トロ隊長が考える、“ついてくるスープ”について
無料スープに込められた熱い思いを感じるべし
あえて説明するまでもないことだが町中華は、ラーメンを提供している店が多い。ほとんどといってもよいだろう。それゆえ、サービスとして無料で提供されることが多いのが中華スープだ。定食やチャーハンを頼むと、自動的についてくる“アレ”。ラーメンのスープをそのまま使う店もあるだろうが、ネギを散らしたり、卵を入れたり、そもそもラーメンのスープとはまるで別物を用意したりと、店ごとにサイドスープの趣はだいぶ異なっているのが面白い。そしてスープには、普段スポットライトが当たらないものだからこその愛おしさがある。
スープか豚汁か。本気で迷う早稲田『五芳斉』
チャーハン750円などにつく、これぞ町中華というサイドスープが実においしい。そして、プラス80円で豚汁にパワーアップ。「ついつい頼みたくなるのが豚汁マジック! あれをいつも仕込んでいるのがスゴい」と、半澤隊員は熱弁する。どちらを選ぶかはかなり悩ましい問題、メニューを選ぶ楽しみをさらに奥深いものにしてくれている。
※現在、チャーハン、豚汁の提供はお休み中。9月~復活予定
大豆が隠し味のまろやかな一杯 神楽坂『龍朋』
『龍朋』の大人気メニュー、チャーハン770円のおいしさを影で支えるのが、まろやかなスープだ。大豆などが入りミルキーな仕上がりで、チャーハンをかっ喰らう推進力となる。「チャーハンをレンゲに入れてスープに浸して食べる人がいて、真似したら、これがいい感じだったんですよ」と、マグロ隊員は通の食べ方を激賞する。
錦糸卵が舞う美しいスープの西新宿『登喜和』
オムライス800円など定番メニューには中華スープが添えられる。麺類も人気の店だけに澄んだスープはスッキリしたしょうゆ味で美味。見目麗しい錦糸卵がひらひらと揺れ、カイワレの緑が映える!「スゲー美しいと思った」と山出隊員はその美しさを絶賛。ご飯ものと相性抜群、ボリューミーな料理も多い店だがスープのおかげでスッと平らげることができる。
取材・構成=半澤則吉 撮影=山出高士
チャーハンや定食を頼むとちょこんとついてくるスープってありますね。正直、存在感はあまりない。ありがたがられることもない。そもそもメニューではないので、存在意義や味付けについて真剣に考えたことのある人も少ないと思う。でも、あのスープがなかったらと考えてみてください。これはもう、途端にメニューの魅力が落ちる。チャーハンと水、味気ないですよ。定食には味噌汁も合うけど町中華らしさは減る。脇役のスープがあるからメニューが輝くんです。そう思って飲んでみると、店ごとに味が違うことに気づかされる。メニューがしょっぱい味付けの店には薄味のスープがついてくるもの。味の調整役として、いぶし銀の働きがある。だかた、ときにはゆっくり味わって飲んでみてください。気分は「いつもありがとう、サイドスープ!」なんですよ。