こんなに駅前なのに……。時間を忘れてゆったりランチ
「ホテルのカフェレストランなんて、ちょっと緊張しちゃうな……」と思う人も多いかもしれない。格式が高くてハードルが高い、そんなイメージがあるだろう。
けれど、『KANPAI TERRACE』は少し違う。
お店へ入ると、チェックイン前の外国人観光客や、仕事の休憩中らしい人が、思い思いに過ごしていた。店員さんも、そんなお客さんを静かに見守る。
ほとんどのランチメニューは1500円前後で、セットのドリンクバーをつけても2000円でおつりが来る。社会人はもちろん、学生もちょっぴり背伸びをすれば手が届きそう。
程よく大人なランチタイムだ。
パスタの中で一番の人気メニューは、黒トリュフとグリルチキンのクリームパスタ1580円。一口大のグリルチキンの香ばしさと、トリュフの華やかな香りが口いっぱいに広がる。
ちなみに、パスタは全メニューで生麺を採用。クリームソースの絡んだもちもち食感、これはリピーターが多そうだ……。
クラシックバーガー1480円も、ぜひお試しあれ。バーガーメニューは全て、ビーフ100%のパティを使用。
ランチメニュー限定のドリンクバー380円で、ランチタイムをちょっと延長するのもいい。バーカウンターに置かれたコーヒーや紅茶を注いで、ゆったりした時間に花を添えよう。
晴れた日のランチは、ここで決まり。
『KANPAI TERRACE』という店名からも分かる通り、名物の一つは開放的なテラスだ。
ここで小説の世界に浸ったり、大好きな音楽を聴いたり。時々聞こえる電車の音や発車ベルで、ハッと時計を気にしたり。誰にも邪魔されない特別なひとときを過ごしてみたい。
たまには、友達やあの人を連れてきてみようかな。「料理も居心地の良さも、間違いないでしょ?」って得意げになりながら。
……なんて、常連客になったような気分でいろいろと想像してしまう。
新たな文化との出合いを、ここ水道橋で。
実はこのお店では週に数回、ディナータイムにDJイベントを開催している。
「当店が目指している空間は大きく二つあります。一つは、ゆったりとくつろげること。そしてもう一つは、今まで知らなかった文化と出合えることです」と、店長の重次貴之さんは話す。
お酒を片手に、店内へ広がる音楽に耳を傾けてみよう。「この曲、素敵だな……」なんて、運命の出合いがあるかもしれない。
カフェのコンセプトでもある“まだ見ぬものとの出会い”を後押しするのは、ホテル『sequence SUIDOBASHI』も同じ。このホテルのチェックインは17時、チェックアウトは14時と、一般的な時間よりも遅めだ。
「東京観光へ訪れたお客さんに、1時間でも多く旅を楽しんでほしいんです。チェックアウトが14時までなら、夜も遅くまで食事を楽しめますし、朝食もゆったりと取れます。そして旅の最後の思い出に、もう1ヶ所観光することもできるでしょう?」
このホテルとカフェテラスは、誰かの大切なひとときを支える場所なのだ。
――いけないいけない、まったりしすぎた。
日が傾きはじめたので、お店を出る。振り返ると、夜の雰囲気が灯り出していた。ランチも良いけれど、ディナーにも来てみたい。
学生も社会人も、観光客にも親しまれる『KANPAI TERRACE』。ここは忙しい毎日を送る人々の、オアシスだ。
取材・文・撮影=aki