円(中央)。酸味と甘みが絶妙な、ブルーベリーチーズ330円。ベーグルは何味にもなれるんだ!

ベーカリーに勤めていた店主の佐藤大さんは、ベーグルの可能性に開眼。生地に味わいの変化をつけたり、総菜をたっぷりのせたり、常時約40種類が所せましと並ぶ。「軽い食べ口が好みで」と、工夫を凝らした生地は、もちふわながら、とても軽やか。がっつり具材がのった総菜ベーグルもペロリと平らげてしまえそう。人気の焼き菓子もいただいちゃおうかな。

住所:東京都足立区綾瀬5-14-17/営業時間:10:00~17:00/定休日:月・火

雑貨×植物の無限の組み合わせ『Giardino della Luce/EL SOL(ジャルディーノ デッラ ルーチェ/エル ソル)』

雑貨担当の山田幸子さん(写真右)と、植物担当の後藤亜紀子さん。
雑貨担当の山田幸子さん(写真右)と、植物担当の後藤亜紀子さん。
左から、ビンテージ雑貨を合わせた養生植物アレンジメント4000円、オリジナル鉢カバー3600円。
左から、ビンテージ雑貨を合わせた養生植物アレンジメント4000円、オリジナル鉢カバー3600円。
相談して「自分好み」を発見!
相談して「自分好み」を発見!

足を踏み入れれば、そこは別世界。雑貨担当の山田幸子さん。植物担当の後藤亜紀子さん。それぞれの「大好き」をかけ合わせた品々が、店内を埋め尽くす。「植物は、初心者でも育てやすいものを揃えてます」と、後藤さん。気に入った一株を見つけたら、書籍やブリキの兵隊といったユニークな鉢に目が移る。育て方や飾り方を相談できるのも心強い。

住所:東京都足立区東綾瀬1-21-7/営業時間:11:00~18:00/定休日:日・火/アクセス:JR常磐線・地下鉄千代田線綾瀬駅から徒歩5分

スペシャルティコーヒーの通な楽しみ方『BASEcafe&bar 綾瀬』

ノンアルも充実。エスプレッソ文化圏特有のエアロカーノ850円は、豆の風味を軽やかに感じられて飲みやすい。ハヤシライスは1300円。
ノンアルも充実。エスプレッソ文化圏特有のエアロカーノ850円は、豆の風味を軽やかに感じられて飲みやすい。ハヤシライスは1300円。
コーヒー屋さんの本気カクテル!
コーヒー屋さんの本気カクテル!

厳選したスペシャルティコーヒーが看板だが「昼飲みのお客さんが意外と多いんです」と、店主の田村基(もとい)さん。客の心を摑んで離さないのが、エスプレッソマティーニだ。ひと口含めば、豆の果実味がカシスの風味と交わり、爽やかに口中を埋め尽くす。「するするいけるから気をつけて」と、妻の愛さん。ハヤシライスも合わせて、ゆっくり楽しもう。

住所:東京都足立区綾瀬5-15-10/営業時間:10:00~17:00・19:00~22:30(日は10:00~18:00)/定休日:水・木/アクセス:JR常磐線・地下鉄千代田線綾瀬駅から徒歩9分

欧州カジュアル古着に心掴(つか)まれる『古着屋PARER 綾瀬店』

一期一会の服との出合いが。
一期一会の服との出合いが。

店内に所狭しと並ぶのは「Stone Island」や「CHEVIGNON」、「C.P.Company」といった、欧州のカジュアルブランド。オーナーの吉田響さんが現地へ渡り、惚(ほ)れ込んだものを買い付けている。「ニッチだからこそ、ハマる人が多いです」とは、店長の渡邉善さん。誕生秘話や裏話も交えて話してくれるから、目の前の服が妙に愛おしく見えてくる。古着のリメイクやレディースものにも注力。とっておきの一着を見つけたい。

住所:東京都足立区東綾瀬1-26-7/営業時間:14:00~21:00/定休日:無/アクセス:JR常磐線・地下鉄千代田線綾瀬駅から徒歩10分

ここが街の新たなサードスペース『Rokumachi cafe』

バスクチーズケーキ630円。アイスコーヒー550円と一緒に。
バスクチーズケーキ630円。アイスコーヒー550円と一緒に。
昔ながらのナポリタン(サラダ付き)980円。フードメニューは、スタッフ全員であれこれ相談しながら開発している。
昔ながらのナポリタン(サラダ付き)980円。フードメニューは、スタッフ全員であれこれ相談しながら開発している。
アーティストが直接描いた壁絵も。
アーティストが直接描いた壁絵も。

オーナーの葭葉康世(よしばやすよ)さんが「六町に人が集まれる場所をつくりたい」と願いを込め、2026年の2月に開店した。広くて明るい店内に足を踏み入れると、マネージャーの川口楓瑚(ふうご)さんが爽やかにお出迎え。看板は「専門家の意見を取り入れた」というバスクチーズケーキだ。ふわふわで、舌にのせた瞬間、あま~くとける。どこか懐かしい味わいのナポリタンも、ホッと心和む。

住所:東京都足立区六町2-6-27/営業時間:10:00~20:00/定休日:不定/アクセス:つくばエクスプレス六町駅から徒歩3分

絶品おにぎりを頬張り、米の味わいを知ろう『桶亀米穀店』

かき餅も人気。醤油、塩の2種から選ぼう。
かき餅も人気。醤油、塩の2種から選ぼう。
大正時代の建物が生まれ変わった!
大正時代の建物が生まれ変わった!

