『それいゆ』でノッポなパフェの感動を友達と共有

チョコレィトバナナパフェ900円。
チョコレィトバナナパフェ900円。

1965年創業の喫茶店では、生クリームたっぷりの王道に出合える。当初はこんなに大きくなかったが、主役となるバナナの長さを活かして徐々にサイズアップしたとか。グラスの中の生クリームは自家製ゆえフレッシュな味わいで、すがすがしい香りの余韻にうっとり浸れる。牛乳屋から仕入れるアイスクリームは一流ホテルでも使われているらしく、バナナの素朴な甘みが垢抜けた印象に。

『それいゆ』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-15-8/営業時間:10:00~ 20:00/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩1分

『浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica』でビストロが考案した前菜パフェ

夏野菜のパフェ2023 2700円(ドリンク付)。
夏野菜のパフェ2023 2700円(ドリンク付)。

驚くべきは、野菜をふんだんに使った前菜パフェ。ひと口ごとに旬のうまみ、自然な苦味が食欲を増幅させ、満足感を高める。内容は季節によって変わり、夏野菜のパフェ2023(~ 2023年9月5日)はてっぺんにドライトマトのアイスが鎮座、底部にはピーマンハンバーグも。中腹に潜む焼き茄子のアイスも手作りで、ナスを焼き、皮を取るところから行う。ひんやりした甘みと共に、香ばしさがふわり。

『浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-18-10/営業時間:13:00~20:00(土・日・祝は12:00~19:00)/定休日:水・木(祝の場合は前日または翌日)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

『sweet olive 金木犀茶店』で五感を通して異文化を感じる

6月のパフェ2300円。
6月のパフェ2300円。

店主の李さんは中国・広東省出身で、パフェ(要予約)に込めるのは故郷の食文化。写真のパフェは桃がテーマだ。白桃の香りを付けた白桃烏龍がアイスクリームにも練り込まれ、鼻腔をそっと満たすフレーバーが芳(こうば)しい。紫蘇と生姜と大根のマリネには本来シャクシャクした桃が使われるが、日本では手に入らず、似た食感の大根で代用するなどアイデアが光る。

『sweet olive 金木犀茶店』店舗詳細

『びあん香』の夢空間に咲く甘く美しい白バラ

パフェスペシャル1000円。
パフェスペシャル1000円。

ツタに覆われた半地下の喫茶店に入ると、深い森に迷い込んだような気分。目の前に運ばれてきたパフェスペシャルには、アイスクリームで作られた白バラが咲いている。その下にはこだわりの深煎りコーヒーで作ったコーヒーゼリーや、店内で焼いたシフォンケーキ、生クリームが層を成す。食べ進めるうちにアイスクリームが染み込んだシフォンケーキは卵の風味がより際立つようで、実に魅惑的。

『びあん香』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北2-3-1/営業時間:11:00~19:00/定休日:不定/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

『西荻3時』でお茶を使った和洋折衷の妙を体験

そのぎほうじ茶と塩キャラメルパフェ1600円。
そのぎほうじ茶と塩キャラメルパフェ1600円。

知る人ぞ知るお茶の産地・長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町をPRするカフェで、ジェラートやゼリーに用いるのは、鮮度のいい彼杵茶。ほうじ茶とキャラメルのジェラートを頬張ると茶葉のうまみが大きく膨らみ、パッと香り立つ。そのワイルドさと柔らかい口当たりを引き立てるため、レモンのジュレやバナナとラムのソルベと組み合わせ、洋風の演出。西荻窪のパン屋『藤の木』の塩キャラメルラスクも添えて。

『西荻3時』店舗詳細

取材・文=信藤舞子 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2023年8月号より

JR西荻窪駅を中心として北は善福寺川、南は五日市街道あたりまで広がるこの街。「西荻窪」という地名は1970年に廃止され現存しないが、“西荻(ニシオギ)”という街の存在感はむしろ年々増している。吉祥寺駅と荻窪駅の間に位置し、「松庵」など高級住宅地を擁するせいで、中央線の中では比較的上品なイメージで語られることも多い。しかし、ひとたびこのエリアを歩けば、上品などころかかなり個性的な地だということが分かるだろう。店主がそれぞれの哲学を貫く店と、それらを愛してやまない住民が集まる、けっこう熱くてヘンな街なのだ。