【コースガイド】
富士山や小富士へのアクセスは規制中
富士山須走口五合目へ通じるふじあざみラインは9月10日正午までマイカー規制中(須走多目的広場に駐車し、バスなどを利用する)。富士山登山者は保全協力金1000円の納付が必要。
電動自転車で坂道もラクラク
駿河小山駅前の交流センター(☎0550-75-7800)に併設の『フジサイクルゲート』ではe-Bikeや電動自転車のレンタルが可能。シャワールームや自転車洗い場も完備されている。
アクセス
電車:JR・地下鉄東京駅からJR東海道線・御殿場線で約2時間10分の駿河小山駅下車。またはJR・私鉄・地下鉄新宿駅から小田急小田原線・JR御殿場線で約2時間の駿河小山駅下車。
車:東名高速道路東京ICから大井松田ICまで約58km。大井松田ICから小山町中心部まで約18km。
金時公園
金太郎ゆかりの地を公園として整備
金太郎の生家(伝金時屋敷)跡に建てられた金時神社をはじめ、産湯とされるちょろり七滝、立派な屋根を頂いた土俵、巨大なまさかりのモニュメントなど、金太郎伝説に基づいて整備された開放的な町民憩いの場。園内の一角にはこども広場やボルダリングボードもある。
●散策自由。静岡県小山町中島
飴屋
しっとりとした生地とほどよい甘み
大正半ば創業の和洋菓子店。金太郎関連の菓子が多いなか、「仲間の熊に焦点を当てた商品があってもよいのでは」と現店主の湯山廣さんが考案したのが金太郎の熊どら1個140円。食用竹炭で熊を思わせる黒い生地に仕上げている。
足柄(あしがら)峠
標高759mに位置する交通の要衝
東国と西国を結ぶ要衝であり、箱根道が開かれるまで官道・公道として古くから利用されてきた地で、神奈川県との県境に位置する。峠一帯には小田原後北条氏の出城跡である足柄城跡、日本三大聖天(しょうてん)堂の一つである足柄山聖天堂、足柄之関跡、足柄明神跡(南足柄市)などの史跡が、そこかしこに残る。周辺道路は車・オートバイ・自転車の往来が絶えないので、通行の際はご注意を。
●静岡県小山町竹之下
金時山
富士山を見通す天下の秀峰
箱根外輪山の最高峰(1212m)で、眼下の仙石原から富士山までの雄大な眺望が自慢。かつては猪鼻(いのはな)山と呼ばれていたが、金太郎伝説にちなんで今の名が付いた。小山町のある足柄峠からの登山道は現在通行禁止のため、山頂へは御殿場市や箱根町からのルートを利用のこと。
●静岡県小山町桑木ほか
足柄古道
いにしえの街道風情を体感
奈良・平安時代の官道の名残で、現在の御殿場から足柄峠を越え、国府津へと続いていたとされる。JR足柄駅近くから地蔵堂川沿いに足柄峠を目指せば、頼光対面の滝や静岡県水辺100選の銚子ケ渕、唯念名号(ゆいねんみょうごう)碑などに立ち寄りながら、歴史の一端に触れることができる。
●静岡県小山町竹之下
頼光(らいこう)対面の滝
金太郎が見いだされた伝説の地
平安時代の武将・源頼光と金太郎親子が、この滝の前で初めて対面したとの伝承が名の由来で、不動滝の呼び名も。足柄古道の一部でもある林道戦返(せんがえ)り線から山道をしばし分け入ると、落差約10mの滝が悠然と姿を現す。森閑とした雰囲気も相まって、周囲には凛とした空気が漂う。
●静岡県小山町竹之下
ひとやすみの庭
ホッとできるくつろぎの空間
一歩足を踏み入れると、メルヘン調の世界が広がるガーデンカフェ。イングランドのコッツウォルズ地方にある建物をイメージした店内では、種類豊富なハーブティー550円やハンドメイドケーキ490円などを手に、くつろぎのひとときを過ごしたくなる。ワンプレートのランチメニュー(ドリンク付き)1400円はなくなり次第終了。
豊門(ほうもん)公園&森村橋
国登録有形文化財が数多く残る
東海道線(現御殿場線)開通を機にこの地に工場を構え、小山町の基礎を築いた富士紡績。初代社長和田豊治の邸宅を移築した豊門会館などを有する豊門公園や森村橋など、往時をしのぶ貴重な遺構が丁寧に整備・保存されている。
●散策自由。静岡県小山町藤曲142-7(豊門公園)、静岡県小山町小山地先(森村橋)
富士箱根トレイル
体力に合わせた行程で楽しみたい
富士山須走(すばしり)口五合目から不老山を経て金時山まで、小山町のある静岡県と山梨県・神奈川県との県境付近に設定された全長43kmのトレイル。西側の富士山腹部分を除く標高1000m前後のなだらかな稜線は、ブナをはじめとする落葉樹に覆われ、眺望のよいポイントが少ない分、不意に目の前が開けたときの感動は大きい。
災害などによる通行不能箇所は同トレイル公式HPで確認を。
●静岡県小山町町内各所
神縄(かんなわ)断層
本州と伊豆半島が小山町で衝突?!
富士箱根トレイルの中間点・不老山への登山路でもある林道生土(いきど)不老山線。未舗装の林道脇にあるのが今から約100万~50万年前、フィリピン海プレートにのり北上してきた現在の伊豆半島が、本州に衝突して生じた神縄(かんなわ)断層の露頭だ。解説板がなければ見落としそうだが、擁壁(ようへき)を境に左が本州側の丹沢層群、右が伊豆半島側の駿河礫層からなり、太古のロマンにしばし浸れる。
町じゅうどこでも富士山VIEW
暮らしに富士山が溶け込んでいる
前述の足柄峠や金時山、富士箱根トレイルなど、町内には富士山のビュースポットが点在しているが、特筆すべきは名のある場所だけでなく、町内の生活道路や民家の軒先などからも当たり前のように麗しい富士の姿を拝める点。時間の経過とともに表情を変える様子はいつまでも見飽きない。
kashin(カシン)
住宅地に2020年4月オープン
母体となる地元のお花屋さんで培った経験と少量多品種の仕入れを活かしたフラワーリース専門店。2000~4000円程度の既製品も扱うが、人気は季節の花をあしらった手づくりリース(価格は1万円前後)。インテリア雑貨を中心とした物販のほか、パフェやホットサンド、カレーなどを提供するカフェも併設。(カフェは2021年7月現在、ドリンクとジェラートのテイクアウトのみ)
冨士浅間(せんげん)神社
世界文化遺産 「富士山」構成遺産
周囲からは深い杜(もり)により隔てられ、神域であることを痛感する富士山東口(須走口)登山道本宮。富士山の噴火に伴う災いを鎮めるべく、大同2年(807)この地に神を祀ったのが始まりとされる。参道脇にドンと置かれた巨大な火山弾も見逃せない。
小富士遊歩道
富士山の懐に入り込んだ気分に
小山町内での富士登山の拠点となるのが標高1980mの富士山須走口五合目。富士山頂を目指すとなるとハードルが高くなるが、ここから樹林帯を20分ほど歩くと突如目の前が開け、側火山跡の小富士(1979m)に着く。眼下には富士五湖の一つの山中湖が見え、振り返れば富士山の堂々とした姿を間近にできる。
●静岡県小山町須走ほか
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2021年8月号より