この地での商いは大正時代から。米屋は1945年から始まり、現在は3代目の姉妹が営んでいる。「いろいろな米の味わいを知ってほしくて」と、店主の伊藤友美さん。そのときに仕入れている米をおにぎりにして販売している。口の中に含めばほろりとほぐれ、海苔の芳香がふわり。バキバキにしょっぱい自家製梅干しが、米のうまみをグイっと引き上げる!

住所:東京都足立区綾瀬1-34-31/営業時間:8:30~17:30/定休日:日・祝/アクセス:JR常磐線・地下鉄千代田線綾瀬駅から徒歩5分
illust_2.svg

小さくゆるやかな進化が、心地よい

10年ほど前、綾瀬で暮らしていたことがある。牧歌的な風情は心地よいものの、若かりし僕には刺激が足りず、どこか退屈に感じていた。約2年経ち、更新を機に街を離れる。以来、訪れることもなかったから、北口のだだっ広いロータリーに、大きなマンションができていてびっくりした。そうか、離れている間に、街は進化していたんだな。

西口の高架下には、2023年に『あやセンターぐるぐる』ができた。実に20年間、シャッターが閉まっていて通りも真っ暗だった。今では「自分のやりたいこと」を実現しようとする人々が集まり、連日イベントが開かれ、にぎわっている。

綾瀬駅西口側の高架下には、新スポットの灯りが。
綾瀬駅西口側の高架下には、新スポットの灯りが。
東綾瀬公園の入り口は、近代的な風情に。
東綾瀬公園の入り口は、近代的な風情に。

「ここで一歩を踏み出して、自主的に街へ関わる人も現れています」とは、コミュニティービルダーの君塚豊さん。暮らしている街にどうかかわるか。そのきっかけがあれば、街へ愛着を持つための入り口になるだろう。

最近、大きく発展を遂げた北綾瀬。こちらへ向かう道中には、なかなか粒揃いの店が潜んでいる。『しんのすけベーグル』の店主・佐藤大さんは、もともと台東区に暮らしていたが、現在の店の大家との出会いがきっかけで、綾瀬にお店をオープンした。「すごく助けてもらって、今、好きなことができています」。

数十m先の『BASEcafe&bar綾瀬』にも足を運ぶ。厳選したスペシャルティコーヒーに、エスプレッソのカクテル。おしゃれだ……。俺の知っている綾瀬らしくない。「オープンした当初、よく言われました(笑)」と、店主の田村基さん。妻の愛さんは「友達を誘って、意を決して来た、という人が多いです」と、微笑(ほほえ)む。シャイな住民が多いのかしら。「住宅地だし、安心したい方々が多いのかも」。なるほど、けれどもひとたびハードルを越えれば距離が近くなるのも、下町情緒だ。

『東京武道館』のデザイン、なんかカッコイイ。
『東京武道館』のデザイン、なんかカッコイイ。
綾瀬川にかかる高速出口。アート作品のよう。
綾瀬川にかかる高速出口。アート作品のよう。

界隈を歩いて行くと、雑貨店と植物店が融合した『Giardino della Luce/EL SOL』や欧州古着特化の『古着屋PARER綾瀬店』といった、個性的な店とも出合える。どちらの店でも店内を物色していると、通りすがりの小学生が入ってきて、店のスタッフと元気に話している。すごいな、子供たちの方が尻込みしないんだな。

居場所を求める人々と、居場所をつくる人がいて

東綾瀬公園の三枚田橋。
東綾瀬公園の三枚田橋。

「自分も何かやりたいと思ったんです」とは、『Rokumachi cafe』の葭葉康世さん。もとは夫の建築会社の経理をしていたが、新築した自社ビルの1階に設けたテナントで、2月に開業した。界隈はカフェがほとんどないため、開業後は多くの近隣住民から「こんな店がほしかった」と、声を寄せられる。六町の新たなランドマークの誕生だ。

街へ吹き込む風を大らかに受け入れ、昔ながらの下町情緒も残ってる。ゆっくり、少しずつ。このエリアには新たな灯りがともっていく。

住宅地にとつじょ現れる『六町ミュージアム・フローラ』。
住宅地にとつじょ現れる『六町ミュージアム・フローラ』。
古きよきアーケードも残る。
古きよきアーケードも残る。

取材・文=どてらい堂 撮影=泉田真人
『散歩の達人』2026年9月号より

食のプロが行き交い、真剣な目つきで品定め。目利き戦場「足立市場」が設ける2カ月に一度のスペシャルデーは、一般人もウエルカム。どでかい保冷バッグを肩に担ぎ、いざ、出陣じゃ!
「夫はもともと、ベトナムの5つ星ホテルの厨房で働いていたんですよ」妻のチャン・ティ・ハーさんはそう自慢する。その腕前を見込まれて、夫のグエン・ズィ・トアンさんが日本のベトナム料理店に招聘されたことから、ふたりの東京暮らしが始まった。グエンさんはそこで腕を振るい、チャンさんは留学生として日本語を学びはじめた。2005年のことだ。