本格焼酎が驚きの飲み放題。ひと串ごとに合わせて新発見!『中村屋』
焼き鳥と焼酎。そりゃ合うでしょ、なんて安易に思うなかれ。焼き鳥のコースは、約130種類もの本格焼酎飲み放題付きという希有な店である。焼酎は、芋・麦・米・黒糖など原料の違いに加え、近年はチャレンジングな造りも増え、多彩なフレーバーが花開いている。炭酸割り、ロック、お湯割りと飲み方で表情も変わり、組み合わせは尽きない。
店主の中村淳一さんは、「これだけ面白くなっているのだから、いろいろ試していただきたくて」と、このシステムにした。「焼き鳥はどんなお酒にも合いますし、焼酎も味の幅が広い。どちらも懐が深い組み合わせです」。
ジューシーな銘柄鶏“霧島鶏”を宮崎県から空輸で仕入れ、大ぶりにカット。スパイスやショウガ、シソなどで焼酎を呼ぶフックをつくる。マリアージュの一例を聞くと、ニンニクを巻いて黒胡椒を振ったハツには、スパイスと相性のいい黒糖焼酎「龍宮」のロックを。醤油が香る手羽先には、柑橘のような風味の麦焼酎「クラフトマン多田」の炭酸割りを。正解をなぞるのではなく、可能性を探るのが楽しい。「お帰りの階段を自力で降りられる程度にご堪能ください(笑)」。
『中村屋』店舗詳細
土器ワイン×繊細なイタリアン『piccolo dotti(ピッコロ ドォッティ)』
ジョージアワインをご存じだろうか。素焼きの甕(かめ)を土中に埋めて醸す“土器ワイン”だ。約8000年の歴史を持つ世界最古のワインとされ、『piccolo dotti』では、希少な伝統のジョージアワインを厚く揃える。常時約8種類(さらにイタリア産4種類も)を開栓し、グラスで味わえる。これほどのラインアップを誇る店は珍しい。
店主の大石裕也さんはオーストラリアやイタリア北部などで研鑽を積み、独立した。「ゆっくり過ごせて会話がはずむ店にしたくて。料理とワインとのマリアージュで、明日の活力になるような、より深まる一皿を目指しています」。その言葉どおり、味わいは繊細で軽やか。野菜料理も多い。
ジョージアワインとの出合いは、自宅の近くのワイン店。土地の力と甕仕込みの個性、造り手の情熱が生む力強さに惹かれた。
「豊かな果実味やタンニンの渋味が、自分の穏やかな料理と相乗すると直観しました」ペアリングも対応し、今や扱うワインの約8割を占める。地元の常連客にもすっかり浸透。年配の夫婦が席に着くなり、「ジョージア2杯」と頼む光景も日常となった。
『piccolo dotti』店舗詳細
餃子&シウマイでテキーラの可能性を確信『Gatito(ガティート)』
約500種ものテキーラとメスカルを揃える専門バー。店主の伊藤裕香さんは、出版社勤務時代、取材先のハワイで、中トロの握りとテキーラのマリアージュに衝撃を受けた。「こんなに爽やかなお酒だったのか!」。以来、アガベのみを原料とするプレミアムテキーラにはまり、自らバーを開いた。
「一気飲みの罰ゲームのお酒、といった誤解を解きたかったのです」
ぜひトライしたいのは餃子との組み合わせだ。青々しい「ニラ」、柑橘の風味が満ちる「ゆず蓮根」、刺激的な「実山椒」、クミン入りの「ラム肉」。テキーラと相乗するフックをしのばせた、ユニークな餡が揃う。それは、シウマイも然りだ。「実は餃子は裏メニュー。開店当初、注文が殺到しすぎて引っ込めたのです(笑)」。
テキーラは熟成期間により、ハーバルなブランコ、心地よい樽香のレポサド、深みのあるアネホなど種類があり、味の幅もある。「魚介や果物、エスニック料理、鰻まで、食中酒として合わないものがないくらいです」。飲み比べセットで一歩踏み出すのもいい。テキーラの印象が変わるに違いない。
『Gatito』店舗詳細
取材・文=沼由美子 撮影=泉田真人
『散歩の達人』2026年5月号より




